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口てい疫(口蹄疫)について

流行は?

 2001年、英国で、口てい疫(口蹄疫)という病気の流行がおこりました。この流行を沈静化するため、英国では400万頭以上の家畜が処分されました。2002年1月15日、英国政府は、英国での口てい疫が事実上終息したと発表しました。さらに、2002年1月22日、国際獣疫事務局(OIE)は、英国での口蹄疫の流行が終結したことを確認しました。全世界で、ときどき、口てい疫(口蹄疫)という病気の発生は見られています。日本でも発生が見られることがあります。
 口てい疫(口蹄疫)という病気は、ひづめの割れた動物たち(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ)の病気で、ウイルスによって起こされる感染症です。口てい疫(口蹄疫)という病気は、たいへん感染しやすく、感染した動物による肉やミルクの生産を止めてしまい、肉やミルクを扱う産業に大きな経済的打撃を与えます。
 口てい疫(口蹄疫)という病気は、人間の感染症ではありません。人間が感染することがあっても、きわめてまれであるとされています。英国のPublic Health Laboratory Service ( PHLS) によれば、英国では、2001年5月3日現在、人間が口てい疫(口蹄疫)という病気に感染したのが検査で確認された一番最近の例は、1967年の症例であるとのことです。2001年の英国での口てい疫(口蹄疫)の流行時に「英国で人間が口てい疫(口蹄疫)に感染した」と報道された21例について血液を英国のPublic Health Laboratory Service (PHLS)がPCR法で調べたところ口てい疫(口蹄疫)のウイルスは検出されなかったとのことです。そのうちの3例からは、人間のエンテロウイルスが検出されたとのことです。ただし、人間は自分の体や所持品・衣類・靴などに口てい疫(口蹄疫)のウイルスを付けてウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカのところに運んでしまう可能性があります。そのため、口てい疫(口蹄疫)の流行地では、人間にも行動制限があります。
 鳥や馬は、口てい疫(口蹄疫)に感染しません。家畜の中でも、口てい疫(口蹄疫)に感染する可能性のあるものと口てい疫(口蹄疫)に感染する可能性のないものがあるのです。
 犬やネコも口てい疫(口蹄疫)に感染しません。ただ、犬やネコは自分の体に口てい疫(口蹄疫)のウイルスを付けてウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカのところに運んでしまう可能性があります。そのため、口てい疫(口蹄疫)の流行地では、犬やネコも行動制限があります。
 英国で口てい疫(口蹄疫)が発生した場合の対処法は以下の通りです。まず、24時間以内に、口てい疫(口蹄疫)が発生した農場の口てい疫(口蹄疫)に感染する恐れがある動物をすべて処分します。次いで、48時間以内に、その隣の農場でも口てい疫(口蹄疫)に感染する恐れがある動物をすべて処分します。動物の死骸については、決められた方法で焼却・埋める等されます。

 2010年4月20日(火)、日本の農林水産省から国際獣疫事務局(OIE)に、日本での口てい疫(口蹄疫)の発生についての第一報が届けられました。日本においては、2000年の発生以来の発生です。宮崎県児湯郡都農町(こゆぐんつのちょう)の牛16頭の農場[繁殖牛農家(繁殖牛9頭,育成牛3頭,仔牛4頭)]で一頭の牛が2010年4月7日に発病しました。2010年4月9日(金)に開業獣医師が当該農場の異常な牛について宮崎家畜保健衛生所に通報しました。通報を受けた宮崎家畜保健衛生所の家畜防疫員(獣医師)が同日、当該農場を訪れ、一頭の牛が発熱・食欲減退を起こし過度な唾液を流し、口腔内にびらんがあるのを確認しました。一方、当該農場の他の牛には症状が見られなかったことから、その時点では感染力が強いといわれている口蹄疫とは考えにくかったため、経過観察としました。ところが、2010年4月16日(金)夕方に当該農場の他の牛が発病したとの連絡があり、2010年4月17日(土)に再度の立入検査を実施し、別の2頭に同様の症状があることを確認しました。イバラキ病等の同様な症状を起こす口てい疫(口蹄疫)以外の感染症の検査をおこないました。2010年4月19日(月)午前にはその検査結果が陰性と判明したことから、口てい疫(口蹄疫)の検査のために2010年4月19日(月)20時00分に独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所海外病部(東京都小平市)に検体を送付しました。2010年4月20日(火)未明、動物衛生研究所で口てい疫(口蹄疫)に関する PCR検査(遺伝子検査)を行ったところ、陽性が確認されました。2010年4月23日には、動物衛生研究所における抗原検出検査(ELISA検査)の結果、口蹄疫(O型)の患畜と確定しました。当該農場については、疑似患畜と確認された2010年4月20日以降、当該農場での防疫措置(飼養牛全頭の殺処分、畜舎の消毒、汚染物品の焼埋却等)、および、移動制限区域(当該農場から半径10km以内の区域)・搬出制限区域(当該農場から半径20km以内の区域)の設定等の防疫措置が講じられました。
 その後も宮崎県内で牛・豚での口てい疫(口蹄疫)の発生の報告が続きました。詳しくは、
農林水産省ホームページ「口蹄疫に関する情報」
動物衛生研究所ホームページ「口蹄疫 - Foot-and-mouth disease(FMD)」
宮崎県ホームページ「口蹄疫に関する情報提供について」
等をご参照ください。
 なお、2000年(平成12年)の日本における口てい疫(口蹄疫)の発生は、日本における92年ぶりの発生でした。宮崎県の3農場と北海道の1農場の牛で発生し、口蹄疫ウイルスの血清型はO型でした。

どんな病気?

 口てい疫(口蹄疫)は、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカなどに見られるたいへん感染しやすい病気です。症状・徴候の見られる数日前から、他の動物を感染させる可能性があります。症状・徴候は目立たないことがあり、とくにヒツジでは目立ちません。
 ウシでは、発熱、ふるえ、脚の痛み・腫れ・水ぶくれ(水疱)、よだれなどが見られます。ミルクの出も悪くなります。
 ヒツジでは、突然、脚が不自由になり、横になっていることが多くなり、立ち上がろうとしません。立ち上がるように強いられると、後ろ脚を前に投げ出しうずくまったような姿勢になり、動こうとしません。ひづめ・つのに添った皮膚、口の中等に水ぶくれ(水疱)ができることもあります。
 ブタでは、突然、脚が不自由になり、横になっていることを好みます。動くように強いられると、キイキイと大声を出し、痛そうに脚を引いて歩きます。ひづめに添った皮膚、鼻や舌などに水ぶくれ(水疱)ができます。Swine Vesicular Disease という病気でも同様の症状が出るので注意が必要です。
 病原体である口蹄疫ウイルス(FMD virus : FMDV)が体内に入ってから症状が出現するまでの期間(潜伏期間)は、24時間から10日ぐらいまでで、それ以上のときもあります。平均的には、3-6日です。
 口てい疫(口蹄疫)の感染経路は、主に三つあります。次の三つです。
 1. 動物から動物へと、直接に。直接の動物間の接触や、離れていても咳によって生じた飛沫を吸い込んだりした場合。
 2. 感染した動物に接触した人間が、病原体である口蹄疫ウイルス(FMD virus)を運んでしまう場合。
 3. 病原体である口蹄疫ウイルス(FMD virus)を含んでいる、感染した動物の糞・尿・唾液によって汚染された物との接触による場合。車や犬や動物の身の回りの器具などが含まれます。

病原体は?

 口てい疫(口蹄疫)は、英語では foot and mouth disease ( FMD ) と言います。英語で、 hand , foot and mouth disease と言う似た名前の病気がありますが、これは人間の感染症で手足口病です。英語で名前は似ていても、口てい疫(口蹄疫)と手足口病は、違うウイルスによる違う感染症です。口てい疫(口蹄疫)は、ピコルナウイルス科(family Picornaviridae) 、アフトウイルス属(genus Aphthovirus)に属する口蹄疫ウイルス(FMD virus)が病原体ですが、手足口病は、ある種のエンテロウイルス(特にコクサッキーAウイルス)が病原体です。

 口蹄疫ウイルスには、七種類の血清型があります。O、A、C、Asia 1、SAT 1、SAT 2、SAT 3の七種類です。SAT 1、SAT 2、SAT 3はアフリカで見られます(SATは、South African Territoriesの略)。Asia 1はアジアで見られます。O、A、Cはアフリカ、アジア、南アメリカ、時としてヨーロッパで見られます。七種類の血清型ではOの検出が多いです。

予防のためには・・・

 予防としては、人間が口てい疫(口蹄疫)をウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカなどの間で広げてしまわないことが一つの目的になります。口てい疫(口蹄疫)になる可能性のあるウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカなどとの接触を控えましょう。
 口てい疫(口蹄疫)の流行地に行くのは、控えましょう。「立ち入り禁止」の表示に従いましょう。消毒の指示に従いましょう。
 口てい疫(口蹄疫)のウイルスは、人間の鼻やのどの中に数日とどまってから出て来る可能性があります。口てい疫(口蹄疫)の流行地から帰ってから5日以上経過するまでは、動物と接触するのは止めましょう。

2001年5月17日初掲載
2002年1月28日増補
2010年5月10日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成 - 2010年5月10日更新
電話: 045-754-9815 - FAX: 045-754-2210
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