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はりまCU:12年度に救命センター、新日鉄広畑病院開設へ /兵庫

 <「いま」を伝える まち/生活>

 ◇救急体制整備に期待

 医師不足などで救急医療体制が深刻な状況になっている姫路市で、新日鉄広畑病院が2012年度をめどに救命救急センターの開設を目指している。現在、西播磨地域で救命救急センターに指定されているのは心筋こうそくなどの循環器系疾患に特化した県立姫路循環器病センター(姫路市西庄)だけであるため、行政や医師会も新たなセンター開設を歓迎している。西播磨地域ではこの2病院を中心に相互補完しながら救急医療の「最後の砦(とりで)」を担う体制づくりが進められている。【久野洋】

 救命救急センターは一定地域ごとに県が指定するもので、まとまった病床数や救急医療スタッフの常駐などが条件。救急医療体制は(1)軽症患者を受け入れる1次救急(2)入院や手術が必要な重症患者に対応する2次救急(3)2次で対応できない重篤患者や大けがをした人を担当する3次救急--に分けられており、救命救急センターは3次の役割を果たす。

 播磨地域全域で見ると、県立加古川医療センター(加古川市)も3次救急に指定され、北・東播磨地域を所管している。しかし中・西播磨地域には循環器病センターしかないため、循環器系の患者以外は他病院や神戸市などへの搬送を余儀なくされていた。

 この現状に、県や市、姫路市医師会などでつくる「救急医療連絡会議」は新たな救命救急センターの必要性を指摘。院内に救急診療部を持つ新日鉄広畑病院に期待が高まっていた。ただ、新日鉄広畑病院だけで、すべての急患をカバーするのは難しい。このため、小児科に力を入れている姫路赤十字病院など他の病院と相互補完する体制を整備するため、関係機関の調整が進められていた。

 新日鉄広畑病院は、3月25日に「エコパークあぼし」(姫路市)で起きた爆発事故で3人、5月4日に山陽自動車道・御立(みたち)トンネル(同)で起きた玉突き事故でも2人の負傷者を治療するなど、今でも年間2500台程度の救急車を受け入れている。さらにセンターが開設されれば、受け入れ可能台数が4000~5000台まで伸ばせる見込みという。

 斎藤寛理事長は4月27日の連絡会議でセンター設立を表明。外科や整形外科、消化器科に対応する病床数20~30の施設を目指すという。医師や看護師の確保や病棟の建て替えも必要で、医師確保や財政面で行政の支援も必要となる。斎藤理事長は「地域の救急医療に貢献したいとの思いで手を上げた。1~3次救急すべてに対応できる施設作りを目指す」としている。

 ◇病院減少で地域医療崩壊

 姫路市では07年12月、吐血で救急搬送された男性が19病院に相次いで受け入れを断られ、結果的に死亡した事案が発生。救急医療体制が危機的状態にあることが一気に表面化した。

 近年、市内では医師不足や医師の過労から「救急医療」の看板を下ろす病院が相次いでいる。市消防局によると、99年に28病院あった市内の救急告示病院は、今年4月までに20病院にまで落ち込んだ。受け入れ先が少なくなれば、当然、1施設あたりの搬送者は多くなる。医師は治療に忙殺されて新たな患者に手が回らなくなるため、受け入れを断るしかないケースも起きてしまうのだ。

 この悪循環を何とか打開しようと、市は病院に対する経済支援を行っている。09年度からは「休日・夜間急病センター」の後送輪番病院を対象に(1)委託料の一部の大幅引き上げ(2)人件費の一部補助--などを実施。来年度からは研修医への奨学制度も始める方針だ。

〔播磨・姫路版〕

毎日新聞 2010年5月18日 地方版

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