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【東京】

性描写規制で都議会委意見聴取 賛成、反対双方から意見

2010年5月19日

 子どもを性的な対象として描く悪質な漫画やアニメを規制する都条例改正案について、継続審議中の都議会総務委員会は十八日、参考人として大学教授や弁護士ら四人を呼び、改正案に対する意見を聴いた。改正案をめぐる参考人の意見聴取は初めてで、この日は賛成、反対双方の立場から二人ずつ出席。改正案は今後、来月一日開会の定例会で再び審議される。

 「何も知らない子どもが過激な情報にさらされると、性の倫理観がねじ曲げられてしまう」。六本木で子どもの相談に応じる赤枝恒雄医師は、十代女性の性感染症の実態を踏まえて改正案の早期成立を求め、「現実を知ってほしい」と訴えた。

 都協議会で改正案の土台となる答申をまとめた前田雅英・首都大学東京法科大学院教授も「刑罰を科すものではなく、せめて子どもが見にくい場所に置こうと区分陳列を義務付けるだけ」と強調。「条文をいじるよりも、現実的な運用指針を早くつくっていくのが得策だ」とも述べた。

 一方、反対の論陣を張る参考人が着目したのは「どんな漫画が規制されるのか」という構成要件の不明確さだ。宮台真司・首都大学東京教授は「主観次第で何でも対象に入り、無限定的な悪書狩りにつながりかねない」と指摘。さらに「波及効果は大きく、表現者は萎縮(いしゅく)する。隔離することが子どものため、と考える大人が多いのは残念」とした。

 田中隆弁護士も「性交を描写したコミックを読むことが、性的成長を阻害するという学問的な知見はない。表現の自由に抵触するばかりか、青少年への過度な介入だ」と述べ、改正案撤回を求めた。

 

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