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フェアウエー頭蓋骨、深まる謎 発見1カ月、置いたのは人?動物?
(2010年5月14日午前7時50分)
福井県あわら市のゴルフ場で人の頭蓋(ずがい)骨が見つかってから、14日で1カ月。県警の調べで40〜60歳代の男性の骨ということは分かったものの、誰が何のために置いたのか全く手掛かりはない。そもそも身元が不明なため事件かどうかさえ分からず、謎は深まるばかりだ。市民の関心も徐々に薄れつつある。
あわら署によると、頭蓋骨は4月15日午前8時半ごろ、作業員がフェアウエーで見つけた。前日夕方の点検時にはなかったため、夜のうちに何者かが置いたとみられる。
骨は下あご部分がなく、重さは1・24キロ。皮膚の一部と頭髪が少し残り、死後1〜6カ月ほど経過していた。上あごの歯に治療した跡があっただけで、目立った外傷はなかった。これまでに捜査員がゴルフ場内や周辺の林を捜索したものの、体のほかの部位や遺留品は見つかっていない。
ゴルフ場の周囲にはうっそうとした林があるが、過去に自殺死体は見つかったことがない。それだけにフェアウエーに頭蓋骨があったという衝撃は大きく、発見から数日後には近くの住民が「散歩中に拾った」という骨を警察に届けてきたこともあった。
あわら署はこれまで、歯のDNA鑑定を基に数人の行方不明者と照合した。しかし、いずれも一致しなかった。住民が届けた骨も結局、人間のものではないことが分かった。
骨が見つかったフェアウエーは県道や市道からわずか数百メートルしか離れておらず、柵のすき間やのり面の林などから人が侵入することは可能。また、ゴルフ場内では犬やキツネ、タヌキ、トンビを見かけることがあることから、現時点で▽自殺した人や殺した相手の骨を、人が置いた▽キツネやワシなどの動物が運んだ―などが考えられる。
同署は「土に埋まっていたのなら事件性も考えられるが、フェアウエーという目立つ場所にあったので動物が運んできたこともあり得る」とみる。
市内のある動物病院は「1キロほどの重さなら、犬やキツネは十分にくわえて運ぶことができる」。日本野鳥の会の会員は「ワシなどの大型の鳥なら運べる可能性はある」とする。しかし、いずれも「肉がついていない骨を運ぶことはないはず」と動物搬入説に疑問を呈している。
そうなると人が置いた可能性が高くなるが、あわら署は「身元が特定できなければどうしようもない。事件に巻き込まれたのか、自殺なのかも分からない。身元に関する問い合わせも全くない」と頭を抱える。
同署は「行方不明者のDNA照合や周辺の検索を地道に続けていくしかない。今回の件に関係する情報の提供をお願いしたい」としている。
ゴルフ場は風評被害の影響はほとんどなく、通常通り営業を続けている。