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集まれ!I リーグ生 会場再現レポート
オオカミ少女の話

 この学習能力がいかに大きいかということを、分かりやすい2つの事例で確かめてみましょう。このことは後々役にたつ事例ですので、何か苦しいことがあったときに思い出してください。

 まず「野生児」の事例です。20世紀の初めにインドのある村で人間として生まれながら、赤ちゃんのときに捨てられてオオカミと一緒に生活していた2人の女の子の話です。アマラとカマラと言いました。

 その少女たちは、まさにオオカミそっくりだったのです。二足歩行ができず四足で歩き、「ウォー」と遠吠えはするが言葉も話せず、動物のような鋭い聴覚をもっていました。アマラは1年以内に死にましたが、カマラは推定18歳まで約7年間生きました。

 彼等は施設に収容されました。写真(1)はカマラのほうで、最初の2年間は四足で歩いていました。1年たつと二足歩行もできるようになったのですが、いざというときはパッと四足になってすごい速さで走りました。野生児は人間世界に戻ると人間に戻っていくものの、回復が遅いのです。

 写真(2)は唯一アマラも入った写真ですが、半年ぐらいは家の中で寝ることができず、こうやって屋外で寝て、食事の仕方もまさにオオカミの生活そのものです。写真(3)はカマラが副院長からビスケットをもらっているところです。でもちょっと不思議なことも起こってきました。ご飯だって手は使わずに口だけで食べていたのに、手でつかまってオオカミの世界ではほとんど見られない木登りをするようになりました。教えないのに新しいことも少しずつ自分で学習しはじめたのです。

 木登りのおかげで2、3年すると手で食べるようにもなってきました。写真(4)で食べているものは鳥の内臓です。散歩のときもやっぱり四つん這いがらくです。でもこのカマラも2年から5年かけて人間らしくなって、小さい子の面倒も見ることができるようになってきました。言葉も3歳ぐらいのレベルですが、亡くなる18歳までに身につけました。でも人間的になってくるのは最後のほうでした。

 2人は脳の学習能力でオオカミの社会のことをどんどん学習してオオカミそっくりになっていたのです。そして人間の社会に戻って、ちゃんと言葉を話し、二足歩行をするように直されると、最初は抵抗します。でも、その抵抗がなくなったときに一気に学習しはじめたのではないかと考えられます。



野生児の生活(1)



野生児の生活(2)



野生児の生活(3)



野生児の生活(4)


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