インターネットの児童ポルノ対策として検討されているブロッキングについて、総務省は18日、今年度中に実施する方針を明らかにした。実際に制限を行うネット接続事業者も実施に前向きな姿勢を見せており、民間の自主的規制を同省が後押しする。ただ、対象となる有害サイトをどう選ぶかなど具体的な方法は決まっておらず、規制のルール作りを早急に進める。

　同日総務省で開かれた研究会で、内藤正光副大臣は「遅くとも今年度中にブロッキングを開始することを視野に、整備を進めたい」と言明。制限対象の選定などについては「民間によるアドレスリストの作成が重要」と述べた。

　自ら制限を行う接続事業者らも導入に前向き。ＮＴＴコミュニケーションズは研究会で「児童ポルノの流通は重大な人権侵害であり、例外的にブロッキングの実施に向けて検討したい」と表明。検索サイトのグーグルは「（本拠地がある）米国ではすでに対策を行っており、我々も準備ができている」とした。

　事業者がブロッキングをする際は、第三者機関が作成するアドレスリストを元に閲覧を制限することになる。だが、誰がリストの管理団体になるのか、どのような画像を規制対象とするのかなどはまだ決まっていない。ニフティの担当者はブロッキングを導入する考えを示したが「過剰なブロッキングは表現の自由を制約する。技術的な課題も必ずしも解決していない」と課題を指摘した。

　研究会の座長を務める堀部政男・一橋大名誉教授（情報法）は「実施にあたっては制限の対象となるリストの作成管理が必要。民間主導による適切な管理体制が必要だ」と話した。

　ブロッキングを巡っては、通信の秘密を侵す可能性があるとして導入には慎重論もあった。ネット事業者や学識者らでつくる「安心ネットづくり促進協議会」が３月、児童の権利を侵害する場合など、条件付きで可能との見解を表明。今回の議論のたたき台となった。