鳩山内閣は、「KY内閣」とやゆされる。本来は「K(空気が)Y(読めない)」という若者用語だが、鳩山内閣には「暦が読めない」内閣の意で使われている。
普天間問題で鳩山内閣は発足当初は解決を「(2009年)年内」と暦を切ったが、その後「3月中」、さらに「5月末」と迷走してきた。
暦が読めないのではなく県民、国民の「空気=民意」が読めないのが迷走の根源。鳩山由紀夫首相は、政権奪取を目指した昨年8月の総選挙以前の初心に帰り、対等な日米関係構築に向けて対米追従関係を打破し、民意に耳を傾け決断すべき時である。
5月は暦(陰暦)の上では夏だが、ことしの沖縄の5月は例年になく肌寒い。鳩山首相が4日に就任後初来県した。そこで県外実現の報告があれば、熱い沖縄に変わっていたであろう。だが、首相は「全部県外は困難」と約束をたがえ、県民の心を凍らせてしまった。
「鳩山暦」の決断の夏は、「5月末にこだわることはない」という閣僚発言で遠のき、7月の参院選後、11月の沖縄県知事選挙後など、新たな暦論議が始まっている。
県民が欲しいのは暦の上のスケジュール闘争ではない。まことしやかに説かれる「抑止論」、沖縄に負担を強いる安保の本質論議だ。
先週始まった実務者協議で、米側は「現行合意案」の推進を強く要求している。
その米側の姿勢に沿う形の対米追従で沖縄に負担を押し付け、解決を図ろうとする政治家や学者、研究者が少なくない。
東京都の石原慎太郎知事は14日の記者会見で「アメリカとの合議の上でしか(移設先を)選択できない。経過を眺めれば、沖縄の人には気の毒だが、もう一回我慢してください」と語っている。
鳩山政権に対し「過去の歴史を知らず、(県内移設を)思い付きで言っても事態が混乱するだけだ」と批判するのは分かる。だが、それがなぜ沖縄への負担押し付けという結論になるのか。
沖縄との付き合いも長く、沖縄を素材にした作品もある。その石原氏が「なぜ沖縄か」の説明もなく対米追従のような発言である。
普天間問題の迷走は石原氏の共著書と逆の「NOと言えない日本」の内閣が生んだ悲劇である。
県民が普天間包囲で示した「NO」の空気を深呼吸してほしい。
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