エビデンス と時間医学の関係

エビデンス医療と時間医学の関係

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私たちの体内時計



私たちは、朝になると目が覚め夜になると眠くなります。これは明るくなるから起きて暗くなるから眠くなるという理由だけではありません。

私たちの体の中には体内時計というものがあって、自律神経やホルモンなど健康を守るために調節機能を果たしています。

具体的には、脳の視床下部の神経に6個の時計遺伝子があり、この6個の時計遺伝子が時計タンパクを作ります。

時計タンパクと時計遺伝子は、振り子のように変動を繰り返し、約24時間の生態リズムを刻んでいるのです。



時間医学の医療への応用



血圧などは、夜寝ているときは『上が90』程度まで下がります。しかし昼間活動するときなどは160程度まで上がりますので1回だけの血圧測定値を参考に治療をするのは、根拠に基づく治療であるエビデンスとは言えません。

また自律神経やホルモンは24時間変動していますので、痛みや苦しみも特定の時間帯に発生しているのかもしれません。

しかし、時間医学の認識がないまま治療すると患者さんの痛みや苦しみを取り除くことが困難にもなります。

診療室で患者の物語を聞くことで、痛みや苦しみの発生している時間帯を知ることができ、よりよい治療にもつながってゆくのです。



生態時計の異常が引き起こす病気



脳にある生態時計の存在がわかったのは、1972年でその25年後には時計遺伝子の存在が確認されました。

6個ある時計遺伝子の1つでも変異を起こしてしまうと様々な事が起こります。

例えば、不眠症や不登校になったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にもかかりやすくなります。

また、骨粗しょう症やガンにもないやすいということがわかっています。

さらに、6個の時計遺伝子で「パー2」とよばれる親時計の役割を果たす時計遺伝子が働かなくなると寿命が短くなり、マウスの実験では平均寿命の4分の1程度にまでに短くなってしまいます。

「パー2」が働かないと、骨代謝の異常やガンの多発、老化の進行も早くなり、さらに飲酒量が増えてしまいます。

このように時計遺伝子が異常を起こすと様々な病気になったり、時差ぼけが長く続くようになって寿命が短くなってしまうのです。



エビデンスと時間医学



私たちの、血圧や体温、自律神経やホルモンの活動などは昼と夜では当然違っています。このため体温を測る場合でも、何時に測った体温なのか知っておく必要があります。

根拠に基づく医療であるエビデンスを考える場合には、その根拠に時間医学という考え方を取り入れ、詳細な時間的なデータも取り入れなければなりません。
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