福岡県前副知事の汚職事件で贈賄罪で起訴された同県添田町長、山本文男被告（８４）のリコール（解職請求）を目指す住民団体「山本町長をリコールする会」（矢野一義代表）は１４日、請求に必要な有権者の３分の１を超す３３７７人分の署名が集まったと発表した。町選管による署名審査などを経て、８月にも住民投票が実施される見通しとなった。

　会によると、１４日正午までに矢野代表のほか収集に携わる受任者１０８人が集めた署名数は３５１１人分。うち重複分など１３４人分を除いても３３７７人に達し、有権者（３月１日現在で９８７１人）の３分の１を上回った。

　矢野代表（６９）は１４日、同町添田の事務所で会見し「『署名者は役場に名前が張り出される』など町長側の圧力を恐れずに協力してくれた町民の勇気に感謝したい。署名をためらった人も本音で意思表示できるよう、住民投票を成功させたい」と語った。

　会は収集期限の今月２０日まで署名活動を続ける。その後、署名簿の提出を受けた町選管が２０日以内に審査し、名簿は７日間縦覧される。有効署名が有権者の３分の１を超したと確認されれば、会の本請求で住民投票が実施される。過半数の賛成で町長解職が決まる。

　一方、山本被告は１４日、町を通じ「特に申し上げることはない」との談話を発表した。

　山本被告は１９７１年から連続１０期、町長を務める。県の後期高齢者医療制度を巡って前副知事に現金を渡したとして逮捕、起訴された。町議会は３月に辞職勧告決議を可決したが、山本被告は辞職の意向は示していない。【林田雅浩】