【社会】3月末に感染見逃し 宮崎県家畜保健衛生所2010年5月18日 夕刊 宮崎県で4月23日に口蹄疫の感染疑いが確認された水牛について、県の家畜保健衛生所が3月末に農場への立ち入り検査で健康状態を確認した際、典型的な症状がなかったため口蹄疫を疑わず、感染を見逃していたことが18日、県への取材で分かった。 別農場で4月20日に感染疑いが確認された1例目の牛も「症状があるのが1頭だけで、口蹄疫とは考えにくい」と判断、症状把握から遺伝子検査まで約10日かかった。 赤松広隆農相は18日、宮崎県が口蹄疫を見逃したとの指摘について「事実経過はああいうことだと思う」と述べ、県の見逃しを認めた。宮崎大の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「3月の時点で徹底した対策を取っていれば、ここまで感染が広がっていなかった可能性はある」と指摘している。 県によると、水牛のケースでは、3月31日に獣医師から「下痢の症状がある」と連絡があり、家畜保健衛生所が立ち入り検査で便などを採取したが、口蹄疫の典型的な症状がなく遺伝子検査などはしなかった。別の農場で感染疑い例が確認されたのを受け、採取していた検体を遺伝子検査し、陽性反応が出たという。 一方、4月20日に感染疑いが判明した1例目の牛については、同9日に「口の中に軽い潰瘍(かいよう)がある」と通報を受けた家畜保健衛生所が「症状がある牛が1頭しかおらず、感染力が強い口蹄疫とは考えにくい」と判断、経過観察にとどめていた。別の2頭に症状が出た後の19日にようやく検体を動物衛生研究所に送り、感染疑いが分かった。
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