地下鉄サリン15年:遺族、首相らが献花 健康被害なお

2010年3月20日 11時25分 更新:3月20日 12時52分

地下鉄サリン事件から15年。献花する鳩山首相=東京メトロ霞ケ関駅事務所で2010年3月20日午前8時30分(代表撮影)
地下鉄サリン事件から15年。献花する鳩山首相=東京メトロ霞ケ関駅事務所で2010年3月20日午前8時30分(代表撮影)
地下鉄サリン事件から15年。献花し、手を合わせる遺族の高橋シズヱさん=東京メトロ霞ケ関駅事務所で2010年3月20日午前8時50分(代表撮影)
地下鉄サリン事件から15年。献花し、手を合わせる遺族の高橋シズヱさん=東京メトロ霞ケ関駅事務所で2010年3月20日午前8時50分(代表撮影)

 95年に起きた地下鉄サリン事件から、20日で15年を迎えた。犠牲者が出た東京メトロ6駅では同日、慰霊の行事が開かれ、遺族らが献花台に花を手向けた。鳩山由紀夫首相は霞ケ関駅(東京都千代田区)で手を合わせ事件の再発防止を誓った。

 霞ケ関駅では午前8時、駅員23人が黙とうした。事件当日、本社で被害情報の収集に当たった高根沢新治・霞ケ関駅務管区長(55)は「事件を風化させることなく、危機意識を持ってお客様の安全を守ろうと社員に伝えている」と語った。

 同駅助役だった夫の高橋一正さん(当時50歳)を亡くした妻シズヱさん(63)は白や黄のキクの花を供えた。シズヱさんは「15年を非常に長く感じている。被害者救済法ができ、被害の実態も分かってきた。苦労も報いられているのかなと思うが、それが私たちのゴールではない。健康被害は今も続いている」と話し、国や都に治療体制の整備や被害者対策の充実を求めた。小伝馬町駅(中央区)で事件に遭った埼玉県越谷市のパート従業員、加藤勲さん(61)は「明るいのに電球が消えているように見える症状が出た。今は異常がないが心配。事件から15年たったが、苦しみ悩んでいる人はたくさんいる」と話した。

 鳩山首相は献花後、記者団に「テロはいつどこで起こるか分からない。テロが起きないような世の中にしなければいけないと改めて感じた」と語った。

 霞ケ関駅を訪れたオウム真理教の主流派「アレフ」の荒木浩広報部長は「事件に直接かかわった立場にはなかったが、その後教団を引き継いだ者として、被害者、ご遺族に誠意を持って対応していきたい」と話した。【山本将克、中島和哉】

 【ことば】地下鉄サリン事件

 オウム真理教が、警察の強制捜査を回避しようと東京都心の地下鉄に猛毒サリンをまいた無差別テロ事件。95年3月20日午前8時ごろ、信者5人が営団地下鉄(現東京メトロ)霞ケ関駅に向かう日比谷、丸ノ内、千代田3路線の5電車内に散布。乗客、駅員ら13人が死亡、約6300人が負傷した。関与したとされる教団幹部では、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(55)ら7人の死刑が確定。警視庁は高橋克也(51)、菊地直子(38)両容疑者について殺人と殺人未遂容疑で指名手配し、捜査を続けている。

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