淀川堤防女性遺体事件　被害者がやっていた「ネット養子縁組」の恐ろしい実態

●出会い系や掲示板で募集

　宇野津由子さんは今年２月ごろ、インターネットで知り合った夫婦と養子縁組していた。その後、多額の生命保険金がかけられることになるのだが、生まれも育ちも違う第三者と“親子の契り”を結ぶには、それなりの勇気と覚悟がいるはずだ。ネットでホイホイという感覚は理解に苦しむが、実はこういうケースは多いという。

　ＩＴ事情に詳しいジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。

「家族に居場所を知られたくない家出人や犯罪歴を隠したい人などが、アパートを借りたり就職したりするときに、養子縁組して名字を変えるのです。養父や養母となる人はネットで見つける。出会い系サイトの中に養子縁組を仲介するものがあるし、掲示板サイトでも“養子募集”のスレッドが立っていたりします。不特定多数に“相談に応じます”とメールを送信して希望者を募るパターンも見受けられます」

　殺された津由子さんが夫婦と養子縁組した理由は分からない。ただ、ネットで養子となるウラには、大きな声で言えない理由があるのが普通なのだ。

　養父母となる側にも目的がある。慈善事業でやっている人は、まずいない。

「養父母や仲介者は万単位の謝礼を要求するし、新しい名字で何枚もクレジットカードを作らせて詐欺に利用しようとしたり、違法行為のために銀行口座を開設させたりするのです。養子になった人は、関わってもない犯罪の主犯に仕立て上げられる恐れが高いし、犯行がバレて自殺……なんて筋書きで殺される危険性さえあります。偽装結婚もそう。ネットで戸籍をいじるのはリスクが大きいのです」（捜査関係者）

（日刊ゲンダイ2010年5月13日掲載）