第七帖 |
第百二十五段 四月馬鹿 ハル ねぇオオカミ少年の話知ってる? ウソを上手につくコツはね ウソの中に少しだけ本当の事を混ぜる事なんだって BJコミック 冬目景 「イエスタデイをうたって」 1巻 集英社 今年はエイプリルフールの 仕込みが出来なかった仁鐵でございます 当サイトは、その日の日記をUPするスタイルなので エイプリルフールに合わせて何かをするなら 31日に仕込んでおかないと間に合わないという事を コロッと忘れておりました 一日遅れで嘘を書くのも詮無い事ですから 嘘の代わりに、過去に本当にあった事を 一つ告白する事にいたしますので 下記の文中から正解をお選びください! @番 山一証券の倒産時に有価証券3千万円分を 運用させられていた事があり、8百万程穴を開けた事がある A番 ローソクの火で重要文化財クラスの 掛け軸の端を焦がしてしまった事がある B番 関内・桜木町界隈でモグリの易者をやっていた事がある …以上三つの出来事の内、本当にあった事は! (ドラムロール) 墓の中まで持って行く秘密なので 正解は、皆様のご想像にお任せいたします(←オイ) 【今日の一言】4/1 「人生は幻化に似たり、ついには当に空無に帰すべし」 古詩源 陶潜 人生は幻のようで、現れたかと思うと 跡形も無く消えて、常に生成流転をしていくモノだ ・まあ、生きてりゃ色々ありますな |
第百二十六段 新年度 人は、その制服の人間になる ナポレオン 「箴言と思想」 講談社学術文庫 モーリス・マルー 「世界ことわざ名言辞典」 職業 新年度ではありますが 下界の一般寺院ですから 新人職員も部署の移動もありません 故に、出会いもドラマもへったくれも無い仁鐵でございます 今日は新年度の雑用で銀行やら役所などに 出向く用事があったんですが 真新しいスーツや制服に身を包んだ新人さんが 馴れないながらも必死に対応してくれたりする姿を見ると 「ああ、スーツを着る仕事にも就きたかった!」と 忘れかけていた、スーツや制服への憧れが ふつふつと湧き上がって参りました 後にも先にもスーツを着て仕事?をしたのは 高校の教育実習の時だけでして(←某女子校) 公然とスーツを着た事は殆どありません それだけに、同年代の人のスーツ姿を見ますと 何か、置き去りにされたような気がして 非常に気後れしてしまいます また、女性の制服に関しては パンツルックに非常に弱いという性癖があり バーテンダー・カフェスタイルや 黒スーツに襟の出た白シャツ姿 淡いモノトーンのピシッとしたスーツ姿などは どんな雑踏の中でも無意識にロックしてしまいます(視力2.0) 余談ながら、セーラー・ブレザーなどの いわゆる制服に関しましては ロンスカ全盛の時代から短くなっていく過渡期におりましたので 近年の膝上・ルーズは滅んでしまえと切に願っております 基本的にタイトでロングな洋装に弱いので 真逆の世界に身を置いている人間としては スーツや制服姿というモノに強い憧れを抱いてしまいます とは言え、こちら側の世界も端から見れば ・尼さん・巫女装束・和服・シスターなど 極めて狭い方向に対して 特化された楽しい世界ではあるんでしょうが… 【今日の一言】4/2 「安居無きに非ず、我に安心無きなり」 墨子 親士 安んじて居る場所がこの世に無いのではない 安んじる心が無いから安居が無いのである ・隣の芝が青く見えるのは判っちゃおります…だがしかし! |
第百二十七段 読了レビュー 昨日は、久しぶりに徹夜で本を読んだ事もあり 久しぶりに読了本の感想でも書いてみようかと思います 講談社 堺屋太一 「東大講義録〜文明を解く」 久しぶりに思わず徹夜させられました 近代工業化社会の終焉から、次にどういった 正義や価値観が支配する時代が来るのかを 文明の変革過程を歴史的に再把握しながら 論じていきつつ、現代日本の何がネックであるかを 様々な角度から浮き彫りにしていきます 構造改革が叫ばれる中、一体何を変えようとしているのか? と言った基本的な疑問を明らかにするにも良く 歴史学的な見地から文明の変革を考えるにも良く ちょっとした雑学知識を貯えるにも良いお得な内容です 鵜呑み丸呑みには出来ない点があるにせよ 「そう思うから、そうなんだ」や「どこかで見たり読んだり…」 といったバラバラな思考レベルから 「過去を踏まえた上で、現在何が問題とされているのか?」 と言う風に総合的に物を考るキッカケになるので必読 講義や話を仕事にしている人にもオススメですな 東洋経済社 守屋洋 「中国の古典名言録」 孔・孟・老・荘・韓・荀・墨・晏・は言うに及ばず 五経四書・武経七書・為政三部書・etc… 幅広く中国古典を網羅した決定版 思えば中国古典に興味を持ったのは 新幹線で移動する時の暇つぶし用に キオスクで買ったこの人の本がきっかけでした 中国古典の引用をして話をする人間は信用するな! と、言うのは本当の話だと思いますが 教養として、知っておくのも良いもんではないかと思います 時事通信社 興津要 「江戸川柳散策」 俳風柳多留・柳多留拾遺・末摘花・万句合刷などから 江戸の風物・世相・職業などを川柳を通して紹介する 江戸時代、庶民の間に漢文や仏教に関する知識が 一般的に浸透していた事を伺わせる川柳も多く 現代とは大違いだとの感が強まりましたが 音のせぬ ように和尚は どらを打ち 僧侶は女郎買いに行ったり妾を囲うにも(銅鑼を打つ) そ〜っと内密に事を運ばなければならない なんてのを見ますと、現代と大差ないモンだと… 中公新書ラクレ おおばともみつ 「世界ビジネスジョーク集」 世界で一番薄い本 ・イギリスの料理の本 ・イタリアの戦勝記録の本 ・スイスのジョーク集 ・アメリカの美術史 こんな具合に、結構面白い「ジョークの定型」があるので 捻って使えば更新に困らなくても済みそうです ソビエト時代の支配者が ハゲ→ふさふさ→ハゲ→ふさふさってのも ここで知りました、次はふさふさか… 祥伝社 門倉貴史 「日本地下経済白書」 裏〜とか、法の抜け道とか「裏モノ宝島系」が好きな 夢見るアリスちゃんの後輩君が喜びそうな一冊でしたが 非常に内容が薄かったので 後輩君なら 「やっぱり、裏の事は表だって出てこないんですよ!」 と自信満々に言うだろうな〜などと思ったり思わなかったり 講談社 ダライラマ十四世・三浦順子訳 「怒りを癒す」 シャーンディーバの「入菩提行論」をテキストに 忍耐と言うものを如何に学ぶかを説いた ケンブリッジ大学での講義録をまとめたモノ 巷間・忍耐というのは言われ無き暴力や迫害を 何も抵抗せずにじっと堪え忍ぶモノだと勘違いしがちですが 本来は、心に怒りを起こさず前向きに対処していく事であると 正しい忍耐について語っており 怒りとは何か、何から怒りの感情が来るのかを 理を尽くして説いているので、仏教関係者は必読かと しかし、帯の「キレない人になる忍耐力のつけ方」ってのは どうにもいかがなモノかと思いますな… 講談社学術文庫 中村元 「龍樹」 空の思想を哲学大系として打ち立てた ナーガールジュナに関する様々な 歴史や史伝を照らし合わせ 著作の成立背景や主張を判りやすくまとめた一冊 サンスクリット訳の「中論」全文が現代語訳 解説付きで掲載されているので、それだけでも買いです ちくま学芸文庫 ジョルジュ・バタイユ 「宗教の理論」 何というか…キリスト教的素養と言うモノが 身に付いていない日本人としましては 主張の方法論や思想背景がピンとこないので 訳文の複雑さに翻弄されてしまい どうにもこうにも評価の仕様が難しいですな… 犠牲〜サクリファイス・ヴィクティムを主軸に 読み解いていくと言うのも判りますが 坊主の目からは判じかねる内容なので 十年後にでも、再読してみようかと思います イブニングKC 佐藤マコト 「サトラレ」4巻 講談社 非常にストレートで好感の持てる仕上がり 「相手の気持ちを少しでもおもんばかれる気持ちがあれば…」 「仕草や行動からほんの少しずつ相手の気持ちが漏れ出ています」 「人は皆、ちょっとしたサトラレなのですから」 と言ったくだりには、ちょいと照れますが それ故の魅力かとも思うので素直に拍手 ビームコミック 森薫 「エマ」 1・2巻 エンターブレイン 黄狼さん経由で知った、こちらのサイトさんがプロデビュー 19世紀末のヴィクトリア朝ロンドンを舞台とした 貴族の息子ウィリアムとメイドのエマの恋を描いており メイドさん属性云々の泡沫漫画とは一線を画した内容 話の運び・ストーリー展開などに ハウス名作劇場的なノリを感じつつも しっかり読ませる内容なので、非常に満足でした 頑張って地歩を固めて欲しい作家さんです ビームコミック 犬上すくね 「想うということ」 エンターブレイン あちこちに書いた作品をまとめた作品集 この人も少年画報社や竹書房を行ったり来たりで なかなかドーンと行きませんが 個人的には大ブレイクだったので 是非頑張って頂きたい作家さんです まあ、眼鏡好きは何も言わずに買いという事で ゼロコミック 上田信舟 「DAWN〜冷たい手」 一賽社 店頭で何気なく手に取って買ってみましたが 大当たりでした シリアス・学園・ゾンビ?と キーワード的には、なんでございますが 絵・リズム・テンポ・ストーリー、全てに於いて 高いレベルでまとまっているのに驚きました ゲームの原作物をいくつか書いていた方らしいので これが初めてのオリジナルになるんでしょうか? 何にしましても、エラく得をした気分にさせて頂いたので これから追いかけて行く予定リストに入りました 買って損無し! ゼロコミック おがきちか 「Lamdreall」1巻 一賽社 「エビアンワンダー」1・2巻 少年画報社に続いて ファンタジーなので、非常に期待度は高いです 前作は、何の都合か判りませんが 話が途中で打ち切りのような感じになっていたので 今作は最後まで書き切られる事を切に願います レベルは高いのに…不思議なモンです ビッグスピリッツ 佐々木倫子 「Heaven?」5巻 小学館 女帝に死角無し、常に安定以上を見せてくれるので 敢えて何をか言わんやといったところでしょうか 「動物のお医者さん」のTVドラマ化だけは 絶対に止めて欲しかったですなぁ… ネムキコミック TONO 「チキタ★GUGU」4巻 朝日ソノラマ 主要キャラがサクッと死ぬ当たりに 無常観が漂いまくっておりますが 個人的に遠藤浩輝「EDEN」とタメを張る位の 実力者であると認定しておりますので 目が離せない作家さんです このまま細く長く頑張って頂きたい作家さんですな この他、 ビームコミック 竹本泉 「よみきりもの」4巻 エンターブレイン JETコミック にざかな 「B・B・jokere」5巻 白泉社… など、挙げればキリが無くなってくるので 取りあえず今回はこれで終了します 本の紹介がてら、ウチもAmazonでも置こうかな 【今日の一言】4/3 「エメラルドは人に褒められなくても値打ちを失わない」 マルクス・アウレリーアス 自省録 ・とは言え、いちいちリンク張るのも面倒だし… |
第百二十八段 つれづれなるもの 所在無いもの よそでする物忌み。なかなか進まない双六 昇進にあぶれた人の家、まして雨などが 降っている日は、いっそうひどく所在ないものだ 角川ソフィア文庫 石田穣二 「新版 枕草子」 第百三十四段 ・何か予定が有るわけでも無い、春の週末 ・夕食の後にうっかり寝てしまい深夜に行う更新 ・しかも雨が降っている日などはいっそう侘びしいものだ… 【今日の一言】4/4 「歎ずべし知己なきを、高陽の一酒徒」 唐詩選 高適 田家春望 門を出てみると原野は見渡す限り春色である だが嘆かわしいことに、今の自分には 一人の知り合いもなく、ただ田舎の酒飲みとなっている ・酒こそ飲みませんが、知り合いがいないってのは困りますな |
第百二十九段 天必すべきか 「天に私覆(しふく)なく地に私載(しさい)なし」 礼記 孔子闍 天地は公平無私で、その働きに偏る所は無い 天は飛ぶ物や建物といった全てを包み嫌う事なく 大地も乗せる物を選り好みしたりしない 講談社学術文庫 「中国古典名言事典」 礼記 今日は、あいにくと花散らしの空模様で 法事で墓参なんぞに行きましても 雨は降るわ・風は強いわで散々でございました ただ、よくよく考えて見ますと 何も雨風は人間が憎くて降っている訳ではありませんし 桜も人間に見せる為に咲いてる訳でもございません 雨風が無ければ困るお百姓さんもおれば 花見のゴミ掃除で苦労される人もいるので まあ、それぞれではあると思ったりもします 天地の運行もまた然りでございまして 地震であれ異常気象であれ 人間が憎いから災いを起こすのでは無く その日・その時・その場所の 無数の原因と条件に従って生じた結果の 一様相を示しているに過ぎない訳ですから こちらの都合であれこれ言っても仕方がありません 帰り道の参道で 風に混じって散る桜の花を見ておりますと ふと、こんな話を思い出しました ある人が、僧侶に見送られて帰ろうとしたとき 雪が降っているのを見て 「雪がひらひら舞っている、どのひと片も 落ちるべき位置に落ちているな…」 と述べたところ、見送りの僧侶が 「どこへ落ちるので?」と聞くと その人は僧侶に平手打ちを加えて言いました 「目は見えても何も見えない 口はきけても何も言えない お前さん達それでも坊主かね?」と この話の言わんとするところは多々ありますが 天地万物・全ての物は大小・貴賤の差別無く 様々な原因や条件に依って 行くべき場所に行き着くわけで 決して勝手気儘に落ちているのではありません 雪が降るのも、降る雪が風に舞うのも 全てそれなりの原因と条件に依る物であり その流れによって必然的な結果が導かれるのだと… そうやって起こる諸々の事象を 自分の主観や都合で推し量り 喜んだり・怒ったり・哀しがったり・面白がったりして 心を騒がせ、苦しむのは愚かな事であると説きます 起こりえる事は、全てそれなりの理由があるもので なんの故も無く表れるモノではありません 身近な事や、そうでない事、大きな歴史の流れまで 常に無数に交錯する原因と条件の 変化の連続がもたらして来たモノです 身の回りの些細な事や世界規模の大きな事も 刻々と変わる常識や価値観・正義といった 要因や条件が絡み合って生じ起こっていきます 移ろいやすい事象の是非を推し量る前に 全ての事は多様な因と縁に依って生じ 起こるようにして起こっているのだと理解して 冷静に事象を見つめる事は重要であると感じます ですから 衣が風にひるがえって木の枝に引っかかり 袖口から真っ二つに破けたとしても 誰も恨む筋合いでは無いんですな 雪の一片と違って我々人間は 因と縁に働きかける事ができますから その中でどういった行動を取るかは人それぞれですが 意味を付与するのは自分次第な訳で…(scheiBe!) 【今日の一言】4/5 「禍福に門無し、ただ人の招くところ」 左伝 襄公二十四年 幸福も不幸も門があるわけでは無くどう取るかである ・頭を冷やす呪文→クール→氷→ペンギン→南極… |
第百三十段 セカンドインパクト 美園 あんたの現実はここにあんのよ 避けてちゃ何も変わらない 現状を変えたいって言ってたけど まわりを見なきゃ変わった事にもきづかないよ 勝手なイメージを押しつけてんのは あんたも同じでしょ? かっこよく変わる自分を見せにおいで 同じように変わっていく他の人を見においで 学校はそういうところよ YKコミック 小池田まや 「聖☆高校生」2巻 少年画報社 年度末から続いた、諸々の厄介事が なんとか片づいたのは良いんですが 身体のサイクルがおかしくなって 元に戻らない仁鐵でございます さて、新年度も始まって最初の週でしたが あれやこれやと頭で考えていても 実際に現場に出なければ分からないモノで 各種・新人の方々も、受け入れる立場の古参の方々も 何かとショッキングな事があったのでは?と推察いたします 中には、考えていたのと全然違うという事で 先行きに不安を感じる人も多いと思いますが 世の中は、自分の思った様にはいかないと言う 非常に得難い教訓を得る事が出来る訳ですから ヤケを起こしたり、短絡的にならないように どっしりと構えて頂きたいモノです 存在の在り方と捉え方の間にギャップが有るというのは 仏教哲学をはじめとして ほぼ全学問共通の認識で 自分を取り巻く環境や事象に対して 希望通りに、こうあって欲しいと願っても 全て願った通りにならないのが世の常でございます 例・1 住職 「明日から、中国から修行に来る人を預かるから!」 仁鐵 「古典読みとしては、本場の人は大歓迎ですよ なにせ礼儀作法の発祥地ですからな〜」 …(TДT) < それとこれとは別なんですな… 例・2 住職 「明日から、住み込みの新入りが来るよ」 仁鐵 「これで、ようやく便所掃除から解放されますな〜 近年は打たれ弱いのが多いんですから 殴ったり怒鳴ったりして逃がさないでくださいよ!」 住職 「前回が半年だったからな…うん今回は加減するわ」 … Σ(゚Д゚;)< 三日で逃げやがった 例・3 御山に上がる前の電車の中で 仁鐵 「いよいよ明日から、坊さんの世界で暮らすのか… 俗世と違って、キチッとした世界なんだろうな〜!」 _、_ ( ,_ノ` )y━・~~~ ……… と、まあ往々にして予想と言うものは裏切られる訳ですが それは自分が抱いていた 一方的な思いこみが裏切られただけであって 新しい環境やそこに居る人が裏切った訳ではありません 世界が自分の方を向いてくれるのではなく 自分が世界にどう向き合うかが重要な訳ですから そのショックに打ちのめされて殻に戻るのでは無く 過去に抱いていた予断や思いこみというモノを捨て 新しい環境にチャレンジして頂きたいモノです 【今日の一言】4/6 「公益を目的とするので無いかぎり 他人に関する思いで君の時間を消耗してしまうな なぜならば、そうする事で君は他の仕事を学ぶ機会を失うのだ」 「マルクス・アウレリーアス自省録」 第三章・4節 ・周りの事よりも、自分の行動原理の確立が先ですな |
第百三十一段 原点は… タカシ 21世紀!! ヨネコ あけましておめでとう!! タカシ ……… ヨネコ エアカーの飛んでない21世紀なんて…… タカシ いきなり盛り下がるなよ、ねーちゃん! アクションコミック こいずみまり 「お姉様とお呼び!」2巻 双葉社 「AKIRA」に出てきた金田のバイクぐらいは 実用化されるんじゃないかと ひそかに期待していた仁鐵でございます (89年のモータショーにも出てたのになぁ…) なんでも、今日は「鉄腕アトム」の誕生日だったそうで アトム関連の話題が各方面で取り上げられていましたが どうも「鉄腕アトム」に関して、あまり思い入れがないので 「ああ、そうなんだ」と軽く驚いた位です 自分がはじめて「鉄腕アトム」を読んだのは 小学校低学年の頃でしたが その当時、実家では中学生になるまで 読んで良い漫画は「手塚治虫作品」だけと言う 両親の読書方針が徹底しておりましたので 家には手塚漫画しかありませんでした (その結果、少年誌を初めて読んだのは中2でした) 「アトム」「火の鳥」「ブラックジャック」は言うに及ばず 「ブッダ」「どろろ」「ドン・ドラキュラ」「三つ目が通る」 「やけっぱちのマリア」「ジャングル大帝」「ユフラテの木」etc… およそ、ありとあらゆる手塚漫画の名作が揃っておりました 今も手元に残しておけば一財産になるラインナップだったので 非常に惜しい事をしたもんだと後悔しております (虫コミ・サンコミ・新書版など多数…) 流石に手塚漫画はテーマも広範にわたり どの作品も非常に楽しかったんですが 手塚作品以外の選択肢が無かったので その分、1作品あたりのインパクトが薄くなってしまい 「鉄腕アトム」に関する記憶が殆ど残っておりません アトムを読んでロボット開発の道に進んだという 技術者の人がいる位、強い影響を与えた作品に対して なんとも失礼な話ではあるんですが 当時は、そんな名作群よりも実家の美容院に置いてあった ゴルゴ13の方が面白くて… しかし、手塚作品とゴルゴを読んで 育った結果が坊主というのも何でございますなぁ 【今日の一言】4/7 「古訓を学べば、乃ち獲ることあり」 書経 説命下 名作・古典から学ぶ事は多く、何かしら得るところがある ・古典至上主義では無いですが、やはり良いモノは多いですな |
第百三十二段 観自在=捕らわれずに見る 「一つには功の多少を計り、彼の来処を量る」 目前に置かれた食事が出来上がってくるまでの 手数がいかに多いかに思いを馳せ それぞれの材料がここまで来た経緯を考えてみよう 講談社学術文庫 道元 「全訳注 典座教訓・赴粥飯法」 食事作法・五観之一 上述の偈文(げもん)は、修行僧が食事の前に唱える 作法の一つである五観(ごかん)の一番目です 修行中は食事の前に十分近い お勤めをしてから、ようやく食事にありつけるので この、食前の祈りというヤツは非常に修行僧泣かせでした 当時は、とにかく偈文を早く終わらせて 食事にかかりたい一心だったので 唱えている文章の意味を じっくり考えるような事はありませんでしたが 最近になって、その内容を吟味してみますと 非常に仏教的な示唆や観察の方法が含まれており 今更ながらに深く感心させられる事が多いです この一番目の偈文は 事象の由来を観察するという内容でして 「因縁生起」(いんねんしょうき)の考察を含んでおり 目前の事象である「たくあん」一つとっても 様々な因果が複雑に絡み合って 目の前に存在している事を思い起こさせてくれます たくあん一切れでも、突然そこに出現したのではなく 大根を育んだ地的条件や気象条件 生産・加工に従事した人々・流通に従事した人々 更にそれを調理したり、配膳をする人… 無数の原因と条件の交錯した結果として目前に「在る」訳です この、目前のたくあんに関して 主観的に判断を下すのは、人それぞれで 「好き」「嫌い」「どちらでも無い」「どうでも良い」と 多種多様な価値判断があるかと思いますが その、よって来たる過程や経過に考えを巡らさないで 一言で決めつけてしまうのは やはり不遜に過ぎると申せましょう たくあんひとつから推し進めていきますと 世の中に起こる全ての事象にも 同様の事が言える訳であって 世の中に於ける様々な問題 友人・恋人・職場での身近な争いや出来事も 社会・経済・戦争などの大きい出来事も 皆、様々な立場や時代の条件など 複雑な要因が絡み、交錯して 事象として目前に表出してくるのですから そういった過程や経緯に全く思いを馳せずに ある一面だけを強調して判断してしまうと (人物評価・歴史・戦争・社会問題・戦後の日本史観 etc…) とんでも無く偏向した考えに捕らわれ 自他・共に苦しむハメに陥ってしまいます 四月八日に生まれたお釈迦さんは 縁起(えんぎ)=因縁生起を 深く観察する事によって悟りを開かれましたが 全てのモノの依って来たる原因や条件などを 冷静に見つめ、一方向に偏らない中道を掲げました もとより全ての因果律を観察する事の出来ない 人の身ではありますが 起こりえた事象に関しての考察をおろそかにして 「ただムカつくから」「嫌だから」「気にくわないから」と言った 一面的な判断を下すのでは無く 「何故、そうなったのか?」「どういった過程を経たのか?」 と、事象の来し方行く末を考慮してから なにがしかの発言をするような癖をつけて行きたいモノです 故に 「政治倫理」・「経済問題」・「環境問題」・「平和問題」など 訴えかけたい事や理念など そこに、貴方を駆り立てるモノがあって 立ち上がったと言う事は重々理解するんですが 寺の裏で選挙演説を爆音でかますのだけは 止めて欲しいと切実に願うモノであります >やるなら、どこかの会場でやってください 選挙という因があって、地理的な縁が手伝って 起こりえた現象なので諦めざるを得ないんですが… 善きにつけ・悪しきにつけ 世の中、生きてりゃ色々あるもんですな 【今日の一言】4/8 「治をなすは多言に非ず、力行如何を顧みるのみ」 十八史略・西漢 治国の道はおしゃべりではなく、政策の実行である ・そら、体制批判と耳に調子の良い事は誰でも言えるわな |
第百三十三段 拝啓ヴィトゲンシュタイン様 勇吹 何が正しくて、どうすれば一番幸福な 未来に続く道だったのか… この夜の事は後になって何度も思い返した 全てが分岐だった… 一つ違えれば多分二人とも人生が変わっていた ウイングコミック なるしまゆり 「少年魔法士」5巻 新書館 皆、後悔は10年も前に済ませた あとはどうやって忘れるかだけだ!<挨拶 世の中、何であれ踏み出さない方が良かったと 思える事は幾らでも有るわけでして 後に、その時の決断を思い出して後悔し 布団の中でのたうち回るのは珍しい事ではありません その一歩さえ踏み出さなければ おそらくそこに至らなかったであろう事は 誰しも、二桁くらいはあるのでは無かろうかと… この世に生まれて29年<鬱 坊主としてのキャリアは13年<遠い目 今まで関わってきた様々な人達や 自身の後悔の経験と言った蓄積があるので ついお節介を焼きたくなるコトもございます しかしながら、傍から見てイバラの道であっても 進んでいる本人にとっては幸せな事もあるというのは 自身の経験からも言えるので 沈黙せざるを得ないという事は多々あります 他人の幸福を自分の定規で計る事は出来ないと言う事を 我々は身を持って知っておりますし また、それを語り尽くす事も出来ません 「語り得ぬ事については沈黙しなければならない」 かつて、これほどまでに この言葉を重く受け止めた事はありませんでした… いや、本日、書店をブラブラしておりましたら どう見ても、小学校高学年くらいの女の子が ボーイズラブ漫画の棚を行ったり来たりして 30分程、悩んだ末に 意を決して書棚から抜き取っていく 葛藤と苦悩の場面に出くわしまして… ダッシュで店を出て行く後ろ姿に 君の行く旅路に幸あれと願わずにはいられませんでした それを観察していたお前の方が数段ヤバイよ! と言う、御意見はひとまず棚に上げておきます 【今日の一言】4/9 「我々の判断は腕時計と似ている ひとつとして同じ時を指さないのに めいめい自分の時計をあてにしている」 ポープ 「批評について」 (1711年) ・人生は選択と決断の連続ですなぁ…(←選択ミスの集積) |
第百三十四段 あたら風の咎でもあるまいに 春風は賞するに堪えたり、又、恨むに堪えたり 春風は一方から言えば非常に好ましいが 花を散らすので、恨みの種でもある 講談社学術文庫 「中国古典名言辞典」 三体詩 七言絶句 雍陶 過南隣花園 下界の桜って根性無さ過ぎ!<挨拶 下界に降りてきて一年半が過ぎましたが 山の上での生活が長かったので つい、桜のシーズンは五月上旬だと勘違いしてしまい 見頃を逃した仁鐵でございます 仕事も、やや小康状態なので 須磨の離宮公園あたりで花見オフでもしようかと ぼんやり考えておりましたが 既に土日はがっちりロックされており 身動きが取れなくなっている状態を見るにつけ バイク雑誌に載っているツーリングクラブの 平日休みの方、一緒に走りませんか? と言う文章が思い出されてなりませんでした つらつら考えてみますに この世の事は、すべからく 善し悪しが同時に存在する訳ですが それは、起こりえる事象に関して どういった立場からモノを見るかによって 決定される性質のモノだと言えます 花が散るのを見て 「花の散り際というのも美しいものだ」と思う人間もいれば 「畜生、掃除が面倒じゃねーか!」と思う人間もいます 花が散るのは同じでも そこに何を見いだすかは、人それぞれです 浮世で起こる諸々の事象は相対的であり その時々の価値観や流れといったものに左右され 常に移ろいゆく性質のモノでありますから 主流を占めるモノが正しいとされ 少数であれば、大きな流れには勝ち得ません 仏教では、この浮世を 娑婆(しゃば)=堪え忍ぶ世界と規定していますが これは浮世の在り方が相対的であるが故に 常に主流や勝ち組に居続ける事が無く 変化によって苦しまなければならないという 非常にシビアな見解を示したモノであります 1〜2年、或いは5〜10年、または50〜100年と 善も悪も常に変化していく社会の中にあって 自身のスタンスを、どのように保っていくかは 我々個人が選択していくモノです 常に主流を選んで、そこに身を置くのも選択ですし 自身の信じる所に従って行動するのも選択です 行為としては、どちらも等しく同じモノですから 後は、何が自分にとって選ぶ価値があるかを 自分自身で決定していかなくてはなりません 本日、ローソンに煙草を買いに行きましたところ 女子高生の二人組が スカートであぐらをかいて店の前に座っておりまして… 仁鐵@チラリズム信奉者と 仁鐵@昭和世代の公衆道徳が 必死にせめぎ合いましたが やはり、格好のヨロシイものではありません ヤンキー5人では躊躇もしますが まあ、女の子であれば大丈夫かとも思い 「お姉ちゃん達、腰が冷えるし、みっともよろしないで!」と 車に乗る前に、声をかけたところ 二人ともダッシュで逃げていきました スキンヘッド・スカジャン・サングラスは そろそろ改めた方が良いのかもしれないと思った 春の夕暮れの出来事でございました 【今日の一言】4/10 「その身を正す事能わざれば、人を正す事無し」 論語 子路 忠告を為すものが、身を正しくしないで なんで人にモノを言う事が出来るであろうか ・いや、まったくその通りでして… |
第百三十五段 ジョブチェンジ 常時身、鞍を離れず髀肉みな消ゆ 今また騎乗する事無く、髀裏肉生ず 日月流るるがごとく老いのいたらんとするに 功業建たず、ここをもって悲しむのみ 馬上で戦い続けていた時は股の肉もそげ落ちていたが 今はすっかり贅肉がついてしまった 月日の経つのは早く老いも迫るというのに なすところが無いのが情けなく涙が出てくる 新書漢文大系 「十八史略」 東漢 三国 劉備 明治書院 VRX400・VーMAX1200・TRX850・GPZ900… 鉄馬は変われど、日に700qを移動し 日本全国を東奔西走していた頃は 股の筋肉がみっしりと締まっており 歩いては三山の傾斜を下駄で駆け抜けたモノですが 阿波一ヶ寺に腰を落ち着け、法事・葬儀・事務一般 ぬくぬくと車に守られながら移動を行い 寺にこもり、サイトの更新などを続けておりました所 股の筋肉が緩みきってしまいました 駄目です、週末の夜だというのに ぬくぬく快適に引きこもって更新している場合じゃありません このままでは、足腰から弱りまくってしまい 一朝有事の際に鎌倉へ馳せ参じる事も出来ません 十六の春まで続けていた修練も 僧籍に入ってより後は絶えて久しく 二十九の今に至るまで、この道一筋…(途中脱線有り)で 過ごして参りましたが、そろそろ衰えがやってきました 放浪時に比べれば、拠点も定まり 多少の時間に関しては融通も利くようになったので どこかの道場で運動をしてこようかと思い立ち 近所を色々と検索をしてみた結果 ・僧侶→なぎなた→僧兵 ・僧侶→合気道→モンク ・僧侶→弓道→アーチャー 上記にクラスチェンジ出来る事が判明いたしました ウチの寺の斜め後ろには 公営のフィットネスジムが建っているんですが ・僧侶→トレーニングジム→マッチョ になるには、基本ステータスが不足しておりますし スキルアビリティも上昇しないので やはり上記のいずれかの道場に通う事にいたします 坊主の運動不足ってのは、単なる怠惰であるとか 普段、庭掃除などをしっかりやっていれば 足腰がどうのと言う話では無いという事も 重々承知しておりますが やはり、少し普段使わない筋肉も使わないと イカンのでは無いかと思う次第でございまして… 決して、みんな袴着用だからと言うような 不純な動機で選んだ訳ではないんですよ ええ、ホントに 【今日の一言】4/11 「人ごとに、我が身にうときことのみぞを好める」 徒然草 第八十段 誰も彼も、自分に関係の薄い事を好むのは困ったものだ 僧侶の兵法・武士の連歌や音楽など無益な事だ… ・いや、まあ、その… 【連絡事項】 「往くものは諫むべからず、来る者は猶お追うべし」 論語 微子 復活おめでとうございます! 一年を経て万感胸に去来するモノがありますが 新しく、行き進む道に幸あれと願っております 托鉢に「デマゴーグマイルド」さんを追加 |
第百三十六段 UPするのを忘れておりました! 今を疑う者はこれを古に察し、来を知らざる者は これを往に視る。万事の生ずるや趣を異にして 帰を同じくするは古今一なり 現状を理解出来ないときには昔の事から推察し 未来を予測出来ないときには過去を振り返ってみる 全ての物事は表れ方は異なっているようでも その法則性は古今を通じて変わりがない その故に歴史を学ぶ事は意味があるのである 東洋経済新報社 守屋洋 「中国古典名言録」 管子 形勢篇 取りあえず神奈川が妙な具合にならずに済んだので 一安心している元・県民の仁鐵でございます 前日、読み返している内に 時間が過ぎてしまうようなベタなオチにならないよう 数多の誘惑と戦いながら本棚の整理をしていたんですが 案の定、誘惑に負けて 「クリスタル・ドラゴン」1〜20 あしべゆうほ 秋田書店 なんぞを読みふけってしまいました ここの所、エッダやケルト・北欧神話関係の 書籍を読み返していた事も手伝って ついズルズルと引きずられていったんですが 漫画の中でローマ帝国にリンクする部分があり そこから「ガリア戦記」「内乱記」「ローマ帝国衰亡史」など その他の歴史書に手が伸びてしまい 収拾のつかない状態に陥りました パックスローマ(ローマによる平和)ならぬ パックスアメリカーナの時代に居合わせている事もあり なにかと身につまされる話も多く 読み終わった後に、なんとも嫌な気分になりました ・覇権の拡大・大量消費・出生率の低下 ・社会通念の退廃・属州の反乱・政治の混迷 etc… 満れば欠けるの観点からみましても アメリカのみならず現在の日本を取り巻く 国際情勢は非常にうすら寒い状態であると 今更ながらに思わざるを得ません 反戦平和の一本槍で現実的な対策や 明確な方針を打ち出せない現在の 日本の状況を見るにつけ 大国の都合に振り回されて 結局蹂躙されてしまった ローマ属州の末路が思い出されます 刻々と変化を繰り返して 生成消滅を繰り返すのが世の常ですから そうなったらそうなっただけの事なので 諦めざるを得ない訳ですが 最悪の事態を回避できる余力がある内は ベストな選択を続けて貰いたいモノだと願って 選挙なんぞにも行ったりします これからの世界がどういった方向に向かうのかは 判別しがたいとはいえ 歴史の流れから見ると、どうも面倒な方向に進みそうなので 気を引き締めて、冷静でありたいものですが… 散らかった本棚を見るにつけても 気分が重くて仕方がありません 【今日の一言】4/13 「治を未だ乱れざるに制し、邦を未だ危うからざるに保んず」 書経 政治が乱れる前に引き締め、外敵が攻めて来る前に 安全を計って対処をするのが政治である 混乱や危険がひどくなってからでは立て直しようが無い ・対症療法・先送りの行き着くところは、部屋でも本棚でも国でも ロクなもんじゃ無い事だけは確かだと言えますな… |
第百三十七段 ツアコンの苦悩 「信心は半分憂さの捨て所」 柳多留・123 伊勢詣りや金比羅詣りなどのお詣りは 信心が半分で、後はレジャーと気晴らしである 時事通信社 興津要 「江戸川柳散策」 信心 寺の住職の重要な仕事に「ツアーの企画」があります 自分の所属する本山に檀家さんを連れて行き そのついでに、ちょっと観光をしてくると言った具合で お寺の年中行事として欠かす事の出来ないモノです 自分の寺では、先代の住職さんが高齢だった為 ここ何年かは参拝旅行をしていなかったんですが しびれを切らした檀家さんから 「折角、若い住職になったんだから何処かに連れて行け!」と 矢のような催促があるので 色々と無い頭をひねって参拝旅行のプランを考えております なにしろ旅行に行かれる方は 皆、あちこち行き尽くした感のある方ばかりで 「行ってない場所は冥土だけだよ!」 「まあじきに行く予定だけどね」 と、こんな具合なので 食通相手におたおたする東西新聞の 富井副部長並にうろたえなければなりません 宿の手配から食事・飲み物・観光の手配まで どうやっても不満が出てくる中で 少しでもマシな旅行にしませんと後が恐ろしいですから 住職として、非常に頭の痛い問題であります 今日も、旅行の予定などで頭を悩ましておりますと 檀家のオバチャンがやってきまして 「おじゅっさん、予定は決まったかいな?」と さりげなくプレッシャーをかけてきます こちらとしても、まだ思案中の事ですから 何のかんのと言葉を濁してかわしておりますと… 「頑張って良い計画を考えてちょうだいよ なにせ美人に囲まれて旅行が出来るんだから!」 と、激励の言葉を頂きました 参加総数の8割以上が元・娘さんなので ファーザーも悔しがるモテモテ振りが予想されますが 何故か涙で前が見えなくなってしまいました 【今日の一言】4/14 「旅人にとって最も重い荷物は空の財布だ」 ドイツの俚諺 ・引率者にとって最も重い勤めは… |
第百三十八段 生まれ生まれ生の始めに暗く… 【四苦八苦】(しくはっく) 人生の苦悩の根本原因である 生・老・病・死を四苦と言い、これに 愛別離苦(あいべつりく) 愛するものとは必ず別れなければならない 会うは別れの始めなりという→会者定離(えしゃじょうり) 全ての者は等しく死ぬという→生者必滅(しょうじゃひつめつ) などと対句をなして世の常ならざる事を説く 怨憎会苦(おんぞうえく) この世の中では、どんなに避けようと思っても 怨み憎む者と出会わなければならない 求不得苦(ぐふとっく) 欲しいと願っても手に入らない事で 苦しまなければならない 五陰盛苦(ごうんじょうく) 人間の心身を構成する五蘊(ごうん) 色(しき) → 物質の存在形態 受(じゅ) → 感性的認識作用 想(そう) → 表象を判別する作用 行(ぎょう)→ 意思・その他の心作用 識(しき) → 対象を了別して判断を下す心そのもの これら全ての感覚や作用から苦しみが盛んに起こる 上記の四つの苦を配して四苦八苦とする 転じて非常な苦しみを指す言葉として使用される 誠心書房 中村元監修 「新・仏教辞典」 →【四苦八苦】 四苦に四苦を足して八苦になるので 四句+八苦で十二苦になるわけではございません>挨拶 仏教では物事を正しく捉える理性 いわゆる般若(プラージュナ・梵)・智慧の見解が無いと 一切皆苦(いっさいかいく) この世の中で、苦しみ倒さなければならないと説きます 智慧の見解についてはこちらで説明しておりますが とにかく、普段の我々のモノの見方と言うのは 転倒夢想(てんどうむそう) ひっくり返ったモノの見方をしながら 妄想に耽っている状態であるとされています 日常の中で意のままにならない事=苦しみが 多いのは、自己を中心にしすぎている所為で 冷静に考えれば自分というモノが無茶な道理を 押し通そうとしているのが理解出来る筈なんですが 貪り・怒り・無智の三毒(さんどく)といった 心の生活習慣病に侵されているので 冷静な判断が出来ず、その為に自分で苦しみを 作り出してしまう悪循環から抜け出せません 幸福や不幸と感じるモノは、どこかの神さんが 定めたモノでも、どこかで決定している事項でもなく 起こりえた事象を自分の心がどう判断するかなので 決して自分に関係の無いところから 不意に訪れるような性質のモノではありません 上記の苦しみを苦しみとして受け取ってしまうのは 自分の心がモノの道理をわきまえていないからであって 結局のところ、内面的な苦しみというモノは 自分自身の心が作り出していると説きます 天災や飢餓・戦争となりますと 外的な条件=縁と言うモノが関わってくるので また、別の話になってくるんですが とりあえず内面の苦しみに関しては 自分自身が作り出しているという事を 納得できるか・できないかで 仏教徒と非仏教徒を分類することが出来ます 自分は、まがりなりにも仏教徒ですから 苦しみを作り出しているのは自分自身であるという 上記の見解を是として受容しております 故に、ちょっとだけ苦しみと言うモノに 煩わされない快適な生活を送っております なにせ 愛別離苦と言っても愛着する対象がおりませんので 苦しむ事が少ないんですな!(←求不得苦) あれ、おかしいな…涙でモニターが良く見えません… 【今日の一言】4/15 「心こそ心惑わす心なれ、心に心、心許すな」 古歌 貴方の心を惑わすのは貴方の心ですから 自分の心というモノに惑わないように 心をしっかりと保つ必要があります ・関係無いですがコロコロコミックってまだ売ってるんですかね… |
第百三十九段 ふんわり シャーリー いえ、その…スカートがぶわっと… すみません、こういうのに憧れてたんで… ベネット そんな事が嬉しいなんて… なんか暗い過去背負ってそうだなー… ビームコミック 森薫 「シャーリー」 エンターブレイン スカートと巻き尺は長いモノに限る!>挨拶 ミニスカの撲滅を心より願う仁鐵でございます 夜の夜中にこういった文章を打ち込んでいる姿を 冷静に省みてみますと、なんともやるせなく ふと死にたくなるような衝動に駆られますな… スカートや衣(ころも)の裾など、長いモノが 風にひるがえっている様に魅力を感じる性質なので 近年のスカート丈の短さにはウンザリしている訳ですが こういう事を書きますと 「ロングでフリフリのヒラヒラが好き…ロリですか?」と 聞かれたりするので非常に不本意であります 自分としましては、ロリ云々の格好が好きという訳ではなく ストレートなラインのスカートとか 坊主の衣(ころも)の袖の部分だとか レースでは無い無地のカーテンなど そういった普段は素っ気ない 長めのモノが風をはらんで、ふわっと ひるがえったりするのが好きなんです!(力説) 具体例を挙げますと 衣の両袖を風にふくらませて廊下を歩いている姿とか ジブリ系の作品に見られるような ふわっとしたスカートのひるがえり方とか 風になびいているガンダルフのローブやマントとか 上記の「シャーリー」174・Pの下段のコマとか! イメージ的にはこんな感じで (伯爵夫人の昼食会) 人でも物でも ピシッとした緊張感のある姿も良いですが たまには、ふわっと息を抜いた姿も良いわけで そういった一瞬の柔らかい雰囲気を醸し出す あの感じが、大好きなんです(←体の良い言い訳) 今日の夕方、檀家さんの家まで お経をあげに出かけてきたんですが 車で移動しておりますと 今時にしては丈の長いスカートをはいた 女子高生?の自転車とすれ違ったんです 対向車の様子を見ながら右折しようとしたところ 折からの強風にあおられて スカートが…こう…ふわ〜っと! 危うく大事故を起こすところでございました 【今日の一言】4/16 「天つ風、雲の通ひ路吹きとぢよ、をとめの姿しばしとどめむ」 講談社学術文庫 有吉保 「百人一首」 第十二歌 僧正遍昭 ・いや、遍昭僧正の気持ちが判りました(←絶対に違う) 連絡事項 20万HITのキリ番を踏まれた方は メール・掲示板にてお知らせ下さいますよう お願いいたします 豪華粗品をプレゼントさせて頂きます! また、キリ番の発表と共に ・三十六歌仙〜冬の月における 歌仙を同時に発表させていただきます キリ番の報告が無かった場合は 別の方法でプレゼント企画を発動いたします |
第百四十段 いつも有り難うございます! 義〜理と人情〜秤にかけりゃ 義理が重たい坊主の世界ぃいいい〜(挨拶) 昨日は義理のある方の葬儀に急に出向く事になり 20万HITの御礼言上が出来ませんでしたので 改めて閲覧者の皆様・並びにリンク頂いている皆様に 厚く御礼申し上げる次第でございます! さて、物資の欠乏から久しく行っておりませんでした キリ番プレゼントでございますが 今回のキリ番を踏まれた「Qちゃん」さんから >海外在住なのでプレゼントは遠慮いたします との御連絡を頂きまして 今更ながらにネットの広さに思いを馳せましたが 手元の粗品をどうするか思案にくれてしまいました よくよく考えて見ますと サイト開設1周年企画も年度末の忙しさでうやむやですし 10万HITの時もこれといって何もしておりませんから そろそろ何か企画をしないと、埒があきません オフ会の開催も考えてはみましたが 明石海峡と鳴門の渦潮と讃岐うどんが足を引っ張るので どうにも身動きが取れません また、神戸・三ノ宮まで一時間チョイとは言え 葬儀が入れば則刻中止をしなければなりませんから 単独でのオフ会を開くのに これほど不向きな職業も無いと思い知りました 1周年の企画はいずれ形を変えて 新コンテンツを作るにしても どうにも当座の企画が思い浮かびません そこで、プレゼントの抽選も兼ねまして 兵法・第十四計=借屍還魂キャンペーン 【緊急】企画をリクエストして海苔を当てよう!【企画】 エッ!どさくさに紛れて読者層アンケートも? を開催させて頂きます 応募方法は 件名:海苔ゲット! 1・HN 性別 URL 2・企画のリクエスト 3・年齢・職業・国 (必須では無いので気が向いた方はお願いします) 4・当サイトを知ったのは? 5・リクエスト内容及びHNのサイト上での公開 (可・不可) 6・ご意見・ご感想などありましたらどうぞ 上記項目を記入いただきまして メールにてお送り頂ければ幸いでございます 知恵を借りる→海苔を還す→(゚д゚)ウマー 「みんなで幸せになろうよぉ〜」 by 後藤隊長 といった窮余の策でございますので 御協力いただけますよう、お願いいたします 応募頂いた方の中から抽選で合計2名様に 海苔の詰め合わせ+αの粗品を送らせて頂きます なお、商品の発送は 当選者の発表をもって代えさせて頂きますので ふるって御参加いただければ幸いです …嘘です、ちゃんと送りますので 助けると思ってどうかひとつヨロシクお願いします! 【今日の一言】4/18 「舟は帆で持つ。帆は舟で持つ」 日本の諺 ・イベント処理能力は低いですが、なんとか! 連絡事項 【変則・三十六歌仙〜冬の月】 歌仙の方は「華」さんと「ごぢゃ」さんに決定致しました 「華」さん「ごぢゃ」さん、有り難うございました! また参加いただいた全ての方々に厚く御礼申し上げます 歌仙のお二人は一度こちらにメール頂きますようお願い致します |
第百四十一段 途中経過 【グループインタビュー(グルイン)】 1 方針の無いときにとりあえず仕事をやったという 実績を作るために広告会社や調査会社が多用する方法 2 モデレータの独断を一般消費者の意見だと 信じ込ませるための寸劇 日経ビジネス文庫 山田英夫 「ビジネス版・悪魔の辞典」 ・マーケティング 20万HIT・記念企画のリクエストなんですが 現在のところ11通の応募を頂き 反応があってよかったと安堵している仁鐵でございます 企画に関しては、まだ集計中なので先送りですが 現時点では 漫画のオススメ・オフ会の開催・代打日記・人生相談 などが重複しております また、同時に行っている読者層のアンケートでは 男女比 6:4 平均年齢 25.7才 現住所 日本…9 ・アメリカ…1 ・チリ…1 と、非常に興味深い結果が出てきております 応募があっただけでも御の字ではありますが 企画に決定打が出ておりませんし もう少しデーターを取ってみたいという気がいたしますので 引き続き応募頂ければ幸いです! (応募の締め切りは4月21日辺りを予定しております) 個々のメールに返信は出来ませんが ご意見・感想など有難く拝読させて頂いております! 筆無精も手伝って普段メールが来る事は稀なので (返信貯め込んでおります申し訳ございません!) 企画関連で一気にメールが届くのは 非常に有難いものだと再認識いたしました …が 【秘密厳守】アンパンマン【純トロ密売!】 などのメールがゴソッと届くのはいかがなモノかと 【今日の一言】4/19 「個人視聴率」 ターゲットをどれだけはずしていたか数字で検証されるモノ 同 ビジネス版・悪魔の辞典 ・読者年齢は20代後半〜30代前半と予想しておりましたが 存外若い読者さんがおられてビックリでした |
第百四十二段 20万HIT企画! オチ無し「ちょっとイイ話」でも可 (アヌビス) オフ会、もっと早ければチャット 読者が参加できるものが良いかと思います (琶花) GWの72時間連続更新・お寺オフ開催 (JET・STREEM) オフ会 できれば関東でもやって欲しいです (如風) 精進料理教室+座禅OFF! (Chi-Chi) 料理をテーマとしてはいかがでしょうか (カニ) 漫画のおすすめして欲しいです! (ちぃ) 禅問答・・・だけどネタなの(笑)出題お願いします (CHIE) 読者からの問いに対して禅問答(ボケ)で回答 (けんじ) 悪魔の辞典 世紀末仏の項あたりを毎日、作る (SO) お題でエッセイ、読者からのリクエストで人生相談 (じょん太) 皆さん多彩なリクエスト本当に有り難うございました 今日一日、どういった企画を実行するか 頭を悩ませましたが、事ここに至って ようやく企画が定まりました! 読者参加型にするか、はたまた独白系にするか 色々と悩んだ結果… 坊主めくり20万HIT企画 【人生】逆に坊主の悩みに答えてみよう!【相談】 〜坊主と言っても、色々と悩みがあるんですよ〜 を執り行う事に決定いたしました! 私(仁鐵)の悩みを、閲覧者の皆さんが一刀両断 北方謙三も裸足で逃げ出す明快な答えをもって ひとつ、この彷徨える愚僧をお導きください 回答をしていただく諸先生におかれましては 件名:まだまだもの足りないぜ! 1・HN URL(サイト名) 2・悩みへの関する回答(短文で) 上記の悩みに対する答えをメールにてお送りください 悩み 価値観や常識など、世の移り変わりが激しい昨今 一僧侶として、これからの時代を乗り切るべく どのような生き様を目指せば良いのでしょうか? 諸先生方の鋭い 心よりお待ち申し上げております! 連絡事項 企画応募プレゼント 海苔の詰め合わせ+αの当選者は MASAさんとクロンさんでした オメデトウございます、こちらから連絡のメールを お送りいたしますので少々お待ち下さい! |
第百四十四段 坊主めくり20万HIT企画! 【人生】逆に坊主の悩みに答えてみよう!【相談】 〜坊主と言っても、色々と悩みがあるんですよ〜 悩み・1 価値観や常識など、世の移り変わりが激しい昨今 一僧侶として、これからの時代を乗り切るべく どのような生き様を目指せば良いのでしょうか? ソープだ!ソープへいけ! (北方謙三風) Markさん ポール牧と織田無道を足して2で割った生き方 ヨシさん リアルネットアイドル坊主として颯爽とデビュー 黄狼さん 時代に逆行するようなカタチでも良いんじゃない? アキさん 生き方など目指さなくて良い! ねぎぼうずさん 冷蔵庫の奥にあるキムコのような存在を目標に… TERUさん 大阪あたりでパーッと行きましょう! ブロイさん 悩み・その2 今まで、あだなで呼ばれる事が殆ど無く 取っ付きにくい人物だと言われてきました 何か良いあだ名かミドルネームは無いものでしょうか? ってか、それって名前じゃなくて外見のせいじゃ? Dr・ビクターさん 悩み・その3 30代を目前に控えて、これから どういった事を心がけて頑張って行くべきでしょうか? 大いに暴走、Deepな世界を築くべし(30代より) とーやさん 仁鐵より 先生方、回答どうも有り難うございました! かなり真面目な内容や長文のお答えを頂き 却って恐縮してしまいました 特に悩みの無い人間が漠然と質問するのはイカンと 素で反省しております! 「OOみたいな生き様」と、テンプレを作っておくべきでした 次回の企画では、この経験を生かして 楽しめるイベントを打てるように精進いたします PS 親身な回答頂きました皆様のご意見 しかと胸に止めて邁進していく次第でございます! |
第百四十五段 とかく浮世は… おなじ心ならむ人と、しめやかに物語して をかしきことも、世のはかなきことも、うらなく いひなぐさむこそ嬉しかるべきに、さる人あるまじければ つゆたがはざらむと向かひ言いたらむは ひとりある心地やせむ。 同じような心持ちの人と、しんみり話をして 面白いことでも、つまらない世間話でも隔てなく 話し合うとしたら嬉しい事には違いないのだが そういう人も滅多にいないので なるべく相手の言う事に逆らわないように 向かい合って話をするのだが、対話の面白さも無く 自分一人だけでいるような気になってしまう 角川ソフィア文庫 今泉義忠 「改訂・徒然草」 第十二段 「お願いします、やらせて下さいと言う」 選挙カーのアナウンスはどうかと思う今日この頃 (挨拶) 20万HIT企画にかかっている間に リアル坊主ライフで嫌な動きがあり いちじるしく気分の悪い仁鐵でございます 先日、近隣の寺同士で会合をしておりますと 「あ、仁鐵さん教師会の理事お願いします」 などと、事も無げに役職を振られてしまいました 同宗派の坊主の組織にも色々とあるんですが 教師会と言うのは、若手の坊主(20代〜40代)で 構成されている坊主同士の青年会のようなモノで ホテルで会合やって飲んで遊んで 申し訳程度にピントのずれたイベントを行う どーでも良い事この上ない集まりなので(偏見) 坊主同士で群れるのが嫌いな当方としましては 気乗りしない事この上も無い訳でございます 基本的に同県人の集まりですから 自分のように他県から来た人間にとっては 居心地の良いモノではありませんし 酒・車・飲み屋のお姉さん・ゴルフ・野球 etc… 会合に出てくるであろう若手坊主との間に 共通言語を持たない身としましては 適当に「はひふへほ」を駆使して 相づちを打つ位しか、やる事がありません 例) 「は〜凄いですね」 「へ〜大したモンですね」 「ほ〜羨ましい」 坊主同士の政治的やりとりに巻き込まれるのも 地方豪族の成金自慢に付き合うのも願い下げなので なるべく関わらないようにしていたんですが ついにお鉢が回ってきてしまいました 元来、寺の生まれで無い人間にとって 地元坊主の会合などというモノは 機械伯爵達のパーティに生身で飛び込むようなモノですから いまから気が重くて仕方がありません まあ出向く前からウダウダ言っても仕方が無いので せめて似た様な趣味の持ち主がいる事に期待しますが 似た様な趣味の持ち主がいても それはそれで不気味だと感じてしまう自分は 立派な社会不適格者だと改めて思いました 【今日の一言】4/24 「君子は党せず」 論語 述而 ちゃんとした人間は偏よった仲間びいきの行動はしない ・まあ在家出身のルサンチマンなんですがねぇ… |
第百四十六段 臨在感 聖所と行った、こういう形の場所に対する臨在感は 日本人にはほとんどないんです 日本国内では伊勢詣りというのは昔からあったし 非常に古くは仏陀生誕の地を求めて行ったという 記録もないことは無いんです しかしこれは例外でして日本人というのは 元来それをしないんです、逆にひとつのモノを 自分の家の中に引き入れるんです これは神棚とか仏壇ですね、そしてそれで 臨在感を得る。ですから仏壇がなくなって テレビが出てきたと言えますけれども この二つは非常に似ているんです ある一つの対象に、ある小さい箱を通して 臨在感を感じる訳ですから これがヨーロッパ人ですと、ちょっと表れ方が違いまして こういう形だと臨在感を得る事が出来ないんです 彼らはやっぱり劇場に行くとか教会に行くとか 一定の場所へ行かないとそれが強く感じられない 更にイスラム教徒ですとメッカのテレビを見たって 駄目な訳でして、実際に行かなければならないんです ここには大きな違いが出てきます 講談社学術文庫 山本七平 「比較文化論の試み」 第一章 臨在感(りんざいかん)というのは、ある対象の背後に 何がしかの存在を感じるという感覚でして これは民族や地域の常識と密接に関わるモノです 我々日本人であれば神社や仏閣、墓地や位牌など そういったモノの背後に、日本人特有の 祖霊観や”何か”を無意識に感じ取ります 各民族や宗教によって様々な感じ方が 存在している事を理解するのは重要な事ですが ほぼ単一民族で他民族との感じ方の差異を 真剣に考えなくても済んでいた日本人は その辺の感覚に疎いので 海外の宗教施設や観光地などで トラブルを引き起こしているという話を 旅行業者さんからよく聞かされました 上記の引用文にもありますが日本人以外の 各民族は、ある一定の場所に強い聖地意識を 持つ傾向が顕著だそうでして パレスチナ問題などは、まさに その実例であると見て取る事が出来ます 一神教というのも関係しているんでしょうが とにかく民族や宗教的なアイデンティティーを 場所や土地に強烈に求めるのが特徴だそうです イスラム教徒の人達は一生涯の内に 聖地であるメッカに巡礼することを 最大の目的にしておりますから 貧しくても、何十年もかけてお金を貯め 巡礼の旅でパーッと使ってしまいます その行動がイスラム圏の経済成長を 妨げてるとか何とか、外野はとやかく言いますが 彼らにとって、それは一生をかけてでも 行うべき義務として認識されていますから それが普通であると思っている訳です 西洋圏でも週末に教会に行く人間が減ったと 報じられても、彼らの社会常識としては 週末は教会に行き、懺悔をしたりするのは DNAレベルで当たり前の事として認識されております 時代や考え方がめまぐるしく変化してきている 昨今であってもこういった感覚というモノは にわかに変化する事はありません 日本人は、この聖地意識と言うモノが希薄ですが 代わりに、自分の生活の場の中に臨在感を 感じる対象を引き入れると言われております 四国八十八ヶ所に参る代わりに「お砂踏み」だったり 清水の次郎長に見られるように「代参」だったり 自分がその場所に行かなくても「代わりのモノ」で 済ませる事に何の抵抗も感じないのが 非常にユニークな点であるとされています これはヴァーチャルリアリティの先駆けとでも 言うべき事でして、擬似的に体験する事で 良しとする感覚が歴史的に身についているので 日本が、コンピュータやアニメなどの 擬似的な分野に強いのも何となく納得できます 場所に対する臨在感、言い換えれば 外に出てナンボと言う価値観が希薄な訳ですから 先進諸国の中で異常に引き籠もりが多いとされるのも 故無き事ではなかろうと思っております 近年のネット社会の発達などが拍車をかけたという 側面も否定出来ませんが、どうも日本人には もともと、そういった資質が備わっていたと考えても そう的はずれな見解では無いと確信しております ですから 別にゴールデンウィークに外出できなくても なんて事は無いんですよ、エエ本当に…(←負け惜しみ) 【今日の一言】4/25 「古木に寒鳥鳴く」 唐詩選 魏徴 五言古詩 述懐 枯れ枝に鳥のとまりけり秋の暮れ〜芭蕉の元ネタ 古来、さびしさの情景をあらわす言葉として有名 ・………(;TДT) それは、それとして景気低迷・疫病流行・核武装と 行き着くところまで来た感じがありますから 腹くくっておかないといけない気がしますな〜 |
第百四十七段 歴史に鑑みる 一国の国力を計る方法のひとつは その国と、近隣諸国との間にどのような関係が 成り立っているかを見る事である もしも近隣諸国が友好関係を保ちたいが為に 貢納してくるようならば、その国は強国と言えよう 反対に弱体な筈の近隣諸国であるのに それらの国々に対して金銭をもって援助する 関係である場合、その国家の国力は弱いと思うしかない ローマ史全体を読んでいくとアッシリア人、エドゥス人 ロードス人、それにシラクサのヒエロンやエウネメスや マッシニッサのような王たちが ローマと国境を接する国や君主であったのだが 彼ら全員はローマとの友好関係を確保するために ローマが必要とする貢納金を収め経費を負担し ローマの保護を得るために自分たちからは 何の要求もしなかったのであった これと正反対の例は弱体な国家に見られる 我々の祖国フィレンツェから始めとする フィレンツェ共和国が隆盛をきわめた昔でさえ 国境を接するロマーニャの小国群は、貢納どころか 経費の負担も申し出た事はなかった それどころか我々の方が彼らに経済援助を与えていたものだ もしもフィレンツェに強力な軍事力が備わっていたならば これとは反対の現象が生じていたであろう つまり友好関係を売りつけるのでは無く 友好関係を買おうとしたにちがいないのだ このようにだらしない状態は一人フィレンツェに限らない ヴェネツィア共和国やフランス国王にとて同様だ フランス王に至ってはスイスやイギリスに 貢納している始末である この原因は、一に、自国の民の武装を怠り 他国民の傭兵に頼った事にある このような近視眼的な国策は ひとまずの現状打破に役立っても 終局的には国家の命取りにつながらざるをえないのである 新潮文庫 塩野七生 「マキャヴェッリ語録」 第二部 国家 「政略論」 お釈迦さんの晩年、故国である釈迦国は 近隣のコーサラ国の侵攻をうけて滅ぼされてしまいました コーサラ国の国王は、お釈迦さんの教えに 深く感じ入っておりましたので 「自分の后は釈迦族から迎えたい」と思い その旨を釈迦族に伝えたのですが 使いに出した使者が大国の強みからか 非常に傲慢な態度であった為に 腹を立てた釈迦族は、やめときゃいいのに ある富豪が下女に産ませた美女を やんごとない血筋のお姫様といつわって コーサラ国王に嫁がせてしまいました 事情を知らない国王は、彼女との間に生まれた子を 非常に可愛がり、八才になると釈迦国に留学をさせたのですが 釈迦国の人間は、この王子の出生の秘密を知っているので 下女の子であるとして苛め倒しました 日頃、大国であるコーサラ国に何のかんのと 注文をつけられていた事もあって たまっていた鬱憤を晴らした訳ですが 苛められた子供にとっては非常にショックでして 「恨み晴らさでオ・ク・ベ・キ・カ!」 となった訳でございます 釈迦国の人間としては、この子がコーサラ国の 跡継ぎになるとは考えてもいなかったのでしょうが 前王が病死した後、紆余曲折を経て 苛め倒した、この子供が王になってしまいました 苛めた側が忘れても、苛められた人間は 絶対にその事を忘れないとの言葉の通り 「アイシャルリターン!」と復讐を決意して 釈迦国に兵を進めました そのことを聞かれたお釈迦さまは コーサラ国から釈迦国につづく 街道の一本の枯木の下で坐禅をして王を待ちました 街道を進撃してきたコーサラ国王は お釈迦さまの姿を見かけて挨拶をしてから 「世尊よ、ほかに青々と繁った木もございますのに なぜ枯木の下に座っておられるのですか?」 と、問いかけました、するとお釈迦さんは 「王よ、親族の陰は涼しいものです」と答えました じつはその枯木は、釈迦国のシンボルの木であり そのことばをもって、お釈迦さんは故国・釈迦国への 愛情を表明されたので コーサラ国王は、お釈迦さんの顔を立てて 一度兵を収めて、自国に引き上げました しかし、怒りに燃える国王は、二度目の進軍を開始します ところが、二度目もお釈迦さんの姿を見て、断念しました。 そして、三度目に軍を進めた時も枯木の下で お釈迦さんが坐禅をしていたので、王は軍を引き返しました しかし、四度目の時はお釈迦さまの姿はありませんでした コーサラ国王の軍は、釈迦国を滅亡させて ついに、積年の恨みを晴らしました お釈迦さんとしては、三度の遠征の内に コーサラ国王が思いとどまってくれればと考えて 三度、捨てた筈の祖国を救いに出向いた訳ですが 因果の流れが確実に釈迦族の滅亡に向かっている事 そして、それを招いた様々な要因の中で 災いを招いたのは釈迦族自身である事を見て ついに、その場を離れたと言われております この故事をもって、世に言う 「仏の顔も三度」のことわざができて 人間の努力や忍耐に限界のあることを示しました お釈迦さんは故国の滅亡に際して 「宿縁すでに熟し、今まさに報いを受くべし」 とのコメントをされたと伝えられています 釈迦国への助力を申し出るモノもありましたが それまでの経緯や因と縁の積み重ねから 滅びるべき原因と条件を積み重ねたモノは どうやっても滅ぶ方向に向かうものであるとして 助力の申し出を断りました 人でも国でも永遠に存在するモノは無く 生成消滅を繰り返すのが世の常であります 現在の日本を取り巻く状況は 世紀の変わり目という事もあり なにかとゴタついておりますから 一概にどうこうとは言えないんですが 願わくば お釈迦さんの追体験はしたくないな〜と 思う今日この頃であります まあ、そうなったら、そうなったで諦めざるをえませんが… 【今日の一言】4/26 「国に常強無く、常弱無し」 韓非子 有度 永久に強い国も、永久に弱い国もない 国の存亡は、やり方次第でどうにでもなる ・不景気やら病気やら核やら…どうなって行くんでしょうな〜 |
第百四十八段 THE ONE RING 三つの指輪は空の下なるエルフの王に 七つの指輪は岩の館のドワーフの君に 九つは死すべき定めの人の子に 一つは暗き御座の冥王のために 影横たわるモルドールの国に 一つの指輪はすべてを統べ 一つの指輪はすべてを見つけ 一つの指輪はすべてを捕らえて暗闇の中に繋ぎ止める 影横たわるモルドールの国に 評論社文庫 J・R・Rトールキン 瀬田貞二訳 「指輪物語」 序文 婚約指輪に最適と思われます これでも買って、彼女に贈ってあげれば良いと思います 式に参加できるかどうかは不明ですが 二人の幸せを心より願っております! と、いうネタを考えついたんですが 何かが終わっているような気がしました 【今日の一言】4/27 「結婚は包囲された砦と同じで外にいる者は 中に入りたがり、中にいる者は外に出たがる」 中国の俚諺 ・♯004のペンダントはイイ感じです!(買っちゃった…) |
第百四十九段 観音笑い かのこ 二太、ええかぁ 泣いたら世間がやさしゅうしてくれるか 泣いたら腹がふくれるかあっ! 泣いてるヒマがあったら笑ええっ!! 二太 今日ぼくは鼻血を出しながら笑う事を覚えた ひとつ大人になったと思う ビッグコミック 西原理恵子 「ぼくんち」全 小学館 大人になったのは13年前の春でした!(挨拶) あきらめる=放棄すると 諦める=モノの道理を明らかにする というのは似て異なるものでして 前者は未練を残しつつ継続の意思を放棄した状態で 後悔し、心にしこりを残す形であるのに対して 仏教で言う諦めとは 現在の状況を冷静に分析し 原因や条件から導き出された現状に 価値判断や私情を加えず、ありのままを見る事です 希望的観測や夢想・妄想を加えずに ただ淡々と現状を認識する事によって 心を騒がせる事無く、穏やかに物事を対処していく 静謐(せいひつ)な心の状態を指しますから 自然と穏やかな笑みをたたえると言われております アルカイックスマイルとも言い 諦観(ていかん)の笑みとも言われますが 俗に言う、「あきらめ」とは天地の開きがある事を 皆さんに知っておいて欲しいと切に願うものであります 連休…楽しそうだな〜と思うこと13年 心から、諦観の笑みをマスターしたいと願っております ビッグスピリッツコミック 佐々木倫子 「ヘブン」 1巻 小学館 【今日の一言】4/28 「虚を致すこと極まれば、静を守ること篤し」 老子・十六章 自分の心から利害得失などの想いを徹底して除き 心を虚しくしていけば平静を得ることが出来る ・判断停止(エポケー)によってアタラクシアを得るんですが 思考停止とは違うので要注意です! 連絡事項 4/29は、ちょっと更新できそうもありません |