ロシアから帰国し、記者会見で質問に答える本田圭佑=成田空港で
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大放言? 守備放棄? いやいや、勝つためです−。ロシア・プレミアリーグ・CSKAモスクワの日本代表MF本田圭佑(23)が16日、成田着の航空機でモスクワから帰国し、W杯本大会に向け「ベスト4ではなく、優勝を目指してもいいんじゃないかと思う」と壮大な目標をぶち上げた。さらに、守備面の成長を問われると、本田は「できれば守備はしたくない」と、あくまでも得点を狙うため攻撃に専念したい考えを強調した。
本田はやはり、本田だった。強気な発言を繰り返す“エゴイスト”は、物おじしない語り口で堂々と言い放った。
「守備をするために試合に出ているのではなくて…」。数秒の間を空けると、こう続けた。「自分の特長は攻撃にあるということは、自分自身が自覚している。それを出すために試合に出ていると思っているので、できれば守備はしたくないですね」。約50人の報道陣が詰め掛けた会見場はざわついたが、本田の表情は真剣そのものだった。ビッグマウス、横柄、嫌なヤツ…。本心は違うところにあるが、そうとらえられても構わない。自らへの重圧こそが、「HONDA」の最大のエネルギー源だ。
体裁を整えたり、きれいごとを並べるつもりは毛頭ない。岡田監督が掲げる「4強」についても、本田は「実現できるか、できないかは正直、分からない。ただ、実現しようとするか、しないかが大事なんじゃないかと」と指摘した上で、目標をさらに上方修正した。
「僕自身はベスト4ではなく、優勝を目指してもいいんじゃないかなと思っている。出場する国、すべての国にそのチャンスはわずかでもあると考えている」
昨冬、オランダ・VVVからロシア・CSKAへ移籍した。リーグ開幕戦で決勝ゴールを決め、欧州チャンピオンズリーグ・セビリア戦ではチームを8強へ導くFK弾をぶち込んだ。極寒のピッチで誰よりも熱く主張し、何よりも雄弁な結果でねじ伏せてきた。
極論すれば、内容は関係ない。勝つか負けるか、生きるか死ぬか。そのために得点を決め、「試合に勝つことが最大の目標」と言った。本田の見つめる先に、誰も想像しない世界が待っているのかもしれない。 (松岡祐司)
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