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同床異夢

2010年5月19日0時3分

 外需から内需へと言いながら、バラマキ以外の有効策が打てない現政権は、新興国の経済成長に乗じて、わが国が比較的に得意としている国際的なインフラ・プロジェクトの受注に活路を開こうとしている。

 一大交渉団を引き連れた外遊は、パフォーマンスには最適である。受注に成功すれば成果も誇示できるので、政治家にはうってつけの出番となる。

 官僚たちも、互いに疎遠な民主党大臣と民間業界幹部の仲立ちや外国要人との面談で存在感を示せる。加えて、国際インフラ事業はプロジェクト・リスクやカントリー・リスクがあるほか、超長期の低利融資が求められる。このため、前政権で縮小させたはずの貿易保険や国際融資といった公的金融の動きも活発化させている。

 民間業界は業界で、使えるものなら猫の手でも借りたい、という発想と、国のリスクで受注できれば幸い、という思惑が見える。

 政・官・業三者の同床異夢には、最後は血税で済ませればいいという従来と同様の発想が透けて見える。

 だが、国際プロジェクト受注にはもうひとつ重大な落とし穴がある。ある国際NGOが毎年国別の汚職度を公表しているが、07年度では180カ国中、インドは84位、ベトナムが120位であった。これら諸国がまさに、閣僚たちが連休中にインフラ受注のために、訪問した国である。

 経済センスに乏しいにわかセールスマンたちが、新興国の権謀術数にたけた権力者に対するのに、いかなる秘策があるというのだろうか。正体不明のフィクサーたちに食い荒らされた揚げ句に巨額の国民負担という悪夢だけは避けてほしいものだ。(匡廬)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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