5月、ロシアに8年間君臨したプーチン大統領が退任する。 しかしプーチンは、退任後も首相として政権内に止まることを明言。“後継大統領”メドベージェフ氏の選挙スローガンは「何も変えない」だった。今後も実質的な支配者はプーチンであることを明確に示した形だ。“プーチン王朝”盤石の秘密は「メディアに対する徹底的な支配」。就任後、3大テレビ局をすべて国有化し、プーチン=強い指導者像を徹底的に演出した。その姿は、冷戦後自信を喪失していた国民の心をつかみ、さらに今、国民がそこにロシア伝統のツァーリ(皇帝)の姿を重ね合わせ、熱狂的なプーチン支持の渦を加速させている。
一方、独立系ジャーナリスト達は、今回の権力継承が「ロシア民主主義の死」を招くと必死に訴える。しかし、大国復活の夢に酔い、メディアに煽られた国民が、彼らの声をかき消す厚い壁となっている。権力がメディアを掌握した国家で何が起きているのか。その最前線から「院政プーチンのロシア」の実像に迫る。
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