交際相手の女性看護師に無断で子宮収縮剤を投与して流産させたとして、医師の小林達之助容疑者(36)が不同意堕胎の疑いで警視庁に逮捕された事件で、小林容疑者が女性に子宮収縮剤の錠剤を複数回分渡し、服用を勧めていたことが捜査関係者への取材でわかった。女性に流産の兆候がみられないため、より即効性のある点滴を用いた疑いがあるとみて調べている。
警視庁捜査1課によると、女性が妊娠しているのを知った小林容疑者は昨年1月上旬、女性の自宅で、ビタミン剤と偽って陣痛を誘発する作用がある子宮収縮剤の錠剤を複数回分渡した。女性はその後数日にわたり、自宅などで錠剤を複数回のんだという。
女性は流産せず、体調不良を訴えた。小林容疑者は同月中旬、女性方で「君のためだ」と言って同じ作用がある点滴を女性に打った。この直後に女性は自宅のトイレ内で流産した。小林容疑者は室内にいたという。
医療関係者によると、点滴は錠剤に比べて血液中にとけ込むのが速く、薬剤の量を調節しやすいという。
厚生労働省によると、子宮収縮剤は劇薬指定され、一般の薬とは区別して保管する必要がある。小林容疑者は事件当時、東京慈恵会医科大付属病院腫瘍(しゅよう)・血液内科に勤務。同大によると、子宮収縮剤は薬剤部が管理し、産婦人科の医師以外は入手できないという。
捜査1課によると、小林容疑者は逮捕後、「女性が妊娠したことは知っていた。流産したことは知らない」と供述しているという。