2010年5月13日
画像1:auが6月に発売するアンドロイド採用の「IS01」。ノートパソコン風のユニークな製品。ワンセグのテレビも見られる。画面をタッチして操作する以外に、キーボード近くにある小さなボールでも操作できる。2010年夏以降には、auのメールアドレスの利用や、音楽配信サービス「リスモ」にも対応予定
画像2:auが6月に発売するウィンドウズ・モバイル採用の「IS02」。オーソドックスなデザインのスマートフォン。厚さ約12.9ミリで、2010年3月現在、スライドキーボード搭載機としては世界最薄。auの携帯サービスは利用できない。裏面には東芝のスマートフォンのブランド名である「dynapocket(ダイナポケット)」のロゴがついている
画像3:NTTドコモから発売されたアンドロイド採用の「Xperia(エクスペリア)」。開発はソニー・エリクソン。メール、通話、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の履歴や、写真、動画などをビジュアル性の高い独自アプリで管理できるのがいかにも「ソニー風」。搭載されたアンドロイドは最新ではないが、アップグレードが予定されている
画像4:ソフトバンク・モバイルから発売されたアンドロイド採用の「Desire(デザイア) X06HT」。開発した台湾HTC社はスマートフォンの世界大手で、グーグルが海外で販売している「グーグルフォン」ことNexus One(ネクサス・ワン)も同社製。Desireはこれをさらにパワーアップした機種。現在最強のアンドロイド・ケータイと言われる
画像5:現在のスマートフォンのありように多大な影響を与えているアップルの「アイフォン」。現行機種のiPhone 3GSは、発売からもうすぐ1年。今夏には最新OSを搭載した新モデルの登場が確実と言われている
●「アンドロイド」の存在感が高まる?!
今、スマートフォンのプラットフォームとして、IS01でも採用されているアンドロイドに注目する人が増えています。日本だと「アンドロイド・ケータイ」なんて呼び方もします。
実は今、全世界でアンドロイドを採用したスマートフォンが次々発売されているのです。国内でも、4月にNTTドコモからアンドロイド採用の「Xperia(エクスペリア、ソニー・エリクソン製)」(画面3)、ソフトバンク・モバイルから「Desire(デザイア) X06HT(HTC製)」(画面4)が相次ぎ発売されて人気です。
アンドロイドは無償で公開されているため、端末メーカーは比較的低コストで本格的なスマートフォンを開発できます。アンドロイド搭載のスマートフォンは、海外では2009年夏ごろから製品化されていますが、当初はプラットフォームの機能や端末の性能が不足していて魅力が発揮できず、いまいちでした。しかし、最近ではプラットフォームのバージョンアップと高性能端末の開発によって、使い勝手が向上しています。
スマートフォンというと、現状ではアップルの「iPhone(アイフォン)」(画面5)が圧倒的な人気を博しています。アンドロイド・ケータイもアイフォンのような画面のタッチ操作やインターネットの使いやすさを実現しており、アイフォンでは対応しないと明言されている米アドビシステムズの再生プレーヤー「Flash(フラッシュ)」を使ったウェブページも表示できます。アイフォンの好敵手になりそうだと期待されているわけです。
それに、アイフォンはプラットフォームと端末の両方をアップルだけが開発するため、ほかの端末メーカーは作れませんし、携帯電話事業者も独自性を出せません。アップルは国別のニーズに敏感ではないため、本当に必要かどうかはさておき、「おサイフケータイ」や「ワンセグ」といった、日本のケータイではオーソドックスな機能はいつまで待ってもアイフォンに搭載される見込みはありません。
また、日本ではアイフォンをソフトバンク・モバイルが販売していますが、2009年5月27日までにアイフォンに機種交換した人は同社の携帯電話向けのアドレスが引き継げませんでしたし(現在は可能)、いわゆる公式のケータイサイトにもアクセスできません。ソフトバンク向けの着メロやダウンロードコンテンツは入手できず、アップルのネット販売所である「AppStore(アップストア)」にあるものをダウンロードすることになります。
アンドロイドは事業者や端末メーカーが独自の機能を追加できます。日本のユーザーが利用しやすい、バリエーション豊かな端末を作り得るプラットフォームになっているのです。ただ、現状は別の話。エクスペリアやデザイアもそうですが、今は端末メーカーが世界市場向けに開発したものを日本語化して発売しているという状態です。メーカーの独自機能がアピールポイントになる反面、事業者のサービスとの連携はほとんどありません。その意味ではまだ「日本風」ではない感じです。IS01は初めて日本市場に投入される端末ですが、auが当初提供するのはISシリーズ専用の新しいサービスで、「ケータイ」のメールアドレスの利用や音楽配信と言った従来からあるサービスとの連携は「後日対応予定」となっています。
アイフォンが「アップルの世界」で使うものであるのと同様に、結局のところ今はアンドロイド・ケータイも「アンドロイドの世界」で使うものです。スマートフォンではプラットフォームが重要になる以上、どうしてもドコモやソフトバンク、auなど「事業者の世界」で使われてきた従来の携帯電話と同じ発想、同じ使い方はできないと考えた方がよいでしょう。
ただ、アイフォンと違って、アンドロイドではその「世界」に事業者や端末メーカーが“味付け”をする余地があるわけです。
1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。
インターネットに関する総論(村井書)と各論(蜷川書)を読み進むうちになんどか「疎外」という語を思いだ………
グーグルというのは奇妙な会社である。世界一の検索サイト、のはずだが、やってる事業がまあいろいろ。地球………