「コミュニケーションツール とパーソナルコンピュータ関係」にもどる
キーボードやマウスが使いにくい時
「ユーザー補助のオプション」(Windows)と |
本文項目:
キー順次入力とキーロック機能・キー入力の反応時間とキーリピート時間の設定・切り替えキー・キーボードによるマウス代替機能
「ユーザー補助オプション」はMicroSoft(マイクロソフト)社のパソコン用OS(オペレーティングシステム)であるWindowsに付属する機能で「コントロールパネル項目」です。稼働するパソコンはWindows(ウィンドウズ)の動くパソコンです。
(WindowsXP コントロールパネルの表示例: ここクリック)
「ユニバーサルアクセス」は、Apple(アップル)社のパーソナルコンピューター、Macintosh(マッキントッシュ)のシステムソフトウェアであるMacOS X(マック・オーエス・テン)に付属している機能です。稼働するパソコンはMacintoshです。(旧MacOSでは「イージーアクセス」でした。)
(MacOS X システム環境設定の表示例: こ こクリック)※Windowsの「ユーザー補助」やMacOS Xの「ユニバーサルアクセス」には、キーボードやマウスに関する設定の他、画面表示や音の変更等もできるようになっていますが、ここでは肢体障害に特に関係すると思われる下記のことについて調べてみました。
1.「キーボード項目(キー入力の支援)」
2.「マウス項目(キーボードをマウスの代わりに使う機能)」
キー入力を支援する主な機能としては、1.キー順次入力と修飾キーのロック、2.キー入力反応時間の調整、その他があります。何れもキーボードを使うのがむずかしい場合の支援機能です。
下図は、Windows XPの「ユーザー補助のオプション」内
「キーボード項目」の表示例です。
(その1) | キー順次入力 |
Windows | 固定キー機能 |
MacOS X | 複合キー |
画面表示例
Windows「ユーザー補助オプション」
キーボード項目「固定キー機能」の画面表示(ここクリック)
MacOS X「ユニバーサルアクセス」
キーボード項目「複合キー」の画面表示(ここクリック)
<この機能の目的>
複数キー同時入力の際、1つずつ「キー順次」で入力。
[shift](シフト)キーや[Ctrl](コントロール)キー等(修飾キーというらしいです)と他のキーを同時に押すことは度々あるのですが、障害によっては、複数のキーを同時に押す事が難しいことがあります。
Windowsでは「固定キー機能」、MacOS Xでは「複合キー」の項目を使うと、複数キーを同時に押さなくても順番に、ひとつずつ、キーを押していけば目的のキー入力が得られます。
例えば、[#]という字を入力するには、通常は、[shift]キーと[3]キーを同時に押して[#]を入力しますが、このキー順次入力機能が働いていれば、[shift]キーを打って(ここで手を離してもよいのです)、それから[3]キーを打てば、[#]という文字が入るのです。このように、同時に複数のキーを押さなくてもよいので、指一本で、キーボードから入力することが可能となります。
文字入力に限らず、操作面においても、例えば後述の「マウスキー」機能を設定してパソコンを操作する際にも、複数のキーを同時に押す必要がある場面がありますので、そういう時にも必要となる機能です。
上記のキー順次入力と同じく、Windowsでは「固定キー機能」、MacOS Xでは「複合キー」の項目です。[shift]キーや[ctrl]キーや[alt]キー(Macintoshでは[command]キー)等の修飾キーを2回叩くとそれらのキーを押したままの状態になるように「設定」することができます。
これは、物理的にキーボードのキーを押したままロックするのではなく、ソフトウェア的に押したままの「状態」になるのです。つまり、操作者はロックしておいて手は離しておいても、コンピュータから見ると「修飾キーがずっと押されているんだ」と思ってくれます。
例えば[shift]キーについては、文章の文字範囲指定やアイコンの複数選択、図形ソフトでの個々の図形の水平・垂直移動等のように、片方の手で[shift]キーをずっと押さえた状態で、もう一方の手でマウスを使わねばならない場面でも、[shift]キーを2回叩いてロックしておけば手を離すことができる為、片手でも一本指でも操作できるようになります。同様に[ctrl]キーや、[alt]キー(Macintoshでは[command]キー)等も2回叩けば押した状態でロックできます。ロック状態を解除するには、同じキーをもう一度叩いて3回にすればよいです。
※ 余談:当方のWindowsXP機では、固定キー機能を使うように設定すると、Windowsロゴキー(Windowsのロゴマークが刻まれたキーで一番手前、スペースバーの左にあります。)を押してスタートメニューを開くのが1回押しではできないようで、Windowsロゴキーを3回叩くと無事にスタートメニューが開くようです。
(※スタートメニューをキーボードから開くのは別の方法もあります。WindowsXPでは[ctrl]キーと[ESC]キーを同時に押すか、固定キーを設定している時は順番に押せば「スタート」ボタンを押したのと同じになります。)
※ Windows「ユーザー補助オプション」で固定キーを設定して使う時には、「固定キー状態を画面に表示する」にしておくと、デスクトップ最下段のタスクバー右端に小さいアイコンが出ます。
拡大すると概ね下図のような形をしています。
左図はWindowsのタスクバー内の右端に表示されるアイコンです。(実際の大きさはもっと小さいです。)
この図の、上のボックスが[shift]キーの状態を表します。また、下の左から[ctrl]キー、[Windows]キー、[Alt]キーの各キーの押されている状態をそれぞれ表示するようになっています。例えば[shift]キーが押されていると上のボックスが黒く塗りつぶされます。どのキーが押されたか、またはプレスされているのかを確認できるので便利です。※ MacOSXの場合は、デスクトップ右上に[shift][ctrl][option][command]等々のキーに対応する絵文字(シンボル)キャラクターが数センチの大きさでデカデカと表示されますので、キーの状態がよくわかります。表示されるシンボルの形と意味は下記参照。
左図は、MacOS Xの画面右上に表示される絵文字(シンボル)の例とその意味です。このシンボルが数センチの大きさで白い字で表示されますが、順次入力で待機して次のキーを待っている時は半透明で表示され、2回押してロックしている時は濃くなります。状態が容易に区別できます。また、入力待機していない時は表示する必要がないので何も表示しません。
キー入力反応時間の調整 |
Windows | フィルタ キー機能 |
MacOS X | スローキー |
画面表示例
Windows「ユーザー補助オプション」
キーボード項目フィルタ キー機能[設定]の画面表示(ここクリック)
MacOS X「ユニバーサルアクセス」
キーボード項目スローキーの画面表示(上記の複合キーと同じです。)
<この機能の目的>
キー入力の反応時間とリピート(反復入力)時間の調整。
狙ったキーを確実に押下するのが難しい場合、隣り合ったキーを一緒に押してしまうことがあります。それにキーボードがすぐに反応してしまうと、意図せずにたまたま触ったキーでさえも入力されてしまいます。その場合、キーの反応時間を調節することで、意図しないキー入力を極力排除することができます。つまり、設定された反応時間を超えて押されているキーが目的のキー入力ということになり、その文字が1つ確実に入力されるのです。その反応するまでの時間をこの機能で調整し設定できます。
また、通常では、ある一定時間キーを押し続けると同じ文字を自動で連続して入力する機能があります。これをキー・リピートといい、同じ文字を反復してたくさんうち続ける時はべんりなのですが、障害があってキーから手を離すのが遅れてしまう場合には、意図しないのに同じ文字がたくさん入り続けてしまうことになります。このリピートを開始するまでの時間とリピートしている時の時間間隔を設定できます。またはリピートしないようにも設定できます。こうすると、どんなにキーを長く押しても1つの文字しか入りません。
いずれもキーボード入力を支える機能として大切と思います。
切り替えキー |
Windows | 切り替えキー機能 |
<この機能の目的>
[NumLock]キー等を押した時、音が出て知らせる。
Windows「ユーザー補助」では「キーボード」の「切り替えキー」の項目です。設定すると[CapsLock][NumLock][Scroll Lock]のキーを押した時、音がでます。解除した時も音が出ます。入と出で音の高さが違っているのでわかりやすいです。
表示例として、下図はWindows XP の「ユーザー補助オプション」の中の「マウス」を開き、さらに[設定]を開いたところです。
Windowsの「ユーザー補助オプション」、Macintosh「ユニバーサルアクセス」には、キーボード右側の電卓的な数字キーの並び(通称「テンキー」)を使ってマウスの動作をキーボードで代替する機能が付いています。WindowsでもMacintoshでも、その機能は「マウスキー」と呼ばれています。(MacOS Xの「マウスキー」設定画面:ここクリック)
これをオンにすると、たとえばテンキー数字の[7]を押している間はマウスポインターが左斜め上にじわじわ進んで行きます。同様にテンキー数字の[2]は右斜め下に進んで行くという動作となります。
この例からもわかるように、テンキーの並びから、左横マウスポインターを動かしたい時は、ああテンキーの[6]だな、と直感できると思います。
また、マウスのクリックに相当するのは[5]です。マウスを押し続けるプレスという動作は[0]で、プレスの解除は[.]ピリオドです。
複雑そうですが、この機能をオンにして、テンキーの数字キーを実際に適当に押してみればすぐ理解できると思われます。設定では、その機能のオン・オフとマウスポインターの移動速度の動き始めの速度と、その後の「じわじわ」か「ドバーッ」の加速の程度を設定できます。自分にあった調整を行うことが必要です。試してみて下さい!。
例としてWindowsでのマウスキー機能の操作方法を調べてみました。
1.コントロールパネルの「ユーザー補助」で「マウスキー」を起動する設定にしてあることが条件です。
2.テンキーの[Numlock]キーをONにすると「マウスキー」が起動した状態になります。OFFの状態では、テンキーの各キーには、矢印キーの代用や、HOMEやEND、ページUPやDOWNという別目的の機能が配置されており、マウスキー機能は眠った状態になっているようです。[Numlock]キーをONにして機能し始めます。
※[Numlock]キーのONかOFFのどちらでマウスキー機能を使うかについては、マウスキー機能の設定で指定できます。
マウスキー設定で、「マウスキー機能の状態を画面に表示する」にチェックが入っていると、画面下タスクバーの右端に下記の図が表示されます。
[Numlock]キーがOFFでマウスキー機能が眠っている時は、この図の上に赤い丸・・駐車禁止マークみたいです・・が付いています。[Numlock]キーを押せば下記の図が表示されます。
左図の上側の2つの並びがそれぞれマウスキー機能で、現在、マウスの左ボタンと右ボタンの状態を示すようになっています。どちらかまたは両方が黒くなって、現在どちらのボタンを押しているかまたは、どのボタンを押せるかということが表示されます。例えば左側が黒くなっている時に[5]キーでクリック動作をすると、マウスの左ボタンを押したのと同じ効果を得ることができます。 テンキーの[/](左ボタンを選択)、[*](両方ボタンを選択)、[−](右ボタンを選択)、の3つのキーで切り替えられます。 |
Windowsでのテンキー部分のマウスキーの配置を簡単に下記に表示しておきます。画面上のマウスポインターをこれで制御します。例えば[7]をずっと押していれば、マウスカーソルが左上45度の方向に、ジワジワと、やがて次第に速く動いていきます。[5](クリック実行)を取り囲む数字キーはそれぞれマウスカーソルの動いていく方向になっています。
WindowsXP マウスキー機能のテンキー部分キー配置
NumLock
押してマウスキー開始 |
/
左クリックに設定 |
*
左右同時クリックに設定 |
−
右クリックに設定 |
7
左上に |
8
真上に |
9
右上に |
+
ダブルクリックに設定 |
4
左横に |
5
クリック実行 |
6
右横に |
|
1
左下に |
2
真下に |
3
右下に |
|
0
プレス |
|
.
プレス解除 |
ENTER
enter |
※[−]右クリック、[*]左右同時クリック、[+]ダブルクリックは、一度それらのキーを押して、[5]または[ENTER]のクリックを押してクリックを実行します。左クリックに戻す時は[/]です。
※[0]プレスはマウスボタンをずっと押し続けた状態にすることで、ドラッグアンドドロップや矩形範囲指定でアイコン等のオブジェクトを選択する時に使えます。プレスの解除は[.](ピリオド)です。
標準キーボードであれ、キーガードをつけたキーボードであれ、指であろうと筆ペンで叩こうと、なんとかして、キーのひとつひとつを押すことができれば最近の「普通」のパソコンは「通常」の仕様で使える可能性があるということになります。Windws「ユーザー補助オプション」やMacOS X「ユニバーサルアクセス」は、そのための「小さいけれど大きい意味のある」機能と言えると思います。
下記、URLが参考になると思います。
WindowsについてはMicrosoft社の障害者関係の解説ページ。
www.microsoft.com/japan/enable/default.asp
同、ステップバイステップガイドのページ
http://www.microsoft.com/japan/enable/training/default.mspx
キーボードショートカットも知っておくと大変便利です。
http://www.microsoft.com/japan/enable/products/keyboardsearch.asp