2003.7.8 -
小山智史

Windows2000のアクセシビリティ機能

目次
A. コントロールパネルの「ユーザー補助のオプション」の設定 B. コントロールパネルの「ユーザー補助のオプション」以外の設定 C. 「ユーザー補助」ソフト D. InternetExplorerのユーザ補助機能(視覚障害補助)
E. キーボードで行うWindows操作(肢体不自由補助, 視覚障害補助)
F. Windows2000のユーザ補助機能のまとめ

A. コントロールパネルの「ユーザー補助のオプション」の設定

 [スタート][設定][コントロールパネル]でユーザー補助のオプションのアイコンを選ぶと以下の設定画面が現れます。

ユーザー補助のオプションの設定画面

A1 キーボードタブ(肢体不自由補助)

○ 固定キー機能...1本指でキー入力

  1. 背景...アプリケーションソフトによっては、2〜3個のキーを同時に押すことが求められます。しかし、片手しか使えない利用者やマウススティック(頭の動きでキー入力するための口にくわえる棒)などでキー入力する肢体不自由者にとっては、この操作は困難です。
  2. 機能...Ctrl, Alt, Shiftの各キーを一時的または連続的にロックし、1本指だけで全てのキーを入力できるようにします。
  3. 対象...片手しか使えない利用者、または両手が使えずマウススティックなどでキー入力する肢体不自由者。
  4. ショートカットキー...Shiftキーを5回押します。ただしあらかじめ以下の設定が必要です。
  5. 設定方法
    1. [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「固定キーを使う(U)」をチェックします。
    2. 設定(S)ボタンを押すと、以下の「固定キー機能の設定」ウィンドウが現れます。
      固定キー機能の設定画面
      • 「ショートカットキー」の「ショートカットキーを使う(U)」をチェックすると、Shiftキーを5回押すことにより、固定キー機能が有効になります。
      • 「オプション」の「Ctrl, Alt, Shiftキーを2回押すと、そのキーをロック(P)」をチェックすると、Ctrl, Alt, Shiftキーを2回押した時にそれらのキーがロックされた状態(押されたままの状態)になります。連続して大文字を入力する時に用います。標準状態→1文字シフト→連続ロック→標準状態のように切り替わります。
      • 「オプション」の「2つのキーを同時に押すと固定キー機能を無効にする(T)」をチェックすると、2つのキーを同時に押すことにより固定キー機能を解除することができます。これは、健常者が通常の状態で使う場合などに用います。
      • 「通知方法」の「Ctrl, Alt, Shiftキーを押したときに音を鳴らす(M)」をチェックすると、Ctrl, Alt, Shiftキーを押した時に、キー入力が受け付けられたことを示すブザー音がなります。
      • 「通知方法」の「固定キー機能の状態を画面に表示する(S)」をチェックしておくと、ディスプレイ画面右下に固定キー機能の状態を表すマークの表示が現れます。上の□はShift、左下の□はCtrl、右下の□はAltキーを表わし、ロックされた状態が反転表示で示されます。
      • 設定が終わったらOKボタンをクリックします。
    3. [ユーザー補助のオプション]の画面でOKまたは適用[A]をクリックすると、上記の設定が有効になります。

○ フィルタキー機能...指が震えても確実にキー入力

  1. 背景...通常の設定では、キー打鍵とほぼ同時に文字が入力され、ある一定時間キーを押し続けるとキーリピートが開始されるようになっています。手に震えがあったりタイミング良くキーを押せない肢体不自由者にとっては、隣接したキーを誤って入力したり、リピート機能によって不必要な文字入力をしてしまいます。
  2. 機能...キー入力を確定するまでの時間、キーリピート開始または繰り返し時間を設定し、確実にキー入力できるようにします。
  3. 対象...指が震えるなどで確実にキーを押せない肢体不自由者
  4. ショートカットキー...右Shiftを8秒間押します。ただしあらかじめ以下の設定が必要です。
  5. 設定方法
    1. [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「フィルタキー機能を使う(F)」をチェックします。
    2. 設定(E)ボタンを押すと、以下の「フィルタキー機能の設定」ウィンドウが現れます。
      フィルタキー機能の設定画面
      • 「ショートカットキー」の「ショートカットキーを使う(U)」をチェックすると、右Shiftキーを8秒間押し続けるとフィルタキー機能が有効になります。
      • 「フィルタオプション」の「繰り返し入力されたキーは無視する(O)」をチェックすると、同じキーを連続打鍵した場合に2文字目が入力されないよう、2回目の打鍵の認識を遅らせます。遅らせる時間の設定は、設定(S)ボタンを押し、以下の設定画面で設定します。
        フィルタキー機能の詳細設定画面(1)
      • 「フィルタオプション」の「速いキー入力は無視してリピートの間隔を長くする(N)」をチェックすると、キーリピートが始まるまでの時間と、リピートの時間を長くすることができます。時間間隔の設定は、設定(E)ボタンを押し、以下の設定画面で設定します。
        フィルタキー機能の詳細設定画面(2)
      • 「通知方法」の「キーが押されたり入力が認識されたら音を鳴らす(B)」をチェックすると、キーを押した時に、キー入力が受け付けられたことを示すブザー音がなります。
      • 「通知方法」の「フィルタキー機能の状態を画面に表示する(H)」をチェックしておくと、ディスプレイ画面右下にフィルタキー機能の状態を表すマークの表示が現れます。
      • 設定が終わったらOKボタンをクリックします。
    3. [ユーザー補助のオプション]の画面でOKまたは適用[A]をクリックすると、上記の設定が有効になります。

○ 切り替えキー機能...キー入力時に音を出力

  1. 機能...CapsLock, NumLock, ScrollLockを押した時に、LEDランプの点灯に加え音を出力する機能です。
  2. 対象...指が震えて確実にキーが押せないまたは画面を正視できない肢体不自由者。視覚障害者。
  3. ショートカットキー...NumLockキーを5回押します。ただしあらかじめ以下の設定が必要です。
  4. 設定方法
    1. [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「切り替えキー機能を使う(T)」をチェックします。
    2. 設定(N)ボタンを押すと、以下の「切り替えキー機能の設定」ウィンドウが現れます。
      切り替えキー機能の設定画面
      • 「ショートカットキーを使う(S)」をチェックすると、NumLockキーを5秒間押し続けることにより、切り替えキー機能が有効になります。
      • 設定が終わったらOKボタンをクリックします。
    3. [ユーザー補助のオプション]の画面でOKまたは適用[A]をクリックすると、上記の設定が有効になります。

A2 マウスタブ(肢体不自由補助)

○ マウスキー機能...マウスポインタの移動やクリックをテンキーで代行

  1. 背景...マウスを多用するWindowsアプリケーションソフトに対し、手が震える人にとってのマウスポインタの正確な位置決めや、筋力の低下した人にとってのマウスの移動は困難です。
  2. 機能...マウスポインタの移動やクリックまたはドラッグ操作をテンキーで代替します。
  3. 対象...手の震えや筋力の低下でマウスを操作できない肢体不自由者
  4. ショートカットキー...左Altキー+左Shiftキー+NumLockキーを同時に押します。ただしあらかじめ以下の設定が必要です。
  5. 設定方法
    1. [ユーザー補助のオプション]の[マウスタブ]で「マウスキー機能を使う(M)」をチェックします。
      ユーザー補助のオプションのマウスタブ設定画面
    2. 設定(S)ボタンを押すと、以下の「マウスキー機能の設定」ウィンドウが現れます。
      マウスキー機能の設定画面
      • 「ショートカットキーを使う(U)」をチェックすると、左Alt+左Shift+NumLockキーの操作でマウスキー機能が有効になります。
      • マウスポインタの速度は、「最高速度(T)」でポインタの移動速度を調整し、「加速設定(A)」でマウスキーを押し続けたときのポインタの加速度を調整します。
      • 「Ctrlキーで速くShiftキーで遅くする」をチェックすると、CtrlキーやShiftキーを押しながらテンキー操作をすることで、ポインタの移動速度を変えることができます。
      • 「NumLockキーが次の状態のときにマウスキーを使う」を「オン」または「オフ」にすることによりテンキーの役割が以下のように変わります。
        表: NumLockキーとマウスキー機能の関係
         NumLock LED点灯NumLock LED消灯
        NumLockキーの設定「オン」マウスポインタ移動Ins, Del, Home, Endキー
        NumLockキーの設定「オフ」数字入力マウスポインタ移動
      • 「マウスキー機能の状態を画面に表示する(S)」をチェックしておくと、ディスプレイ画面右下にマウスキー機能の状態を表すマークの表示が現れます。
      • 設定が終わったらOKボタンをクリックします。
    3. [ユーザー補助のオプション]の画面でOKまたは適用[A]をクリックすると上記の設定が有効になり、以下のテンキー操作が行えます。
      表: マウスキー機能による代替テンキー操作
      マウスを使用した場合の操作代替するテンキー
      上下左右にポインタ移動2, 4, 6, 8
      斜めにポインタ移動1, 3, 7, 9
      クリック
      ダブルクリック
      ボタンロック
      ボタン解除.(ピリオド)
      左ボタン選択
      右ボタン選択
      両ボタン選択

A3 サウンドタブ(聴覚障害補助)

○ サウンド表示機能...ブザー音出力時に画面を点滅

  1. 背景...アプリケーションソフトによっては、ブザー音によって警告情報を表現することがあります。耳が不自由な方はこれらのブザー音が聞こえないため、操作ミスに気がつかなかったり、警告情報を無視してしまったりする可能性があります。
  2. 機能...ブザー音出力時に画面の一部を点滅させ、ブザー音を視覚的に表示できるようにします。
  3. 対象...ブザー音が聞き取れない聴覚障害者
  4. 設定方法
    ユーザー補助のオプションのサウンドタブ設定画面
    1. [ユーザー補助のオプション]の[サウンドタブ]で「サウンド表示を使う(S)」をチェックします。
    2. 設定(E)ボタンを押すと以下の「サウンド表示の設定」ウィンドウが現れます。
      サウンド表示の設定画面
      [ウィンドウ表示のプログラム(W)]の欄で、点滅させる箇所を「アクティブタイトルバー」「アクティブウィンドウ」「デスクトップ」の中から選択します。

A4 画面タブ(視覚障害補助)

○ ハイコントラスト機能...画面の色や文字サイズを見やすく変更

  1. 背景...ディスプレイに表示されるアイコンや文字の大きさや色はアプリケーションソフトに依存しています。色覚異常者は配色(例えば赤と緑)、弱視者は文字サイズや低コントラスト(例えば灰色地に白文字)の表示は読み取りにくい場合があります。
  2. 機能...利用者が見やすい色や文字サイズに画面を変えます。
  3. 対象...標準画面のままではアイコンや文字が見にくい視覚障害者(弱視、色覚異常)。
  4. ショートカットキー...左Altキー+左Shiftキー+PrintScreenキーを同時に押します。ただしあらかじめ以下の設定が必要です。
  5. 設定方法
    ユーザー補助のオプションの画面タブ設定画面
    1. [ユーザー補助のオプション]の[画面タブ]で「ハイコントラストを使う(U)」をチェックします。
    2. 設定(S)ボタンを押すと以下の「ハイコントラストの設定」ウィンドウが現れます。
      ハイコントラストの設定画面
      • 「ショートカットキーを使う(U)」をチェックしておくと、左Alt+左Shift+PrintScreenキーの操作でハイコントラストが有効になります。
      • ハイコントラストの色設定を「黒地に白(W)」「白地に黒(B)」「カスタム(C)」の中から選びます。カスタムでは「Windowsスタンダード(大きいフォント)」「Windowsスタンダード(特大のフォント)」「ハイコントラスト黒(大きいフォント)」「ハイコントラスト黒(特大のフォント)」「ハイコントラスト白(大きいフォント)」「ハイコントラスト白(特大のフォント)」などの中から利用者が見やすい表示を選びます。なお、ひとりひとり見え方はさまざまですが、黒地に白の表示が見やすいことが多いようです。
      • 設定が終わったらOKボタンをクリックします。
    3. [ユーザー補助のオプション]の画面でOKまたは適用[A]をクリックすると上記の設定が有効になります。

A5 全般タブ(ユーザー補助機能全般)

○ 自動リセット機能...時間がくるとアクセシビリティ機能をキャンセル

  1. 背景...1台のパソコンを障害者と健常者が共有する場合、ユーザー補助機能の設定値(例えばキーリピートの時間遅延)が他の人にとって使いにくいことがあります。
  2. 機能...一定時間(5〜30分の設定値)パソコンを使用しないと、ユーザー補助の設定を自動的にキャンセルします。
  3. 対象...ユーザー補助機能を必要とする人としない人とが同じパソコンを使う場合。
  4. 設定方法...[ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「ユーザー補助を無効にするまでの待ち時間(T)」をチェックし、時間を設定します。
    ユーザー補助のオプションの全般タブ設定画面

○ 通知機能...ユーザー補助機能の有効または無効時に通知

  1. 機能...ショートカットキーでユーザー補助機能を起動したときや、自動リセット機能で無効になったときに通知します。
  2. 対象...ユーザー補助機能を利用する全ての利用者
  3. 設定方法...[ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「ユーザー補助を有効にしたときにメッセージを出す(G)」「ユーザー補助を有効または無効にしたときに音を鳴らす(S)」をチェックします。

○ シリアルキーデバイス...特殊キーボードやマウスを接続

  1. 背景...標準のキーボードやマウスが使用できない利用者のために、代わりの入力デバイス(例えば小型または大型キーボードや特殊マウス)を接続するためのものです。
  2. 機能...特殊キーボードやマウスを接続します。
  3. 対象...標準デバイスを使用できない障害者。特に重度肢体不自由者。
  4. 設定方法...[ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「シリアルキーデバイスを使う(U)」をチェックし、[設定(E)]ボタンを押して接続するデバイスのポート(COM1〜COM4)とボーレート(300〜19200)を指定します。
    シリアルキーデバイスの設定画面

B. コントロールパネルの「ユーザー補助のオプション」以外の設定

B1 マウス(肢体不自由補助, 視覚障害補助)

○ ボタンタブ...左右ボタンの切り替え、ダブルクリックとシングルクリックの切り替え、ダブルクリックのタイミングを設定

  1. 機能...マウスを左手で操作しやすいように左右のボタンを入れ替えできます。また、ダブルクリック操作をせずに、シングルクリック操作でファイルやフォルダを開くようにできます。また、ダブルクリックのタイミングを遅くすることができます。
  2. 対象...左手でマウスを操作したい、シングルクリック操作でファイルやフォルダを開きたい、またはマウスのダブルクリックのタイミングを遅くしたい肢体不自由者。
  3. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]でマウスのアイコンを起動し、[ボタンタブ]を選びます。
      マウスのプロパティの設定画面
    2. 「左きき用(L)」を選択します。
    3. 「ポイントして選択しシングルクリックで開く(S)」を選ぶとファイルやフォルダをシングルクリックで開くことができます。
    4. ダブルクリックの時間設定は「ダブルクリックの速度(P)」を調整します。動作テストの領域をダブルクリックし、速度が適切かどうかを確認します。

○ ポインタタブ...マウスポインタの大きさや形状を変更

  1. 背景...通常のマウスポインタは文字サイズと同程度のため、見にくい場合があります。
  2. 機能...マウスポインタの大きさや形状を変更し、マウスポインタを見やすくします。
  3. 対象...低視力のためマウスポインタが見にくい視覚障害者(弱視者)、高齢者。または画面を正視しにくく通常のポインタでは見にくい肢体不自由者。
  4. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]でマウスのアイコンを起動し、[ポインタタブ]を選びます。
      マウスのプロパティのポインタタブ設定画面
    2. 「デザイン(S)」の欄で「Windowsスタンダード(特大のフォント)」「Windows黒(特大のフォント)」「Windows反転色(特大のフォント)」「拡大ポインタ」などの中から利用者が見やすい表示を選びます。また、場面毎にポインタの形状を指定することもできます。

○ 動作タブ...マウスポインタの移動速度を遅くしたりポインタの軌跡を表示

  1. 背景...手が震えてポインタを正確に目標位置に移動することができない場合があります。また、筋力が低下してマウスを大きく動かせない場合もあります。
  2. 機能...マウスポインタの移動速度を遅くまたは速くしたり、加速機能を設定するものです。また、画面上のマウスポインタを見失うことがないよう、マウスポインタが移動時に尾を引くようにすることもできます。
  3. 対象...手の震えや筋力の低下でマウスを操作できない肢体不自由者
  4. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]でマウスのアイコンを起動し、[動作タブ]を選びます。
      マウスのプロパティの動作タブ設定画面
    2. ポインタの動く速さを調整します。
    3. ポインタをすばやく動かしたときにどれだけ加速するかを「なし(N)」「遅く(L)」「中(M)」「速く(H)」の中から選びます。
    4. 「ダイアログボックスの既定のボタンにマウスポインタを移動させる」をチェックすると、マウスポインタがその位置に自動的に移動します。

B2 キーボード(肢体不自由補助, 他)

○ 文字の入力...キーリピートの開始や繰り返し時間を設定

  1. 機能...キーリピートの開始と繰り返し時間を設定します。ただし、ユーザー補助のフィルタキー機能が設定されている場合はそちらが優先されます。
  2. 対象...指が震えて確実にキーが押せない肢体不自由者
  3. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]でキーボードのアイコンを起動し、[速度タブ]を選びます。
      キーボードのプロパティの設定画面
    2. 「表示までの待ち時間(D)」を調整すると2文字目のリピートが始まるまでの時間が変わり、「表示の間隔(R)」を調整すると3文字目以降のリピート時間が変わります。

○ カーソルの点滅速度...カーソルの点滅速度を調整

  1. 背景...カーソルの点滅速度(周波数)が「てんかん」の発作を誘発する可能性があるいわれています。
  2. 機能...カーソル点滅速度を調整します。
  3. 対象...「てんかん」患者
  4. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]でキーボードのアイコンを起動し、[速度タブ]を選びます。
    2. 「カーソルの点滅速度(B)」を調整します。

B3 画面(視覚障害補助)

○ デザインタブ...画面の配色を変更

 ディスプレイに表示されるアイコンや文字の大きさや色はアプリケーションソフトに依存しています。色覚異常者は配色(例えば赤と緑)、弱視者は文字サイズや低コントラスト(例えば灰色地に白文字)の表示は読み取りにくい場合があります。

  1. 機能...利用者が見やすい色や文字サイズに画面を変えます。
  2. 対象...標準画面のままではアイコンや文字が見にくい視覚障害者(弱視、色覚異常)。
  3. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]で画面のアイコンを起動し、[デザインタブ]を選びます。
      画面のプロパティの設定画面
    2. 画面全体の配色を一括して変えたい場合は、「配色(S)」を選びます。この選択肢は[ユーザー補助のオプション]の[画面タブ]のハイコントラストの設定で「カスタム」を選択する時と同じです。
    3. 画面の各要素を個別の色や大きさにしたい場合は、「指定する部分(I)」「サイズ(Z)」「色(L)」「色2(2)」を、また要素中のフォントを変更したい場合は、「フォント(F)」「サイズ(E)」「色(R)」をそれぞれ指定することができます。
    4. 設定が終わったらOKボタンをクリックします。

○ 設定タブ...画面の表示倍率を変える機能

  1. 背景...ディスプレイに表示されるアイコンや文字の大きさや色はアプリケーションソフトに依存しています。高齢者や弱視者は読み取りにくい場合があります。
  2. 機能...利用者が見やすいよう画面の表示サイズを変えます。
  3. 対象...標準画面のままではアイコンや文字が見にくい視覚障害者(弱視)。
  4. 設定方法
    1. [スタート][設定][コントロールパネル]で画面のアイコンを起動し、[設定タブ]を選びます。
      画面のプロパティの設定タブ設定画面
    2. 「画面の領域」で解像度を変更します。同じディスプレイを使用する限り、低解像度(例えば640×480)で使用すれば相対的に表示が拡大されます。
    3. また、[詳細(V)ボタン]をクリックすると以下のようなウィンドウが現れます(使用するモニタによって現れる画面は変わります)。ここで、フォントサイズ(F)を「小さいフォント」から「大きいフォント」に変更します。
      画面の詳細設定画面

C. 「ユーザー補助」ソフト

C1 スクリーンキーボード(肢体不自由補助)

  1. 背景...キーボード操作が困難でも何らかの方法でマウス操作が可能な肢体不自由者が用いると効果的な機能です。
  2. 機能...画面に表示されるスクリーンキーボードの入力したいキーをクリックするとキーボード操作と同等に扱われます。
  3. 対象...キーボード操作が困難でマウス操作が可能な肢体不自由者
  4. 設定方法
    1. [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][スクリーンキーボード]を起動します。ディスプレイにスクリーンキーボードが表示されます。
      スクリーンキーボード
    2. メニューバーの[キーボード(K)]で「拡張キーボード(E)」と「106キー(6)」を選択します。
    3. メニューバーの[設定]で [入力モード] を選択し、3種類の入力モードの中から利用者に適した入力方法を選びます。
      スクリーンキーボードの入力モード設定画面
      • 「クリックして選択する(K)」は、スクリーンキーボード上のキーをマウスのクリック操作で選択する方法です。
      • 「自動的に選択する(H)」は、スクリーンキーボード上のキーの位置にマウスポインタを一定時間置くだけで、クリック操作をしなくても選択できる方法です。キー入力とみなされるまでの時間を設定できます。
      • 「ジョイスティックまたはキーで選択する(J)」は、スキャンモードでキーを選択する方法で、マウスポインタを移動せずにキーを選択できます(重度肢体不自由者向け)。この場合、スキャン速度は[スキャン間隔] で変更します。また、選択操作を行うスイッチを選択するには、[詳細設定] ボタンを押して[シリアル パラレルまたはゲームポート] (外部スイッチを使う場合)または[キーボード] を指定します。なお、キーボードを指定した場合は使用するキーを選択することができます(デフォルトはスペースキー)。
        スクリーンキーボードの入力キーのオプション設定画面












C2 拡大鏡(視覚障害補助)

  1. 背景...通常の表示サイズでは、弱視者にとって読み取りにくい場合があります。
  2. 機能...利用者が見やすいよう画面の表示を部分的に拡大します。
  3. 対象...標準画面のままでは画面の表示が見にくい視覚障害者(弱視者)。
  4. 設定方法
    1. [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][拡大鏡]を起動します。拡大鏡の設定ウィンドウが表示され、画面の一部が拡大鏡ウィンドウに拡大表示されます。
      拡大鏡
    2. 拡大鏡ウィンドウをドラッグすると、表示位置を画面の上または下または任意の位置に変更できます。また、拡大鏡ウィンドウの縁をドラッグすることにより、ウィンドウのサイズを変更することができます。
    3. 設定ウィンドウの「拡大率(L)」で倍率を設定します。
    4. 「マウスポインタの動きを追う(M)」をチェックすると、マウスポインタの動きに伴い拡大位置が移動します。
    5. 「キーボードフォーカスを拡大する(K)」をチェックすると、キーボードからの文字入力に伴い拡大位置が移動します。
    6. 「編集中のテキストを拡大する(T)」をチェックすると、
    7. 「色を反転させる(T)」をチェックすると、拡大表示の色が反転します。
    8. 「ハイコントラストモードを使用する(C)」をチェックすると、拡大表示の配色がハイコントラストになります。
    9. 「最小化した状態で開始する(S)」をチェックすると、起動時に設定ウィンドウが最小化されます。
    10. 「拡大鏡を表示する(O)」をチェックすると、拡大表示が現れます。

D. InternetExplorerのユーザー補助機能(視覚障害補助)

 InternetExplorerでメニューバーの[ツール][インターネットオプション]を選び、「ユーザー補助」ボタンを押すと、下記の設定ウィンドウが現れます。

InternetExplorerのユーザー補助設定画面

 書式設定の3つの項目は、文字の表示色やフォントやサイズをページに指定されたデザインを使用しないようにするもので、視覚障害者に有効な場合があります。

 また、自分が見やすいWebページのデザイン(文字の表示色やフォントやサイズ)を記述したスタイルシート(cssファイル)を用意し、ユーザースタイルシートの箇所に設定すれば、どのページもページに指定されたデザインに優先して適用されます。


E. キーボードで行うWindows操作(肢体不自由補助, 視覚障害補助)

 通常マウスを使って行っているWindows操作の多くはキーボード操作でも行うことができます。例えば、Windowsの最小化を行うには、通常はマウスを使ってウィンドウ右上の最小化ボタンをクリックしますが、[Alt+SPACE][N]のキー操作で行うこともできます。また、コントロールパネルを開くには、通常はマウスを使って[スタート][設定(S)][コントロールパネル(C)]を選びますが、[Windowsキー(またはCtrl+ESC)][Sキー][Enterキー][Cキー]のキー操作で行うこともできます。このようなキーボードを使った操作は、マウス操作が困難な肢体不自由者や視覚障害者に有効な場合が少なくありません。

 マウス操作とキー操作の主な対応関係を以下にまとめました。この表は「マウスを使わないキーボードテクニック」のページを参考に作成しました。

表: マウス操作とキー操作の対応関係
機能マウス操作キー操作
全ウィンドウの最小化/復元-Windows+M / Windows+Shift+M
ウィンドウの最小化最小化ボタンAlt+SPACE N
ウィンドウの最大化最大化ボタンAlt+SPACE X
ウィンドウを元のサイズに戻す元のサイズボタンAlt+SPACE R
ウィンドウを閉じる閉じるボタンAlt+F4 または Alt+F C または Alt Space C
行スクロール 上/下上スクロールボタン / 下スクロールボタン↑ / ↓
ページスクロール 上/下ページスクロールPgUp / PgDn
Windowsの終了[スタート][シャットダウン][シャットダウンを選択][OK]Windows+U S Enter
Windowsの再起動[スタート][シャットダウン][再起動を選択][OK]Windows+U R Enter
コントロールパネルを開く[スタート][設定][コントロールパネル]Windows+S Enter C
コントロールパネルの「システム」を開く[スタート][設定][コントロールパネル] [システム]Windows+BREAK
ファイル名を指定して実行[スタート][ファイル名を指定して実行]Windows+R
メモ帳の起動[スタート][プログラム][アクセサリ][メモ帳]Windows+R notepad Enter
エクスプローラの起動[スタートを右クリック][エクスプローラー]Windows+E
アプリケーションの切り替えウィンドウを直接選択Alt+Tab
ファイル(アイコン)の削除アイコンをごみ箱にドラッグ&ドロップShift+Delete
範囲指定(複数選択)ドラッグ操作Shift+←↑→↓
プロパティの表示[アイコンを右クリック][プロパティ]Alt+Enter
タブの選択タブを直接選択Ctrl+Tab
ボタンや入力欄やリンク等のフォーカスの移動と選択直接選択Tabでフォーカスを移動し(Shift+Tabで逆順)Enterで選択
保存・終了[ファイル][上書き保存] [ファイル][終了]Alt+F S Alt+F X または Ctrl+S Alt+F4
ヘルプの表示[ヘルプ][ヘルプの目次]F1
切り取り[編集][切り取り]Alt+E T または Ctrl+X
コピー[編集][コピー]Alt+E C または Ctrl+C
貼り付け[編集][貼り付け]Alt+E P または Ctrl+V
全て選択[編集][全て選択]Alt+E A または Ctrl+A
元に戻す[編集][元に戻す]Alt+E Enter または Ctrl+Z
検索[編集][検索]Alt+E F または Ctrl+F
ナビゲーション[戻る] / [次]Alt+← / Alt+→
行頭/行末へのカーソル移動ポインタを直接移動HOME / END
アイコンやメニューの選択(デスクトップやスタートメニュー)直接選択アイコンやメニューの名前の先頭文字(英数字)

F. Windows2000のユーザー補助機能のまとめ

表: Windows2000のユーザー補助機能の一覧
機能内容設定または起動の方法ショートカットキー

(視覚障害補助)
ハイコントラスト表示
Windows要素を拡大表示する。
配色を変更する。
配色をモノクロまたは高コントラストに変更する。
タイトルバーやスクロールバーを拡大する。
Windows要素の配色を変更する。
[コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[画面タブ]で「ハイコントラストを使う」をチェックするか、ショートカットキーで起動する。[画面タブ]の「設定ボタン」を押して、「ハイコントラストの色設定」を「カスタム」にし、配色やフォントサイズを変更できる。 左Alt+左Shift+PrintScreen
マウスポインタの大きさと形状 マウスポインタの大きさや形状を変更する。 [コントロールパネル] [マウス]の[ポインタタブ]で設定する。 -
拡大鏡 画面の一部を拡大表示する。 [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][拡大鏡]で起動する。 -
InternetExplorerの表示 文字の表示色やフォントやサイズをページに指定されたデザインを使用しない。
自分が見やすいWebページのデザインを適用する。
InternetExplorerの[ツール][インターネットオプション]で「ユーザー補助」ボタンを押して設定する。

-

(聴覚障害補助)
ビープ音出力の画面出力 システムのビープ音出力時にタイトルバーやウィンドウを点滅させる。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[サウンドタブ]で「サウンド表示を使う」をチェックする。設定ボタンで点滅箇所を指定できる。 -
ビープ音出力の字幕化 システムのビープ音出力時に字幕で解説する。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[サウンドタブ]で「サウンド解説を使う」をチェックする。 -

(肢体不自由補助)
固定キー(順次入力) Ctrl、Alt、Shiftキーの同時打鍵を順次に変更する。2回打鍵でロックできる。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「固定キー機能を使う」をチェックするか、ショートカットキーで起動する。 Shiftキーを5回押す
入力確定時間設定
キーリピート時間設定
キーの入力確定時間を遅らせ、連打による2文字入力や隣接キーの誤入力を防ぐ
キーリピート時間を遅らせ、長時間押下によるキーリピートを防止する
[コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「フィルターキー機能を使う」をチェックするか、ショートカットキーで起動する。 右Shiftキーを8秒間押し続ける
切り替えキー トグルキー(CapsLock, NumLock, ScrollLock)の切り替え時にブザー音を鳴らす [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[キーボードタブ]で「切り替えキー機能を使う」をチェックするか、ショートカットキーで起動する。 NumLockキーを5秒間押し続ける
マウスキー(テンキーによるマウス代替操作) マウスポインタ移動、クリック、ダブルクリック、ドラッグ操作をテンキーで代替する。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[マウスタブ]で「マウスキー機能を使う」をチェックするか、ショートカットキーで起動する。設定ボタンでマウスポインタの移動速度を変更できる。 左Alt+左Shift+NumLock
シングルクリック
ダブルクリックの速度調整
ファイルやフォルダをシングルクリックで開く。
ダブルクリックの速度を遅くする。
[コントロールパネル] [マウス]の[ポインタタブ]で「ポイントして選択しシングルクリックで開く」をチェックする。ダブルクリックの場合はその速度を遅くできる。 -
スクリーンキーボード マウスや外部スイッチの操作で文字選択できるスクリーンキーボードを表示する。 [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][スクリーンキーボード]で起動する。 -

(全般)
自動リセット システムを一定時間使用しない場合に補助機能を解除する。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「ユーザー補助を無効にするまでの待ち時間」をチェックし、その時間を設定する。 -
ユーザー補助オンオフの通知 ユーザー補助機能のオンオフ切替時にブザー音で通知する。 [コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「ユーザー補助を有効または無効にしたときに音を鳴らす」をチェックする。 -
シリアルキー(代替入力デバイス) キーボードやマウスの代わりに代替入力デバイスを使う。 シリアルポートに代替入力デバイスを接続し、[コントロールパネル] [ユーザー補助のオプション]の[全般タブ]で「シリアルキーデバイスを使う」をチェックする。設定ボタンでデバイスを接続するポートとボーレートを設定する。 -

(その他)
カーソル点滅速度 カーソルの点滅速度を設定する。 [コントロールパネル] [キーボード]の[速度タブ]でカーソルの点滅速度を設定する。 -
左ききマウス設定 マウスを左きき用に設定する。 [コントロールパネル] [マウス]の[ボタンタブ]で「左きき用」を選択する。 -
ユーティリティマネージャ 拡大鏡とスクリーンキーボードの起動設定をする。 [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][ユーティリティマネージャ]で起動する。 -
ユーザー補助の設定ウィザード ユーザー補助機能の設定を対話式に行う。 [スタート][プログラム][アクセサリ][ユーザー補助][ユーザー補助の設定ウィザード]で設定を開始する。対話式に文字の大きさや拡大鏡、解像度などを設定できる。 -