焦点: 浮き彫りになる大手銀行グループの経営格差
[東京 18日 ロイター] 3大銀行グループの2010年3月期決算発表が18日、出そろった。
巨額増資に踏み切りながら、明確な収益増強の道筋を描ききれない三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)と三井住友フィナンシャルグループ(8316.T: 株価, ニュース, レポート)に対して、最も大胆な計画を打ち出したのが、8000億円増資計画を発表したみずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)。各グループの配当政策や資本政策の差異も明らかになり始めており、「横並び経営」と揶揄(やゆ)されてきた邦銀に経営格差が生じ始めているとの指摘も出てきた。
<配当政策で取り組みに差>
横並びが常だった銀行経営の中で、今回、明確な差が生じたのが配当政策だ。三井住友FGは10年3月期の1株当たりの配当を2年ぶりに引き上げ、年間配当を前期比10円増配の1株100円に増やした。11年3月期も維持する方針。
これに対して、みずほは11年3月期の配当を1株6円とし、2円減配する。会見した塚本隆社長は「現在大切なのは資本の拡充。1株当たりの利益を上げていくことで企業価値の拡大に繋げる」と説明した。三菱UFJは11年3月期も1株12円の年間配当を継続する。
授権枠拡大に対する対応も分かれた。三井住友が6月の株主総会で発行可能な株式総数の枠を2倍に拡大すると発表したのに対して、みずほは見送った。三井住友は発行枠の9割を使い尽くしており、広げなければ追加増資は不可能になる。みずほも8000億円規模の増資を実施すると、残る枠は現在の株価ベースで計算すると4000億円程度にすぎない。三井住友の北山社長は「資本を使うようなインオーガニックな動きに対応するためには、授権枠の拡大を準備しておき、いざという時に動けるようにすべきと判断した」と狙いを説明。
対応が分かれた背景については、両行の資本政策に対する違いがある。これから市場で資金を吸い上げるみずほは、従来の配当を維持して社外流出を拡大させるわけにはいかない。さらに、8000億円の増資を成功させるためには、追加増資懸念を払しょくさせなければらず、枠の拡大はあり得ないというわけだ。三井住友は増配によって「枠拡大による追加増資懸念を払しょくしたいのではないか」と、ある機関投資家の銀行アナリストは分析する。「内部留保と株主への還元とのバランスをどうするのか。今後は、ますます違いが明確になってくるのではないか」(同上)との見方も出ている。
<規制対応増資は一段落、収益向上策は描けず> 続く...
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