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患者塾:医療の疑問にやさしく答える 園医・校医の現場から/中 /福岡

 4月24日に開かれた第129回患者塾では、近眼や鼻炎、中耳炎など子供たちが抱える症状への親の悩みについて、専門の医師が分かりやすく答えた。

 ◆コンタクトはいつから

 ◇着け外しできるころに

 <40歳女性> 小5の長男は乱視と近眼で眼鏡をしていますが、友達に冷やかされます。コンタクトレンズにしようと思いますが、どのぐらいの年齢から使用可能ですか。

 藤川さん 小学生には基本的に眼鏡を勧めています。コンタクトレンズを使用するのであれば、自分で着け外しができる中学生ぐらいからがいいと思います。きちんと着け外しができない限り、積極的にはコンタクトは勧めていません。

 <38歳女性> 小4の息子が休み時間に遊んでいて目を強く打ちました。担任が校医の眼科に連れていき、検査も処置もしてくれて大事には至りませんでした。でも、実は頭も強く打っていました。手遅れになることはないのでしょうか。

 伊藤さん 明らかに様子がおかしければ総合病院でも良かったと思います。子供は症状が後でどう変わるか分からない。「こんなことで総合病院に」という遠慮は無用です。このケースは眼科医がそれ以上の診療は不要と判断したので心配しなくていいでしょう。

 藤川さん 目を打った時、眼科医は必ず頭も打ってないか聞きます。小4ならばきちんと視力が測れるので、見えているかいないか、痛いかどうか必ず聞きます。まゆ毛の辺りに傷があり、奥の神経管を打ったような子供は光を当てて反応するかどうか診ます。

 ◆中耳炎

 ◇焦らずじっくり治療を

 <34歳女性> 小3の息子は中耳炎を繰り返し鼻炎もあります。いつも鼻をグジュグジュさせており、最近は夏のプールを怖がるようになりました。

 瀬戸口さん 中耳炎は5歳ぐらいまで繰り返すことがよくありますが、小3ぐらいから1年に1、2回起こるかどうかになります。私はプールを控えなくていいと思いますが、耳鼻科医でも意見が分かれます。「耳が悪くなる可能性があるのでなるべくやめましょう」という意見の一方、いざという時のため泳げる方がいいという意見もあります。私は後者で、鼓膜が破れていない限り、水泳はしたほうがいいと思います。

 中耳炎で熱があったり、痛む時は積極的に切開し耳の中の液を出したほうがいい。焦らず経過を見ていけばいいでしょう。ただし、小さい子供には聞こえにくいという問題があるので、十分に注意してください。

 ◆黄砂の対策

 ◇マスク、花粉症用眼鏡で

 <34歳女性> 小5の娘は黄砂が多い時に鼻炎の症状がひどく、せきも出るので外出を怖がります。学校は光化学スモッグだと外で遊ばないようにしているようですが、黄砂はあまり気を使ってもらえません。

 瀬戸口さん 黄砂が飛ぶピークは3~5月と言われ、花粉症の時期と重なります。花粉症か黄砂の症状かの判断は難しい。花粉症と同様にマスクを着けるなど予防が一番です。外で遊ばせないのは難しいので、気象庁のホームページで黄砂状況を調べ、「多いな」という時はマスクや花粉症用の眼鏡をすればいいと思います。

 ◇記者の一言

 25・3分。北九州市内で119番で救急車を呼んでから病院に収容するまでの平均時間だ。全国平均(35・1分)より10分近くも短い。北九州で暮らす私は心強さを感じた。

 学校でのけがについて、北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長はこの数字を挙げて、「初めて何かが起こったらすぐに救急車を呼ぶべきだ」と指摘した。「こんな程度で救急車呼んでもいいのかなとためらう必要はない」

 「大したことなかったら悪い」とためらう人は良識のある人だと思う。そして救急隊員はプロだ。だから迷った時こそ救急車を呼ぼう。【佐藤敬一】

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 ◇出席された方々

 大吉健次さん=元北九州市立小学校長▽藤川王哉さん=いまこが眼科(福岡県遠賀町)▽瀬戸口雅裕さん=せとぐち耳鼻咽喉科(同)▽伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院(外科)▽仲野祐輔さん=八屋第一診療所(福岡県豊前市、外科)▽津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院(福岡県水巻町)▽平田敬治さん=福岡山王病院(福岡市、外科)

▼司会・小野村健太郎さん=おのむら医院(福岡県芦屋町、内科・小児科)

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 ◆おのむら版患者語・医者語辞典

 ◇しぼうかん(脂肪肝 英語 fatty liver)

患者語:肝臓に脂身がついた状態。「ちょっとだけ食べすぎか飲み過ぎ。酒や食事を控えめにした方がいいのかも」

医者語:肝臓の細胞の中に脂肪が入って肝機能に障害を与えている状態。肝機能の指標であるAST(GOT)より    ALT(GPT)の値の方が高い傾向があるのが特徴のひとつ。アルコールが原因ではない脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝炎に進行することがあり、癌(がん)になりやすいことが指摘され話題になった。

          ◇        ◇

 患者語の脂肪肝には、それほど深刻な響きがないようです。「脂身がついてカッコ悪いので、少しやせた方がいいのかな」という程度にしか受け止めてもらえません。しかし、医者語の脂肪肝はメタボリックシンドロームか、それに近い状態です。動脈硬化が進み心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞を起こしやすい状態でもあることも知っておくべきでしょう。癌になる頻度は決して高くはないのですが、肝機能を正常に戻す努力はちゃんとすべきです。つまり「脂肪肝をあまりなめない方がいいですよ」というアドバイスです。

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111

 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

電話093・222・1234

FAX093・222・1235

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2010年5月18日 地方版

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