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高校無償化、適用先送り 朝鮮総連の内紛激化

2010年5月2日(日)8時0分配信 産経新聞

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 朝鮮学校への高校授業料無償化適用問題をめぐり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)内部が揺れている。無償化獲得を「至上命題」と位置付け、運動を展開してきたにもかかわらず、適用が先送りされたことで、守旧派と改革派の対立に発展しているという。生徒・保護者の韓国籍への変更策や教育ソフト化で食い止めてきた朝鮮学校の生徒離れや、関係者の総連脱退が加速する可能性も出てきた。(桜井紀雄)

 

 ■守旧派VS改革派

 北朝鮮の民主化に取り組むNPO「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)が朝鮮総連幹部から得た情報によると、総連中央本部は3月13、14の両日、東京都内に各都道府県本部委員長を招集し、緊急会議を開いた。

 同月11日にRENKが記者会見を開き、無償化獲得を指示する総連の内部文書や歴史教科書の内容を公開したことへの対抗策を協議するはずだったが、実りのある議論にはならず、内部文書を流出させた「犯人捜し」に終始したという。

 内部文書によれば、金正日総書記が直々に今年を「民族教育を強化する年」と位置づけ、「民族教育は在日朝鮮人運動の生命線だ」と訴えている。この号令のもと、「適用除外は民族差別だ」と国会議員やメディアへのキャンペーンを繰り広げてきた総連にとって、適用先送りは「敗北」を意味する。

 先送りをめぐって、総連内では、現状を維持したまま無償化獲得を主張する守旧派と、「適用のためには、教育内容を改善すべきだ」とする改革派が対立。内紛の火種がくすぶり続けているという。

 RENK代表の李英和関西大教授は「現在の教育内容に不満を持つ教員、父母は少なくないようだが、現状では改革派が主導権を握る見通しは低く、総連脱退につながる可能性がある」と分析する。

 ■止まらぬ生徒離れ

 朝鮮学校運営をめぐり、総連に激震が走ったのは今に始まったことではない。

 朝鮮学校の生徒・児童数は昭和30〜50年代のピーク時には約3万5千人に上ったが、その後、衰退の一途をたどっている。文部科学省によると、現在は8300人にまで落ち込んでいる。金日成・金正日父子礼賛一辺倒の教育内容が「日本で暮らしている実情とかけ離れている」と朝鮮学校に子供を通わせたがらない父母が相次いだからだ。

 中でも、サッカーの日韓ワールドカップが開催され、金総書記が日本人拉致を認めて謝罪した平成14年以降、生徒離れが一気に加速した。

 金総書記の悪口を口走った児童をしかり飛ばすことなく、押し黙ってしまう教員が現れ、元教員の一人は「教えていて苦しかった」と関係者に吐露している。

 生徒離れと財政難から統廃合も進み、約160校あった学校数は73校に減少。内部文書によると、総連の許宗萬(ホジョンマン)責任副議長が「統廃合は敗北主義だ」との金総書記の指示を伝え、統廃合を押しとどめるようげきを飛ばした。

 ■韓国籍取得は戦略

 14年以降の急激な生徒離れを受け、総連側は、教科書を全面的に見直す教育内容の「ソフト化」を推進。総連幹部職員やその子供たちの韓国籍取得を支持する方針に転換した。

 朝鮮総連を北朝鮮の出先機関と見なす韓国は、総連からの脱退や、朝鮮学校からの退学が確認された場合に限り、総連所属者の韓国籍取得を認めてきたが、金大中(キムデジュン)、盧武鉉(ノムヒョン)両政権の親北政策のもとで基準を緩和。将来的な脱退を約束すれば国籍が取得できるようになったことが、朝鮮学校の生徒や父母らの韓国籍化の追い風に作用したという。

 日本国内の無償化議論では、朝鮮学校側が「生徒・児童の半数以上が韓国籍である」ことを北朝鮮本国の直結でない根拠に挙げ、日本の適用賛成派も論拠としてこの点を強調する。

 だが、実際には、韓国籍取得は総連離れを食い止めるために戦略的にとられたもので、生徒らの保護者の多くが総連の幹部職にとどまり続けた。

 李教授は「『偽装韓国籍』であり、詐欺行為にあたる」と指摘している。







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