英語格差:低所得層の児童向けに無料サポート(下)

■低所得層の児童・生徒ほど早い成績の伸び

 取材チームは、軍浦国際教育センターに依頼して、英語の授業を受講する2000人の小・中学生全員について分析した。開設から6カ月たったこのセンターには、「奨学生」と呼ばれる低所得層の児童・生徒が400人ほど在籍している。奨学生は月謝が免除され無償で授業を受けている。彼らとは別に、1カ月12万ウォン(約9800円)の月謝を払っている一般児童・生徒と比較して、成績の推移を追跡してみた。

 昨年9月のセンター開設時には、予想通り奨学生と一般児童・生徒の成績の差はかなり大きく開いていた。興味深いのは、小学校1、2年生でその差が特に目立ち、学校で英語の授業が始まる小学校3年生以降は、多少小さくなるものの、特殊目的高校(外国語、科学など専門分野に特化し優秀な生徒を教育する高校)への進学熱が高まる小学校6年生になると、再びその差が開くという点だ。

 6カ月間の英語塾通いの結果、成績はどう変化したのだろうか。一般児童の点数を100とすると、小1の場合、奨学生の相対的点数が、昨年9月の38点から51点に急上昇。6カ月で13点も上昇した。

 同じ基準で、小2から小6全ての相対的点数も1点から7点ずつ上昇した。同センターのパク・ジンヨン教育部長は、「低所得層の児童・生徒たちは、初めての(学校とは違う)塾通いで英語の勉強に多少戸惑うものの、すぐに適応し、一般児童・生徒よりも早い速度で成長を見せる。こんなに早く効果が出るとはわれわれも予想していなかった」と話す。

■「奨学生」上位30%は一般児童・生徒を追い越す  

 奨学生の中でも、上位30%圏内の児童・生徒たちの成績にしぼって分析すると、さらに驚くべき結果が出た。小1を除き、小2から中3の奨学生のうち、上位30%はわずか6カ月で一般児童・生徒の成績を追い越していたのだ。彼らは、昨年9月には一般児童・生徒よりも4点から19点ほど下回っていた。

 パク・スジンさん(11)=仮名=もその1人だ。学校の清掃員として働く母親(42)と暮らすスジンさんは、クラスで3番以内の成績だ。塾はもちろん、まともな参考書1冊も買ってあげられない母親は、いつも娘に「先生のお話をよく聞きなさい」と言い聞かせるしかなかった。

 しかし、小3になり、学校で英語の授業が始まると「先生のお話」だけでは限界だった。同学年の子たちは学校の授業以外に英会話を習っていた。スジンさんの家計の状態では、月に3万2000ウォン(約2600円)かかる訪問英語学習は諦めざるを得なかった。しかし、軍浦国際教育センターで、無料で勉強できる機会を得てからは状況が変わった。

 初めは25点しか取れなかったスジンさんの点数は、3月に90点を突破し、最優秀生に選ばれた。公州大学のイ・ミョンヒ教授は、「英語は他の科目より教育費が高く、低所得家庭の子供には非常に不利になる。そのため、政府や自治体が公教育と私教育の橋渡しを行い、公立塾を開設するなどして、低所得家庭の子供にも学習の機会を与えていく取り組みが必要だ」と話した。

李仁烈(イ・インヨル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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