焦点: 浮き彫りになる大手銀行グループの経営格差
みずほフィナンシャルグループが8000億円の増資に向けた手続きに入ったことで、3大銀行グループの「増資懸念は払しょくされた」(シティグループ証券の銀行アナリスト、野崎浩成氏)との見方が市場では大勢を占める。しかし、資金需要が伸び悩む中で、大型増資による1株利益の希薄化を打ち返すだけの収益増強策を実現させるのに苦慮しているのが現実だ。みずほはこれからローンチさせる増資を成功させるために大胆な増益計画を打ち出したが、実現性には首を傾げる市場関係者も多い。
みずほの11年3月期当期利益は前年比179.6%増の4300億円。13年3月期には5000億円に拡大させる。「実現の可能性はある」(野崎アナリスト)との声もあるが、銀行の本業収益である業務純益が伸び悩む中で、「本当に実現できるか疑問」(外資系証券アナリスト)との声も根強い。「企業価値増大に向けた断固たるステップを踏む」と強調した塚本社長の実行力が問われる。
三井住友フィナンシャルグループの北山禎介社長は今期の見通しについて「来年度に向けて伸びの下地を作っていくことが中心にならざるを得ない」と発言。手数料収入の拡大に努める各銀行グループだが、収益の6割以上は貸出金収益。三井住友の今期は、国内の貸出金の減少を海外で補う構図を描くが、「爆発的に収益が稼げる状況ではない」(幹部)という。
三菱UFJの11年3月期の当期利益目標も前年同期比2.9%増の4000億円と微増にとどまる。永易克典社長は今後の収益の伸びについて「(銀行が)ぐいぐい伸びていくことはない。投資銀行業務やグローバル展開、富裕層業務などを含めてやっていけば持続的成長は可能だ」との見解を示した。
(ロイター日本語ニュース 布施太郎記者)
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