金本復帰祝う“弟分”新井のＶ犠飛で２位浮上…阪神

ベンチで歯を食いしばるパフォーマンスをしてナインを笑わす金本（中）

　◆ソフトバンク２─４阪神＝延長１０回＝（１８日・ヤフードーム）４番打者としての執念がバットに乗り移った。延長１０回無死一、三塁。阪神・新井は摂津のスライダーを右中間にはじき返した。「一、三塁になったので気分的に楽になりました。勝って何よりです」。意地で運んだ決勝の中犠飛。「代役」の肩書が、完全に外れた瞬間だった。

　福岡入りした前夜（１７日）だった。金本のスタメン復帰後も首脳陣から４番に座ることを通達された。「金本もいきなり４番はどうかと思って。右、左のバランスがよくなるし、新井は後ろからプレッシャーを感じていいんじゃないか」と真弓監督。「特に意識せずにやったつもりです」と新井は振り返ったが、表情は硬かった。

延長１０回無死一、三塁、新井は勝ち越しの中犠飛を放つ

　北京五輪で日の丸の４番を務めた経験があっても、縦じまの重圧を和らげることはなかった。「阪神の４番は日本代表の４番よりきついと思う」。今月上旬には１５打席連続無安打を味わい、金本の偉大さを知った。アニキが６年間守り続けた“聖域”だからこそ、その重みに押しつぶされそうになっていた。

　弟分の奮起に４月１７日の横浜戦以来、２２試合ぶりのスタメンの金本も燃えた。四球で出塁した４回に今季初盗塁を決めると、１０回１死一塁から一、二塁間を破る右前安打。大和の右犠飛につなげ、追加点をアシストした。新井の後に、ぶざまな姿は見せられない。

　チームは３試合連続の２ケタ三振を喫したものの、逆転白星で２位に浮上し、首位・巨人とは３・５ゲーム差。「スコアボードに名前があるだけで相手も違うと思うし、自分たちにとっても違います」と、金本の復帰を新井は喜んだ。真弓阪神に精神的支柱が帰ってきた。