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2010-05-05 親学の産経新聞記事で取り上げられている本の出版社はこんなところ

親学の産経新聞記事で取り上げられている本の出版社はこんなところ


世間から非難GO!GO!のいかにも産経クォリティーな記事の件

まずは産経の記事。


■【親学Q&A】(5)発達障害の予防(産経ニュース)

■【解答乱麻】明星大教授・高橋史朗 豊かな言葉がけ見直そう(産経ニュース)


この記事に批判的なブログ


■親が苦でなく親楽でもイイと思う(とらねこ日誌)

■産経新聞が発達障害についての俗説を広め、偏見を助長しようとしている件について(俺の邪悪なメモ)

■「治るのか」という問いを問う(lessorの日記)

■言葉かけだけで発達障害が治るもんか(手に汗をかきながら)

■「親学」問題について、とりあえずのまとめ。(お父さんの[そらまめ式]自閉症療育)

■発達障害が親の責任で?(アグリサイエンティストが行く)

■【これは】『発達障害を予防する子どもの育て方』【あまりにもひどい】(ロテ職人の臨床心理学的Blog)


で、この2つの新聞記事で言及されている本、「発達障害を予防する子どもの育て方」という本ですが、著者のひとりは、以前、当ブログでも取り上げさせてもらった片岡直樹医師です。その他の二人の著者(金子保氏、澤口俊之氏)も知る人ぞ知るトンデモさんのようですが、私はよく知りません。


で、この本もそうですが、過去に片岡氏の書いたトンデモ本の数々は、ほとんどがメタモル出版という出版社から出ています。金子保氏の本もメタモル出版と記事に書いてありますね。このメタモル出版ってどんなところかっていうと、ギャンブル関係(のインチキ臭い本)ではそこそこ名が知れているようなのですが、他にもたくさん胡散臭い本を出版してるようです。


■元気健康ブックス(メタモル出版 既刊書案内)

■危険・警告ブックス(メタモル出版 既刊書案内)

■ガン戦争シリーズ(メタモル出版 既刊書案内)

■水シリーズ(メタモル出版 既刊書案内)

■宗教書(メタモル出版 既刊書案内)


なにこれ、これはひどい!!

まともそうな本を見つける方がたいへんなんですが。

EM、波動、バイオラバー、マイナスイオン、牛乳有害説、ホメオパシー、「水商売」、その他ニセ科学・ニセ医療のオンパレード。

バイオラバーなんて、間接的に犯罪に加担してないか?

癌、アトピー、発達障害など治療が難しい病気や障害をネタにするのも、この手の商売によくあるパターン。


以上、言論・出版の自由を思いっきり謳歌するメタモル出版でした。



以下は余談です。

ところで、すっかり余談なのですが、我らが花風社の浅見社長は、今回の産経記事に対してネット上で繰り広げられた批判行動がどうやらお気に召さないご様子。


先日のエントリ、■さらにナナメ上に加速しそうで心配な花風社で引用した浅見社長のブログ記事の出だしで、


自閉症が治る、という報道に反応する人たちがいる。


と書かれていますが、ここで言っている「自閉症が治る、という報道」とは、この産経記事のことを指している模様。ここで、ちょっと復習しましょう。浅見社長のブログ記事は以下のとおりでしたね。


自閉症が治る、という報道に反応する人たちがいる。とくにネット上では。

自閉症は治らない、という事実に安堵感を見出しているんだろうな、というのが私なりの推測。

一方でリアルで知り合いになる人の中には「治療法が見つかったらどんなに大金がかかっても治したい」

「必要なら実家の田畑を売りはらってっでも費用を工面する」という人たちもいる。

お子さんに愛情を持ち、障害を受け入れている人たちだ。


要するに、裏を返せばこのブログ記事はこう解釈することもできるわけです。


産経の記事を批判する親は、「自閉症は治らない、という事実に安堵」していて、子どもに愛情を持っておらず、障害を受け容れていない人たちだ。


そう読めません?

確かにそう読めるでしょ?

その後、ブログは、親が何をするにせよ自己責任なんだから、他人は口を出すなというふうに展開されていくわけです。


で、さらに、浅見社長はツイッターでも以下のようにつぶやいておられます。


購読率のきわめて低い新聞のインチキ記事になぜ反応するのか謎。コミュニケーションとしての反応なのかな? 誰かになんか言われたら「あれいんちきなんだよ」ですむ。

http://twitter.com/tabbysumo/status/12623396896


第一新聞で読んだことなんて覚えてないし信用しないだろう。

http://twitter.com/tabbysumo/status/12626295488


いやいや、影響力の少なくないメディアが、トンデモないことを報じたり出版したりすれば、そりゃdisられますぜ。批判されますぜ。当然でしょ。浅見社長はいったいぜんたいなにをそんなに不愉快に感じておられるのだろう??


何か焦っているのか??

何か恐れているのか??




さて、突然ですがここで、花風社の新刊本のご案内です。


■発達障害は治りますか?(神田橋條治ほか 著)


ウワサの大大大博士の本です。「治らないという考え方は治りませんか?」だそうです。



<関連エントリ>

■うむむむ…

■発達障害は「発達しない障害」ではありません。

■ツイッターってこわい。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

■これってもしかして大大大博士のこと?

■さらにナナメ上に加速しそうで心配な花風社

anomyanomy 2010/05/05 23:13 全然違う所で、
>勝間という人は「そこに金鉱があると言ってツルハシを売りつけて商売する人」
というコメントを見て、
浅見さんは発達障害版の勝間なんだなと理解。
このツルハシの話に
>「金脈が本当は無いけど、商売上あることにしておけ」と思っているのらば、詐欺だ。商売としては良いかもしれないが、人間的には軽蔑する。
と続いて、このエントリの趣旨は理解した。
でも、「金脈を探す努力をしないという考え方は治りませんか?」と言われれば、私はそっちになびいてしまいます。

bem21stbem21st 2010/05/06 12:13 anomyさん
金脈はあるかも知れません。が、それは医学などの研究者が日々研究を続けているところです。例えばオキシトシンなどもその一つでしょう。

そしてその研究結果は一般書などではなく査読のある専門誌に発表され、発表された後も、更に研究が重ねられ、再現性があるかどうか、安全性に問題がないかなどの確認が丁寧に進められていきます。

こうして、確かに効果が期待できる、それに比較してリスクも少ないと客観的なデータで確認されたものだけが生き残るという非常に厳しい世界です。

一方、安易に自閉症が「治る」と言っている代替医療の業者は、このような厳しい過程をまったく踏んでいないでしょう。根拠なく「治る」と言ってくるわけです。

専門家でない親が、「治す」ことにこだわって右往左往しても、こうしたインチキ業者のいいカモになるのがオチで、子どもも家族もQOLを高める可能性を減らすだけでしょう。浅見社長はそれを「自己責任」で片付けるのですが、「それは違うでしょう」というのが私の考えです。

anomyanomy 2010/05/06 20:50 bem21stさま お返事ありがとうございます。
私は花風社がインチキ業者だという先入観がないのですが、花風社の謳う治療法が有効か無効かを議論するのは構わないと思います。
私は浅見さんのブログを読んだだけの見解では、彼女は至って真面目に発達障害の問題に取り組んでおり、私anomyの様にキレやすい、情緒不安定状態で「健常者の世間」に参加せざるを得ない不幸な人間を減らす努力をなさっているのではないか、と考えています。
澤口俊之氏に対しても科学的に危なっかしい発言だなと思いつつ、神経科学の成果物で、発達障害の苦しみを除去したいという「気持ちだけは応援してやりたい」というところは同様です。
もちろん、医者や専門の学者は私のような非専門家ではなく、他人の人生や健康を損なった時に責任が(ある程度は)ありますし、だからこそあなたが説明されたように慎重かつ厳密な仕組みの上で治療法を確立するべきだ、というのは納得できるのですが。

bem21stbem21st 2010/05/06 22:12 anomyさん
私は浅見氏や澤口氏がまじめに取り組んでいるかどうかを議論しているのではなくて、言ったことや書いたことなどの行動の内容がどうかを評価したいと思っています。

まじめに取り組んでいたとしても、もしくは人を騙すつもりなど毛頭なかったとしても、アウトプットが結果として、多くの人を不当に傷つけるようなものであるならば、批判の対象となります。

もっとも、果たして本当にまじめに取り組んでいるのかどうか、という視点から言わせていただくと、

澤口氏については、もともとは真っ当な研究者なのですから、一般向けの本で自説を発表するのではなく、上述のように専門書に発表して厳しい検証の手続きを受けるのが筋だと思いますし、

また、浅見氏については、出版社の社長として、正統な批判に対して訴訟をちらつかせることで相手を黙らせるようなことをせずに、正々堂々と反論するなりして建設的な議論をすればよろしいかと思います。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/145351646.html

マオマオ 2010/05/07 14:35 産経新聞の記事に出ている澤口俊之氏は、フジテレビ系「ホンマでっかTV」(さんま司会)に「脳科学評論家」として準レギュラー出演していて、そのトンデモ発言が受けて、この番組の「スター」になっています。

視聴者の澤口氏の「好感度」は高いのですが、それが澤口氏の「トンデモ本」を抵抗なく受け入れさせてしまうのでは、と懸念します。

bem21stbem21st 2010/05/08 14:58 マオさん
特定ジャンル以外、あまりテレビを見る習慣がないのですが、その番組はちらっと見た覚えがあります。またいい加減な「脳科学者」がテキトーなこと言ってるなぁと思ったのですが、あれが澤口氏だったのですね。

もう「脳科学」と聞いただけで、胡散臭いなあというイメージが私の中では固定化しつつあります。通俗心理学のように。

こうした状況を憂慮する本物の専門家も少なからずいて、蔓延する「神経神話」に積極的に対峙していこうという人や団体もでてきていますね。頑張って欲しいと思います。

そのうちこの本も読みたいと思っています。

■脳ブームの迷信(藤田一郎著、飛鳥新社)
http://goo.gl/2CJp

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