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【社会】

西日本高速の告発問題 尾立議員 調査に異議

2010年5月18日 朝刊

 政府の事業仕分けのメンバーを務める民主党の尾立(おだち)源幸(もとゆき)参院議員(大阪選挙区)が四月、西日本高速道路(大阪市)を訪れ、同社が雑誌などで告発された子会社の問題を調べる目的で、設置を決めた外部委員会について、「真偽不明の記事に基づく調査は拙速ではないか」と批判していたことが分かった。尾立議員は事業仕分けの一環と説明するが、「圧力を感じた」と話す同社関係者もおり、“介入”の是非が問われそうだ。 

 尾立議員の説明や複数の関係者によると、西日本高速は四月二十二日の取締役会で、高速道路のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の商業施設を運営する子会社の「西日本高速道路サービス・ホールディングス」(大阪市、SHD)をめぐり、テナント選定で不正があるとする匿名の投書や月刊誌などの記事を調べるため、外部の弁護士や公認会計士に依頼して調査することの是非を検討した。

 投書や記事に、西日本高速とSHDの会長を兼任する石田孝会長を批判する内容も含まれたため、石田会長を除いた四人の取締役で採決。三対一で調査委の設置を議決した。石田会長は「投書や雑誌の記事は事実無根」と設置に反対した。

 尾立議員が西日本高速本社を訪れたのは、取締役会から八日後の四月三十日午前九時すぎ。尾立議員は、会議室に集まった石田会長を含む五人の取締役に、事業仕分けの際に行われる事前ヒアリングであると説明。会社側からグループ会社の状況を聞いた後、調査委員会の設置を批判。「まず社内のコンプライアンス委員会で調査すべきだ」と発言した。

 西日本高速は高速道路利用者や社員を対象としたコンプライアンス委員会があるが、投書を入手した弁護士の委員長から「会社として調べる必要がある」と対処を求められ、取締役会で対応を協議することになったとされる。

 尾立議員は「高速道路会社のような特殊会社をどう仕分けるか、関心があった。調査委員会をつくったという話があったので聞いてみたが、出所不明の情報に基づいており、拙速だと感じた。頼まれて会社に行ったのではなく、事業仕分けの事前ヒアリングだ。枝野大臣にもメモで結果を報告した」としている。

 尾立議員は税理士・公認会計士として監査法人に勤務後、鳩山由紀夫首相の秘書を経て二〇〇四年の参院大阪選挙区で初当選。政府行政刷新会議の事業仕分け人を務めている。

 西日本高速は〇五年十月、旧日本道路公団の分割民営化で誕生。関西、四国、九州を管轄する。石田会長は神戸製鋼所出身。〇六年六月からSHD会長を兼任している。

 

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