なぜ患者の物語を聞こうとするのか?

なぜ患者の物語を聞こうとするのか?

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それぞれの事情



病名、病気は同じでも、その人を取り巻く環境はそれぞれ違っています。

家族、友人、医師、医療スタッフ(コメディカル)病院、など患者さんの生活背景を知った上で行う治療と、病気だけを治療する場合とでは治療方針に大きな違いがあります。

特に高齢者などは、いくつもの病気を抱えているような場合に、胸の痛みなどの症状もどの病気が原因になっているのか?他の病気との関係などを考えなくてはなりません。

患者さんの病状の把握には、他の病気の有無や生活環境など人それぞれが持っている物語をよく聞く事で個人が持っている多元性を知ることになり、より良い治療につながってゆくのです。



最新医療の失敗



患者の話(物語)を聞く医療が注目されるようになったのは、近代医療を発展途上国で行った場合に、ほとんどが失敗に終わったことに始まります。

最新の医療機器を持っていっても、取り扱う知識や環境が無い場合や気温や湿度、気圧などの環境の違いで使い物にならないようになる場合もあります。

最新の医療を使いこなすには、医療としての知識と技術、さらに文化人類学的な要素も必要になってきて、発展途上国などの医療支援にはこれらが噛みあわないと上手くゆきません。

発展途上国ばかりでなく、日本国内であっても都会と地方で気候や風土が違いますので、当然医療は変わってくるはずです。

そういった環境を考慮しながら医療を行うことが大切なのです。



ガイドライン



医療のガイドラインという標準的なものさしがあります。しかしこのガイドラインは、あくまでも平均値が示されているだけで、人それぞれの背景や住んでいる環境などは考慮されていません。

医療側は、患者さんを総合的に診て病気を見る必要があり、その上でガイドラインを適用し治療方針を決めてゆくことが大切なのです。
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02 なぜ患者の物語を聞こうとするのか?
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04 エビデンス時間医学の関係
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