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学習意欲を出すのには相手が必要

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感覚遮断児も見かけは野生児とよく似ているのですが、そうなった原因が違います。しかし、両方ともに共通することがあることを理解してください。
まず野生児は、オオカミの社会の刺激さえも学習できたということです。人間はオオカミにさえなれるぐらいの大きな学習能力をもっているのです。
オオカミ少女の回復が遅れたのは、歩行や言葉、感覚を再学習しなければいけなかったために、それに抵抗したということです。でも抵抗をなくしたら、その後は急激に学習して人間的になってきたそうです。
感覚遮断児は生まれてすぐから何も学習できなかったので、新しく学習することの抵抗がなかったのです。そこで、学習の意欲をもった時点からわずか2〜3年で遅れた5〜6年分を取り戻しました。それどころか、施設のほかの子よりも良くなっていきました。これも潜在的・生得的にもって生まれた学習能力の大きさを示すものです。しかも、それはだれでももっているのです。
皆さん方は、コロナの部分では実際に計算ができるとか漢字が読めるとかいう点では個人差があります。それはコロナの部分のことであって、やる気によってはあっという間に取り戻すことができます。取り戻せないのは、今、できないことは、つい逃げ腰になって学習能力を十分に発揮していないだけの話です。ですから学習の意欲をもつかどうかが大きなポイントなのです。
学習能力というのは一人で学習する能力ではなかったのです。人間の脳は人と人とのやり取りを通して思考・学習能力を発揮するようになっているのです。つまり対話のなかで最も効率よく学習能力が働くということです。
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