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レトロ自転車、「昭和」演出に一役 博多で収集・販売

2010年5月16日12時52分

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写真:昭和時代の自転車を集めて販売している博多チャリンコ倶楽部の小宮繁さん=福岡市博多区昭和時代の自転車を集めて販売している博多チャリンコ倶楽部の小宮繁さん=福岡市博多区

 昭和時代、紙芝居屋などが乗っていたレトロな自転車を、福岡市博多区の自転車専門店「博多チャリンコ倶楽部(くらぶ)美野島店」が全国から集めて売っている。小道具として当時を再現する町づくりにも一役買い、映画にも貸し出されて重宝がられているという。

 同店があるのは、JR博多駅から南へ1キロの美野島商店街の一角。店内へ入ると、レトロな自転車が所狭しと並んでいた。「面白いでしょう」。店主の小宮繁さん(57)がにやりと笑う。全国の古美術商から仕入れ、在庫数はざっと120台に上るという。

 財団法人日本自転車普及協会によると、こうした自転車は「実用車」と呼ばれ、運搬が主目的。大正時代に生産が始まり、昭和30年代に急速に普及した。紙芝居屋や豆腐屋、八百屋などが使ったという。ところが、次第に自動車やオートバイに取って代わられ、今ではほとんど姿を消したという。見た目は黒く、俗に「カラス」とも呼ばれた。サドルは革製、フレームは鉄製で頑丈な造りになっており、タイヤの厚さは通常の自転車の1.5倍ほどもある。

 小宮さんは約15年前、それまで勤めていた会社を脱サラ。時代はエコだと考えて自転車屋を開き、自分の懐かしさもあって実用車を集め出した。1台5万〜30万円で販売しており、年間約20台が売れる。愛好者やデザイナー、居酒屋店主と買い手は様々だ。昭和30年代の町並みを再現した大分県豊後高田市の「昭和の町」にも10台近く売った。

 貸し出しは1台1日5千〜2万円。新喜劇でおなじみの吉本興業や、1958(昭和33)年当時の東京を舞台にした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」にも小道具として貸し出した。CMやロケで使われることが多いという。

 美野島商店街でも実用車が走る時代があった。「自転車の原形とも言えるもので、団塊の世代の人には懐かしいはず」と小宮さん。「最近は自転車の乗り捨ても多い。物を大事にしてほしいとの思いも込めているんです」と話している。(成沢解語)

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