私にとってこの時計は、ちょっと感慨深いものがあります。機械式時計の虜にさせたのは、JAEGER-LECOULTREのMaster Hometimeとの出会いですが、その機械式時計の世界から抜け出せなくなったのはこのAUDEMARS PIGUET Royaloakと出会ったからです。ちなみにRoyaloak(ロイヤルオーク)は、腕時計の世界でも名高いクラシックタイプのひとつとして知られています。

八角形のベゼルを六角形のビスで留め、ケースとブレスレット素材はSS、文字盤はグランドタピスリー装飾が施され、従来は丸く処理されたインデックスでしたが、現行モデルは先端は六角形を半分に割った形になっています。ケース表面はサテン仕上げと鏡面仕上げを交互に組み合わせており、この仕上げの美しさは、個人的にほぼ完璧と思っています。
当初のロイヤルオークでは、ジャガー・ルクルト製Cal.889/2のムーブメントをベースに手を加えられたCal.2225を使用していましたが、2003年からはパテック フィリップやヴァシュロン・コンスタントンにも使用されているジャガー・ルクルト製Cal.920をベースに、オーデマピゲで開発し直された自動巻きCal.3120が搭載されています。このCal.3120(直径26.60mm、厚さ4.25mm、40石)は、ベアリング設置のローターはバネなしのセンターピニオンの作動により、両方向の巻上げに対応しています。ジャイロマックステンプはマスロットリングで歩度調整可能で、21600振動/時(6振動)のいわゆるロービート。瞬時に切り替わるジャンピングデイトや60時間パワーリザーブが特徴です。サファイアガラスの裏蓋から覗ける、オーデマとピゲの両家の紋章が彫られている22KGのローターはも見ごたえがあり、ムーブメントの美しさも秀逸です。
私も例外に漏れずでしたが、手首が細い方がつけるには、ストラップの硬さが馴れるまで時間を要するのが注意点。この時計の最も良い所は、「高級」というイメージを自己主張することはあまりなく、雲上ブランドとしての楽しみをひっそりと感じ取れることと思います。