トヨタ自動車は19日、09年秋以降に販売した最高級車「レクサスLS」でハンドルの動きが一時的にタイヤと連動しなくなる不具合があり、21日にも国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ることを明らかにした。対象台数は約4500台。海外約50カ国での販売分も近くリコールする方針で、国内外の回収台数は約1万1500台になる。【宮島寛】
リコールするのは、ハイブリッド仕様の「LS600hL」「LS600h」の09年11月以降に販売した分と、ガソリン仕様車「LS460L」と「LS460」の10月以降販売分。
車速に応じてハンドルの利き具合を調節するVGRS(ギア比可変ステアリング)の制御プログラムに問題があり、低速でUターンする際などにハンドルを最大に切った後で急に戻すと、勢い余ってハンドルが直進の状態より反対方向に最大90度近く動くという。その際も車は正常に直進し、ハンドルは数秒後に正常位置に戻る。
プリウスのリコール後の今年3月以降、顧客からトヨタに不具合の指摘が12件あり、トヨタは4月末から国交省に相談し、リコールの準備を進めていた。国交省にこの問題が原因とみられる事故報告はないという。
トヨタ幹部によると、ハンドルが一時的に戻りすぎるのは機構上の特性で、説明書に注意書きも入れていた。しかし「対象の車は戻り方が極端で、顧客に不安を与えてしまった。より運転しやすくするために昨年秋の一部改良でプログラムを変更したことが裏目に出た」と説明している。
毎日新聞 2010年5月19日 東京夕刊