“人斬り以蔵”人気に違和感
- 2010.05.17 11:01
幕末の土佐勤王党員で、“天誅”と称する複数の暗殺実行犯である“人斬り以蔵”こと岡田以蔵。現在放送中のNHK大河ドラマ『龍馬伝』がきっかけで脚光を浴び、その故郷・高知において5月11日に初めての命日祭が行われたという。
「よかったね、以蔵」「龍馬もこれで安心だろう。半平太も『悪かったな』と言ってくれるだろう。やっといま『土佐勤王党』が一つにまとまったと言えるんじゃないかな」など、多くのファンは感慨ひとしおのようだ。また、命日が同じである土佐勤王党盟主・武市半平太は毎年慰霊祭が行われており、「同じ幕末に生き、国の改革のために命を張った人なのに、随分扱いが違うなぁ」と、今までの以蔵の扱われ方に憤慨する人もいる。
しかし、殺人を繰り返した人物を崇めることに「145年も流れると時効になるのかなぁ」など、違和感を覚える人も少なくない。「皆が憧れる戦国武将の地位も、いわば倒した敵の屍の上に立っている」として、多くの人命を奪った歴史上の人物を英雄視することを疑問に思う人も。『堂中日録』のブロガーは、マンガや小説などで描かれてきた創作上のキャラクターとして“岡田以蔵”は人気があるのだと指摘し、「線引き不明のまま史実・創作ゴッチャ煮というのは、奥歯に何かはさまったような違和感」という。
「(龍馬伝で以蔵を演じる)佐藤(健)くんはめっさ可愛いからな。人気でるのも仕方ない」と述べる人も。歴史上の人物を想うとき、それを知るきっかけとなった“創られた人物像”と重ねてしまうのは無理もないこと。とはいえ、そのイメージ先行による人気であるなら、故人は草葉の陰で戸惑っているかもしれない。
(ははぎく)
■参考サイト
堂中日録
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