【社説】国民が見向きもしない親盧派が復活したワケ

 6月2日に行われる統一地方選挙の立候補届けが締め切られ、その結果、全国16の広域市・特別市の市長や知事のうち、ソウル、釜山、京畿道、忠清南道、江原道、慶尚南道の6地域で、親盧(故・盧武鉉〈ノ・ムヒョン〉前大統領と親しかった)グループの候補者が野党候補として名乗りを上げた。

 国民参与党の柳時敏(ユ・シミン)京畿道知事候補は、13日に行われた民主党の金振杓(キム・ジンピョ)最高委員との候補者一本化投票で、金委員を抑えた。また14日には、民主労働党とも候補者の一本化で合意した。柳候補は盧前大統領の「政治面での警護室長」と呼ばれていたほどの人物だが、2年前の国会議員選挙では民主党を離党し、無所属で大邱から出馬したものの落選した。いずれにしても、84人の国会議員を擁する野党第一党の民主党が、16の市長・知事選挙のうち最も人口が多い京畿道知事候補一本化で、国会議員が一人もいない国民参与党に押し切られたことになる。

 民主党の韓明淑(ハン・ミョンスク)ソウル市長候補は、盧前政権で首相を務めた人物だ。また、親盧グループの柱とも言えるイ・ヘチャン元首相が、韓候補の選挙対策委員長に就任している。盧前政権では左ヒジョン、右グァンジェと呼ばれた386世代(90年代に30歳代で80年代に大学に通った60年代生まれの世代)の側近、安熙正(アン・ヒジョン)民主党最高委員と李光宰(イ・グァンジェ)議員が、それぞれ忠清南道知事と江原道知事として名乗りを上げた。「リトル盧武鉉」と呼ばれていた金斗官(キム・ドゥグァン)氏は、無所属で慶尚南道知事に挑戦する。

 安熙正・忠清南道知事候補は2008年、自らが属する親盧グループについて、「先祖が罪を犯して子孫が官職につけなくなった廃族だ」と語っていた。国民が盧前大統領の政策に怒りにも似た厳しい評価を下していたころの話だ。民主党の前身、ヨルリン・ウリ党が与党だったころに行われた4年前の地方選挙で、同党は16の市長・知事のうち15カ所、さらに230の市長、郡首、区長のうち211カ所で敗北した。地方選挙史上、前例のない与党の大敗だった。その後07年に行われた大統領選挙でも、民主党は531万票という大差で敗れた。これも過去最高の票差だった。このように相次いで選挙で大敗した理由について、民主党は「親盧グループの責任」としていた。そのため親盧グループは、民主党と袂を分かつか、しばらく静かにしている以外になかった。

 民主党執行部は今回の地方選挙での候補者一本化作業を通じ、これまで野党第一党を引っ張ってきたリーダーシップがいかにぜい弱なものだったかが、改めて浮き彫りになった。今回の結果を受け、民主党執行部がどのような反省の態度を示すか、注目に値する。わずか2年前に国民から見捨てられた親盧勢力が再び息を吹き返し、再登場することができたのは、ある意味でハンナラ党政権にも責任がある。現政権は人権、女性、環境、労働など21世紀の重要な政治問題をすべて左派の独壇場にしてしまった。このことからも、現政権が社会、経済における二極化など、ポピュリズムが息を吹き返す風土にどれだけ危機感を持っているのか、改めて反省すべきだろう。いずれにしても与野党の双方が一度、改めて自らを振り返るべきだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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