重い心臓病で移植手術を待っていた30代の女性が、大阪大学附属病院で、埋め込み型の人工心臓を2つ同時に取り付ける世界でもほとんど例のない手術を受け、経過が順調なことから退院して自宅で療養することになりました。
補助人工心臓を2つ取り付ける手術を受けたのは、大阪の30代の女性で、去年7月、心臓の機能が急激に低下する「劇症型心筋炎」を発症し、大阪大学附属病院に入院していました。従来型の補助人工心臓を体の外に付けて心臓の移植手術を待っていましたが、容体が悪化して心臓がほとんど動かなくなったということです。このため病院ではことし1月、▽肺に血液を送る右心室と▽全身に血液を送り出す左心室のそれぞれに医療機器として国内ではまだ承認されていない、埋め込み型の補助人工心臓を同時に取り付ける世界でもほとんど例のない手術を受けました。経過は順調で、「日常生活に支障はない」と判断されたことから、女性は18日、10か月ぶりに退院しました。退院を前に記者会見した女性は「退院できてうれしいです。これまでさみしい思いをさせた子どもたちと遊びたいです」と話しました。また、医療チームの澤芳樹教授は「日本は欧米に比べ、医療機器を導入するスピードが遅いが、今回のような患者のためには最新の人工心臓を一刻も早く導入する必要がある」と話しています。女性は今後、自宅で療養を続けながら、心臓移植を待つということです。