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【社会】

児童ポルノ対象サイト 警察庁 管理団体公募へ

2010年5月19日 夕刊

 インターネット上にはんらんする児童ポルノサイトを強制的に遮断する「ブロッキング」を推進しようと、警察庁がブロッキングの対象となるサイトのアドレスのリストを作成し、管理する団体を民間から公募する方針を固めたことが十九日、分かった。政府の犯罪対策閣僚会議が六月にもブロッキングを含めた児童ポルノ排除総合対策をまとめるのを前に、早期実施に地ならしを進めたい考えだ。

 ブロッキングを行うことになるプロバイダー(ネット接続事業者)業界は、対象サイトの選別は「表現の自由」や「通信の秘密」に絡む問題として、客観性と透明性が担保された第三者機関による運営を主張。総務省の有識者研究会は十八日、対象は警察による摘発や削除要請で対応できない場合に限るべきだとの見解を示し、即時遮断を求める警察庁との温度差が鮮明になった形。警察庁の先行に反発も出そうだ。

 警察庁は、財団法人「インターネット協会」などの応募を想定。同協会は、年間一億五千万円の委託料を受けて、インターネット上の違法・有害情報の通報受付窓口となる「インターネット・ホットラインセンター」を運営している。

 警察庁の担当者は「今回は試験的に行う調査・研究で、運営上の課題などを探るのが目的。ノウハウを蓄積するために資金面でも支援したい。いずれ民間主導で行うときの参考にしてもらいたい」とし、応募者には年度末に報告書を提出してもらう。当初案では単年度事業として行う。

 警察庁の想定では、リスト作成管理団体は警察情報などを基に、サイトが児童ポルノに該当するか否かを判断。サイト管理者に要請しても削除されない場合や、管理者が所在不明で要請そのものが困難な場合をリストの対象とする。

 同団体を監督する「専門委員会」も設置する予定で、有識者や業界代表でつくる警察庁の懇談会「児童ポルノ流通防止協議会」のメンバーを中心に委員を選任する方針。総務省とネット事業者も年度内のブロッキング開始で合意はしているが、運用方法をめぐって警察庁との溝は深く、曲折がありそうだ。

 

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