宮崎県は年間3万頭の子牛を県外に出荷し、松阪牛など各地のブランド牛を支えている。その種牛を管理する県家畜改良事業団で感染の疑いが出たことは全国に影響を与えそうだ。優秀な種牛6頭を避難させたが、残りの種牛49頭はすべて殺処分になる。残る6頭に感染の疑いが出れば保存冷凍精液は1年分しかなく、宮崎県からの子牛供給が止まりかねない。
福岡を除く九州各県、沖縄、島根両県の家畜市場では子牛や豚の競り市の延期や中止が相次ぐ。市場では「生産が減は価格の上げ要因になる」(大手食肉卸)との見方もある。全国の主要食肉市場の価格は上昇と下落が交錯し目立った影響はないが、先行きは不透明だ。
鹿児島県は「『かごしま黒豚』は宮崎から子豚を買っているわけではない」(同県畜産課)とする一方、消毒薬散布などのため6億5000万円の補正予算を計上した。
今回のウイルスは2000年の流行に比べ感染力が強い。東京大学の明石博臣教授(獣医微生物学)は「殺処分が追いつかず、感染が拡大した」と見る。病気の動物から空気感染などで広がった可能性がある。殺処分の要員を増やすのが最良とも限らない。作業者がウイルスを他の場所に運ぶ恐れがあるからだ。
ウイルスはどこからきたのか。農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所の分析では、遺伝子の特徴が今年、香港や韓国で流行している型に近い。特定の遺伝子部分では香港の型とは最大で99.22%一致した。
動物衛生研究所の津田知幸・企画管理部長によると、感染の有無は水疱(すいほう)やただれなどの症状を見るのが有効だが、国内では例が乏しく的確な判断は難しい。
明石東大教授は「事前に定めた手順で対応できた。ただ、これほど早く広がるとは誰も認識していなかったのではないか」と指摘する。国内は大丈夫だという油断があった面は否めない。
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