自力V消滅も把瑠都あきらめない/夏場所
<大相撲夏場所>◇10日目◇18日◇両国国技館
エストニア出身の新大関把瑠都(25=尾上)が、痛恨の2敗目を喫した。2人合わせて401センチという、ブルガリア出身の大関琴欧洲(27)との巨漢対決で寄り切られ、8勝2敗となった。初日から10連勝の横綱白鵬(25)とは2差をつけられ、優勝争いから後退。それでも1場所15日制が定着した49年(昭24)夏場所後、10日目終了時点での2差を逆転した例は5度あり、初優勝への望みは捨てていない。
把瑠都の表情が、黒星の意味の大きさを物語っていた。同じ欧州出身の琴欧洲に寄り切りで敗れた直後、土俵下で座りながら下を向いた。続けて首をひねり、ため息を漏らした。2敗目で白鵬とは2差がつき、自力での優勝の可能性が消滅した。「(立ち合いで)突き放したかった。思い切りいったけど手が伸びていない。腰が高い。初日から言っているように足が出ていない」。支度部屋に戻ると反省ばかりが口をついた。
幕内で2番目に長身の把瑠都にとって、203センチの琴欧洲は唯一、見上げる相手だ。リーチ差のない相手に立ち合いで低く当たられると、ガッチリとまわしを取られ、得意の右四つを封じられた。琴欧洲に終始、頭をつけられ完敗。初優勝が遠のくと同時に、大関で優勝相当の成績を2場所連続で挙げることが条件の、横綱への道も遠ざかった。
11日目は、5人の大関の中で最も番付の低い把瑠都が、横綱白鵬と最初に対戦するのが慣例だ。だがこの日の取組前に把瑠都は日馬富士と、白鵬は魁皇との対戦が決定。終盤まで優勝争いを盛り上げたいという、審判部の期待の表れだった。それを裏切る形となり、武蔵川理事長は「(白鵬と比較して)把瑠都の方が内容が中途半端」と話した。
今場所は立ち合いの突き放しが不発で「場所前に出げいこができていなかったから」と要因を挙げた。相撲人気を復活させたい一心から、場所前は相次いでテレビやイベントに出演し、大型連休で見学に来たファンに配慮して部屋でけいこするなど、持ち前のサービス精神が足を引っ張った。
それでも10日目終了時の2差を逆転優勝したケースは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降、5度ある。場所後には母ティナさんが来日予定で、国内の静かな島や温泉などを候補に、ともにゆっくりと休める場所へ連れて行く計画を立てている。幼少から女手一つで育ててくれた母に直接優勝報告するためには、もう負けられない。【高田文太】
[2010年5月19日8時10分 紙面から]
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