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3月末に口蹄疫見逃し、殺処分11万頭突破へ

 宮崎県で4月23日に口蹄疫の感染疑いが確認された水牛について、県の家畜保健衛生所が3月末に農場への立ち入り検査で健康状態を確認した際、典型的な症状がなかったため口蹄疫を疑わず、感染を見逃していたことが18日、県への取材で分かった。

 別農場で4月20日に感染疑いが確認された1例目の牛も「症状があるのが1頭だけで、口蹄疫とは考えにくい」と判断、症状把握から遺伝子検査まで約10日かかった。

 赤松広隆農相は18日、宮崎県が口蹄疫を見逃したとの指摘について「事実経過はああいうことだと思う」と述べ、県の見逃しを認めた。

 宮崎大の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「口蹄疫はウイルスが広がりやすい特徴を持っている。3月の時点で徹底した対策を取っていれば、ここまで感染が広がっていなかった可能性はある」と指摘している。

 宮崎県は18日、同県川南、高鍋、新富各町の農場15か所で口蹄疫感染の疑いがある牛や豚計30頭が確認されたと発表。処分対象の牛や豚などは計約11万4000頭となった。

 県によると、水牛のケースでは、3月31日に獣医師から「下痢の症状がある」と連絡があり、家畜保健衛生所が立ち入り検査で便などを採取したが、口蹄疫の典型的な症状がなく遺伝子検査などはしなかった。別の農場で感染疑い例が確認されたのを受け、採取していた検体を遺伝子検査し、陽性反応が出たという。

 一方、4月20日に感染疑いが判明した1例目の牛については、同9日に「口の中に軽い潰瘍がある」と通報を受けた家畜保健衛生所が「症状がある牛が1頭しかおらず、感染力が強い口蹄疫とは考えにくい」と判断、経過観察にとどめていた。別の2頭に症状が出た後の19日にようやく検体を動物衛生研究所に送り、感染疑いが分かった。

(2010年5月18日11時50分  スポーツ報知)

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