◇夏場所8日目
把瑠都は鶴竜(右)に押し倒しで敗れ土俵下に=両国国技館で
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新大関の把瑠都(25)=尾上部屋=が鶴竜に押し倒され、初黒星を喫した。横綱白鵬(25)=宮城野部屋=は関脇安美錦を寄り切って8戦全勝で勝ち越し、単独トップに立った。他の大関陣は安泰。琴欧洲が北太樹を寄り切り、日馬富士は小結栃煌山を押し出してともに6勝目。魁皇(37)=友綱部屋=は若の里を寄り切り、琴光喜は朝赤龍を上手投げで退け、それぞれ5勝3敗とした。白鵬を追う1敗は把瑠都ただ一人となり、2敗で琴欧洲ら7人が続く。
陽気な把瑠都をもってしても新大関の重圧に押しつぶされた。「考えますねぇ…。あと1つ勝てば勝ち越しだから。リーチかかってたから。新大関場所で負け越してる人もいるじゃない」。春場所の昇進行事から抜けきれない疲労、それに加えて勝ち越しへのプレッシャー。本来の相撲を見失った。
鶴竜には春場所の対戦で変化されている。それが頭に残っていた。「けっこう迷ったすね。いろいろ迷って足が出ないよね。やっぱ、思い切っていけなかった」。迷いながらの突きを鶴竜にたぐられ、土俵下まで押し倒された。
勝ち越しに王手をかけた相撲で豪快な負けっぷり。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「立ち合いが先場所と違う。こわごわと立っている。思い切って突き放さないとねえ」と注文をつけ、「内容が全然違う。横綱は万全。把瑠都はこわごわ取っている」と全勝の白鵬と比較。優勝を争っていく上でこの1敗は数字以上の大きな差になりそうだ。
左ひざも引きずっている。「ひざに疲れがたまってるから。土俵に上がったらずうっとおかしいんです」。弱音も出始めたが、明るさも忘れてはいない。落ちたときに打った背中は? 「大丈夫。(それよりも)土俵は大丈夫?」と冗談を言い、カメラのフラッシュに向かって「パパラッチ?」とニヤリ。
「半分終わったから半分頑張ろう」。このプラス思考があれば、まだ立て直すチャンスは十分にある。 (岸本隆)
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