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【大リーグ】松井 完全男ブレーデン粉砕3ラン “マツイにゴジラれたよ〜”2010年5月16日 紙面から
【アナハイム阿部太郎】ゴジラが完全男を粉砕だ!! エンゼルスの松井秀喜外野手(35)は14日(日本時間15日)のアスレチックス戦、9日のレイズ戦で完全試合を達成したダラス・ブレーデン(26)から今季5号3ラン。今季初めてクリーンアップを外れて6番降格した試合で4月22日以来19試合ぶり、完全左腕お手上げの一発で、復活ののろしを上げた。 不振にあえいでいた松井が、“完全男”を奈落の底に突き落とした。1点をリードした直後の6回2死一、二塁。ブレーデンの真ん中高めのカーブにはまった。体がピタッと止まるような感覚−。「高めだったので、体が前に出されずにしっかりスイングできた」。きっちり球を呼び込んで放たれた打球は、弾丸ライナーでライトスタンドへ一直線だ。 千両役者はわずかなすきを見逃さない。「ブレーデンは序盤はコントロールも良かったし、球のキレもあった。あの回だけ多少崩れたと思う」。その一発に泣いた完全左腕は「カーブだよ。『投げるからね』って言ったみたいなものさ。で、“He Godzilla’d it out of the ballpark”(スタンドまでゴジッたわけだ)」と、GODZILLA(ゴジラ)を動詞として使って脱帽するしかなかった。 久々に聞く本塁打を祝う花火の音。ファンの大歓声。松井が長いスランプから目を覚ました。5月の打率は1割1分1厘。今季の通算打率も、2割2分6厘まで落ち込んでいた。2日前には先発から外され、この日は5番から6番に降格。「自分が良くないのはずっと分かっていた。打順が変わったことで、自分は何も変わらない」。平静を装っても、意地の一振りに違いなかった。 打てなくても、常にチームを鼓舞し続けた。7連敗を喫して迎えたシアトル遠征(7〜9日)。選手だけの緊急ミーティングで、若手にハッパをかけた。「内容は言えないよ。でも、常にチームのことは考えている」。この日の3ランも、チームの勝利につながったことが何よりうれしかった。「状態は少しずつ良くなっている。明日にいい形でつながればいい」。長いトンネルの先にようやく光が見えた。ゴジラの逆襲が始まった。
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