旧日本道路公団の分割民営化で発足した西日本高速道路(NEXCO西日本、大阪市)の石田孝会長(67)が、国土交通省の指導に反して、サービスエリア(SA)を運営する子会社会長を兼務し続けていることがわかった。兼務による甘い監視体制が不透明なテナント選びなどにつながっているとの指摘もあり、同社は先月、外部委員による調査委員会の設置を決めた。
石田会長がトップを兼務しているのは、100%子会社の「西日本高速道路サービス・ホールディングス(SHD)」。西日本高速が管理しているSAやパーキングエリア(PA)内の商業施設の管理運営を実質独占し、テナント選びの権限も持つ。
民営化後の業務を定めた高速道路株式会社法では、子会社代表との兼務を禁じる規定はないが、ある高速道路会社幹部は「我々は国の100%出資。SAやPAの管理運営会社はテナント選定の利権が絡み、監視体制は厳しくあるべきだ」と指摘する。
国交省と西日本高速の関係者らによると、2007年に「SHDのテナント選定の過程が不透明」などと訴える投書が次々と同省に届いた。同省幹部が内々に石田会長から事情を聴き「会長は全体の統括。子会社の代表を兼ねる必要はない」と兼務解消を促したが石田会長は応じなかった。
石田会長は朝日新聞の取材に対し、「国交省幹部には事実関係を説明して理解を得た。(調査)委員会的なもので確認したいが、子会社の運営に関する疑念は事実ではないと思っている」と説明している。(安川嘉泰、座小田英史)