原口一博総務相は18日、NTTの組織見直しの是非について「年内に結論を出す」との方針を示した。高速ブロードバンドの普及に向け、NTTから光ファイバー回線を分離するかどうかについては総務省の検討会がこの日、「1年後に再検討」との報告書を提出したが、より早く結論を出すよう促した。ここに至る議論には、原口氏とソフトバンクの「近さ」が影響を与えてきた。
「1年先送りする余裕はない。一定の結論を年内に得て、国民に次のステップを実感してもらう」。18日、総務省の政務三役と、NTTの組織見直しを話し合う検討会「タスクフォース」の委員が顔をそろえた会合で、原口氏はこう述べた。あくまでも年内決着にこだわる考えを強調した。
原口氏は昨年12月に「光の道」と呼ぶ構想をまとめた。光回線などの高速ブロードバンドを2015年までに国内全世帯に普及させる政策だ。通信各社は、NTTの電電公社時代の資産を元に築いた光回線網などを借りながらサービスをしている。公平な競争で光を普及させるためには、これらをNTTから切り離すべきだとの意見が業界には根強い。
タスクフォースは今年3月末から作業部会で集中議論し、「1年後をめどにNTTの光回線網の開放度合いを検証し、進展状況に応じて(組織見直しを)再度検討することが適当」との報告書をまとめた。株主の利益を左右する見直しを1カ月半で結論づけるのは拙速、との理由だ。
委員の間では原口氏への不信感が高まる。理由の一つが、NTTからの光分離を主張するソフトバンクの孫正義社長との「近さ」だ。