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20代アニメーター、平均年収は110万円 協会調査

2009年5月30日

グラフ

 アニメーターや演出家らでつくる日本アニメーター・演出協会(JAniCA)がアニメーターの生活実態をめぐり、国内初の大規模な調査をした。かねて問題視されてきた厳しい労働実態を数字で突きつける結果となった。

 昨年10〜12月、経験1年以上のアニメーターを対象に、2千部を超える調査用紙を配布した。回答は728人。

 アニメーターは新人ならまず、原画と原画の間をつなぐ動画を担当。その後、動きのキーとなる原画を任されることが多い。経験を積み、テレビシリーズの監督や、各話の演出に進出する人もいる。

 平均年収(アニメ以外の収入含む)は、動画を主な仕事とする人が約105万円、原画は約232万円、演出は約333万円、監督は495万円だった。年代別では20代が平均約110万円、30代でも約213万円、40〜60代で400万円台となる。概算の時給は動画298円、原画689円、監督1412円。

 「生活に不満」と全体の62%が回答。勤労理由の最多回答は「絵を描く仕事が好き」、2位は「お金を得る」、3位「この仕事が楽しい」、4位「生きがいの一つ」。個々人のやる気に依存する現状がうかがえる。

 結果概要の発表と同時に開いたシンポジウムでは「単価が低すぎる。新人は1年契約でもいいから固定給にすべきだ」(アニメーター)、「親と同居か仕送りがあることを、新人を入れる条件にする会社がある」(専門学校講師)など、厳しい現状を訴える声が相次いだ。

 これに対し「固定給の期間が終わったらすぐ他社に引き抜かれた、という例を経験した」(制作会社関係者)、「(予算を握る)テレビ局やスポンサー側から動かないと変わらない」(大学研究員)といった意見も出、構造的な問題の深さを浮き彫りにした。

 JAniCAでは、調査の詳細な分析を「アニメーター実態白書2009」(仮題)として夏以降に刊行する予定。価格は非会員なら2万円。新書で簡便な解説書を出す計画もあるという。問い合わせはpostmaster@janica.jpまで。(小原篤)

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