2005年08月15日

実証:シャチハタで役所を通す

「捺印,但しシャチハタは不可」

もはや形骸化している日本の印鑑社会.
証明のための印鑑に,証明を取らないといけない不可解.
今日の記事はそんな矛盾だらけの現代でちょこっと(?)戦った一人の男の記録である.

長年おせわになったバイクがついに故障し,このたび廃車することとなった.
役所にナンバープレートを持ち込み,手続きを進める.
書類の捺印箇所が2箇所.懐から愛用のシャチハタ印を取り出して判を押そうとする.
とすかさず事務官が,「シャチハタはちょっと・・・(認められませんのです)」
と拒絶.
「ああそうですか,それでは一度家に戻って普通のはんこを持ってきます.」と即答したものの,今日に限ってなぜか遊び心満点な気分だったので,ちょっと突っ込んでみた.
「しかしそれではシャチハタ印はだめで普通の印はOKという,その違いは何なのでしょうか.もはや普通の印も,その辺の100円ショップで買えますよね.出来上がりの印影も区別はできません.」
すると,
「(多少困惑しながら)朱肉を使うかどうかの違い・・・ですかね.」
とのこと.もちろんこのような問答に実りはなく,単に事務官を困らせるだけであるということも承知はしている.しかしこの事務官の返答で,いたずら心に火がついた!
「では,じつはこの印鑑はシャチハタではありません.朱肉をお借りできますか?」
自分でも何が「では」だよ!と心中では思った.

が,結果としてなんとこの無茶な主張は通ったのである.朱肉は準備され,つつがなく手続きが終了した.しかも最初に捺印したときは,過剰に朱肉を押しすぎたために印影が真っ赤な円になってしまい,一時は「どうやら私の企みは失敗したようです.おとなしくはんこを取ってきます.」と言うまでに至ったのだが,その場の不思議な空気が,
「すみません,もう一度挑戦してみてよろしいでしょうか.この印は訂正が効きますか?」
「はい,ばつ印をつければもう一度押せます」
という異次元な会話を成立させていた.気を取り直して,朱肉にシャチハタをつけ(るふりをして),捺印を完了したのである.

今回は相手が新人事務官メイン+先輩事務官が補佐,というような組み合わせであったことも奏功したようだ.先輩は不許可は不許可でつっぱねるがこういうグレーな問題にはあんまり関わりたくないという様子,一方新人は制度の知識は不足しているが,とにかく応接は丁寧にしなければという意思が垣間見られた.その結果僕のインチキ作戦の合法性の判定が黙認されたまま,引き続き丁寧な応対が成立するという異次元空間が形成されたのである.

お役所の制度のカタさにはいつも泣かされるが,こういうグレーゾーンには付け入る隙があるかもね!

P.S.今日の感じだと,シャチハタ印を拒否されたとき,「それではいったんもどって捺印してきます」と残して書類を持ち帰り,物陰でシャチハタ印を押してすぐ戻ってもOKだろう.


qurihara at 22:00│Comments(5)TrackBack(0)この記事をクリップ!

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by ぴーぱー   2005年08月19日 08:30
考えつくだけでもすげえのに、さらにそれを実践してしまうあたりに脱帽。
そういった行動の数々を小説のネタに使わせてもらいたいくらいだ。つーか、上の文章を見てたらQ先生自身で書けるのではないかと思った。次回作はシナリオ担当かな?(ニヤソ
漫画もいいけど、こういう心理描写にはむしろ小説が適してるよ。
2. Posted by qurihara   2005年08月19日 17:58
Blogを1ヶ月くらいやってみてまだまだ文章が未熟だと思うのは、文単位ではなく文章単位のノリのよさがうまく出せない点だと思います。P先生ご指導夜露四苦!
3. Posted by natsu   2005年08月26日 14:37
5 ボス!流石です!
常識を覆すその勇気に乾杯!で、完敗!!
4. Posted by qurihara   2005年08月27日 12:44
おお〜.
初めて星をもらったぞ,しかも5つも.
素直にうれしいな.
ごっつあんです!
5. Posted by まいまい   2007年02月16日 17:01
シャチハタのインクは時間が経過すると滲んでしまうので× 悲惨なくらい滲みます。役所の人がちゃんと説明できればよかったのでしょうけど。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔