2010.5.19 05:00
消費税の引き上げをめぐり、政府と与党が激しい綱引きを演じている。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は18日の分科会で、過去の消費税増税と景気後退に直接の因果関係がないとの見解で一致。政府税制調査会も消費税増税を明示した有識者らの論点整理を今週内にもまとめる方向で、政府の増税路線の地ならしを進める。一方、与党内には参院選前の増税論議に抵抗が根強く、「攻防」は今後激化する可能性がある。
この日開かれた財政審の財政制度分科会では、井堀利宏・東大大学院教授が、消費税増税が実施された1997年前後の経済・財政状況を説明。「景気への影響は(消費税増税よりも)アジア通貨危機などの方が大きかった」(大串博志財務政務官)との意見が大勢を占めた。
有識者による政策助言機関として4月に再開された財政審だが、会長の吉川洋・東大大学院教授は消費税増税論者とされる。菅直人副総理・財務相は増税へ向け、理論武装に財政審を活用するとの見方が強い。菅氏は「日本経済の現状を打開するには、(増)税と財政出動を組み合わせ雇用を生み出すことが欠かせない」と指摘。増税で集めたお金を環境など成長産業に振り向け、経済成長で財政再建を進めるシナリオを描く。