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犬小屋に閉じ込められた姉弟の話

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二つ目は「感覚遮断児」の例を出しましょう。感覚遮断とは感覚(学習)能力を働かせる対象のない世界に住まわされてしまうということです。
1972年のある日、サンケイ新聞に『日本の野生児』という形で2人の子どもの記事が掲載されていました。サブタイトルには、「犬小屋で育てられた子どもたち」とありました。
2人は、ある理由で生まれたときから別室ないし犬小屋に隔離されて育てられました。食事は与えられていたのですが、話しかけられたこともない。遊んでもらったこともない。全く無視されたのです。そういう形で育てられると人間は全然成長しないのです。
そのような状況から保護されたとき、姉は6歳、弟は5歳でしたが、普通児の1歳ころの身長と体重しかなかったのです。しかも歩けない、言葉が話せない、そして感覚異常でした。感覚異常とは、弟と姉との間で親しみ合うこともなければ喧嘩もない、何の接触もなく、鈍感な状態でした。
保護された後、2人は1歳児クラスの乳児院に入れられました。2人はものすごい勢いで回復していきました。すると、何とお姉ちゃんは2年間のうちに、弟は3年間のうちに小学校の普通学級に入学できたのです。そしてずっと施設で育つわけですが、難しいといわれる県立高校に2人とも合格しました。今はもう35、6歳になって立派な社会人として暮らしておられます。
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