【コラム】「フィクション」を書いたのは誰だ(上)

 本紙が掲載してきた「狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)ろうそくデモ2年」シリーズのため、取材チームは、当時「狂牛病の恐怖」拡大に重要な役割を果たした人々を訪ね、現在の見解を聞いた。取材に応じた人もいたが、一部の人々には拒否された。

 波紋が広がると、2年前に「狂牛病の恐怖」拡大の片棒を担いだ一部メディアは「朝鮮日報はフィクションを書いた」と攻撃に出た。しかし、こうしたメディアが攻撃の材料にしているろうそくデモの主役たちの反論をよく検証してみると、「ファクト(事実)」が違っているという話はどこにも見当たらない。

 例えば、2008年5月に「米国で最大65万人の非公式な人間狂牛病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病〈vCJD〉)患者が、認知症患者として隠ぺいされ、死亡した」と書いた金成勲(キム・ソンフン)元農林水産食品部長官(在任期間:1998年3月-2000年8月)が4日、本紙の電話取材に対し述べた正確な発言は以下の通りだ。「1週間グランドキャニオンなど西部を旅行したが、高速道路にある『イン&アウト』というハンバーガー店に入り、4回食べた。そのハンバーガー店の肉は信用できるそうだ」。そう言った金元長官は、今になって「わざわざ『資料調査のため』(ハンバーガー店に)立ち寄った話が、完全にひっくり返されている」と違う発言をしている。問題の核心は、元長官が「最大65万人が人間狂牛病にかかった可能性がある」と書いた米国に行ったということと、その「信用できない米国産牛肉」で作られたハンバーガーを食べたということだ。

 本紙はまた、獣医学者であるソウル大学の禹希宗(ウ・ヒジョン)教授が「わたしは米国産牛肉自体が危険だと言ったのではなく、牛肉輸入に関する通商条件が韓国に不利で、危険性をはらんでいると指摘したのだ」「遺伝子だけで危険性が高いと断定的に言うのは、大変な事態を引き起こす」と発言したと報道した。この報道に対し、禹教授は「自分はそんなことを言っていない」とは否定していない。それにもかかわらず、「朝鮮日報は(発言を)『つぎはぎ』した」と批判しているが、何をどう「つぎはぎ」したのか、具体的な説明はない。

【ニュース特集】米国産牛肉輸入問題

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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