池田信夫 blog

Part 2

「アクセス回線会社」案をめぐって来月、孫正義氏と夏野剛氏と私の3人でニコニコ動画で討論することになった。スケジュールは調整中だが、技術的な問題に深入りするより通信インフラ整備についての考え方を議論したほうがいいと思うので、経済学の標準的な考え方を紹介しておこう。

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最近のインフラ整備をめぐる議論で、私が「ソフトバンクの利益と国益を一緒にしないでほしい」と書いたら、「企業にも社会的責任(CSR)がある」という反論をいただいたので、この問題についての経済学の考え方を紹介しておこう。CSRを否定する議論として有名なのは、フリードマンのエッセイである。彼はこう書く:
In a free-enterprise, private-property system, a corporate executive is an employee of the owners of the business. He has direct responsibility to his employers. [...] the corporate executive would be spending someone else's money for a general social interest. Insofar as his actions in accord with his "social responsibility" reduce returns to stockholders, he is spending their money.
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先日の孫正義×佐々木俊尚対談は5時間半もあって見る気がしないので、孫氏のプレゼンテーションを読んでみた。

お断りしておくが、私は彼を事業家としては尊敬しているし、日本で数少ないベンチャーの成功例として、起業家の希望になっていると思う。しかし通信業界での彼の評判はよくない。NTTや電力系だけではなく、ISPでもソフトバンクを批判する人は多い。その一つの原因は「自社の利益を国益と称して規制強化を求める」性癖だ。残念ながら、今回の案もその一例に見える。

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2010年05月14日 23:29
科学/文化

小学校は5歳児から

来年度予算で国債の発行額を抑えるために、子ども手当(月額2万6000円)を減額する案が浮上してきた。その代わりに保育所の建設などの「現物支給」で補うという案が出ているが、ニューズウィークでも指摘したように、これは悪くないアイディアである。今のようなバラマキではなく、幼児教育に限定した保育バウチャーにすれば、子ども手当を成長戦略に役立てることができる。

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先日のアゴラ起業塾イマドキの起業のしかたは予想を超える盛況で、立ち見の出る熱気でした。不況は起業の時期としては良くありませんが、起業したい人は増えているようです。お客様も半分以上が30代以下で、「会社が定年まであるかどうかわからない」とか「手遅れにならないうちに人生をやりなおしたい」という話が多いのが印象的でした。大学を卒業してサラリーマンになれば一生安全という日本社会の神話がよくも悪くも崩れ始めたようです。

そこで6・7月のアゴラ連続セミナーでは、8回シリーズで日本の起業家の元祖ともいうべき西和彦が、その多くの起業の成功や失敗の経験を語り、サラリーマンが自立するためのノウハウを伝授します。

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総務省の「電波利用料制度に関する専門調査会」のヒアリングで、通信事業者はそろって周波数オークションに反対した。NTTドコモが「金額が高騰する恐れがあり、事業継続性の観点から反対」というのはともかく、改革派を自称するソフトバンクモバイルが「巨大企業がますます大きくなる」という理由で反対しているのは、ナンセンスというしかない。

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天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡中世哲学といえば、誰も原典は読んだことのないマイナーな世界で、「針の上で天使が何人踊れるか」といった煩瑣な論争を続けていただけと思われているだろう。しかし本書も強調するように「近代」を特権化することこそ近代に特有の偏狭な歴史観で、「中世」と呼ばれた時代と近代は連続している。特に哲学には、本質的に「進歩」なんてなく、ある意味では古代ギリシャから人類は同じ問題を論じてきたのだ。

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2010年05月08日 22:46
IT
経済

電書協の錯覚

ロイターの記事で、電書協(日本電子書籍出版社協会)の細島事務局長がiPadについて「紙との共存ができるなら協力するが、紙の出版を維持できないなら協力はできない。こちらがコンテンツを出さなければ向こうも(電子書籍端末を)出すことはできない」とコメントしたことが話題を呼んでいる。この発想は今週の記事で紹介した電波行政と、滅びゆく業界の既得権(サンクコスト)を守る点で共通している。

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最近、BSに291~298チャンネルという謎のチャンネルが増えた。ここを見ようとすると、「この放送は地デジ難視聴対策衛星放送です。一般の方は、ご利用できません」という字幕が出て、「ご案内チャンネル」をクリックすると、次のような画面が出てくる:

100310-3

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iPadでフラッシュがサポートされないことは、開発者に大きな波紋を呼んでいる。アゴラブックスのAJAXリーダーはフラッシュなしで動くので、競争相手がいないのは歓迎だが、その理由はジョブズの公開書簡を読んでもよくわからない。続きを読む


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イノベーションの法則

企業のイノベーションの成功例と失敗例を経済理論で分析し、日本の企業が立ち直るための条件を考えます。

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丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー ま 18-1)丸山眞男セレクション
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ポスト社会主義の政治経済学―体制転換20年のハンガリー:旧体制の変化と継続ポスト社会主義の政治経済学
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REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方REMIX★★★★☆
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